成瀬は信じた道をいく
宮島未奈 2024年
・あらすじ
・感想
今年度の本屋大賞受賞作『成瀬は天下を取りにいく』の続編です。高校3年の後半から、大学入学を経て、1年生の終わりぐらいまでを描いているようです。
前作の時に私は、「成瀬は予想不能で、なかなかにとびぬけた人間だ」とお話ししたかと思います。今作も相変わらずのとびぬけっぷりでした。まず、相変わらず京都大学を受験することを目標にし、試験を受けた結果無事に受かりました。そして、今度は何を思ったのか、地元の観光大使にエントリーししかも見事に選ばれます。最後に謎の書置きを家族に残し、どこかへ行ってしまいます。後々見つかるのですが、それはあまりにも特殊な形でした。
成瀬のこの予想不能な感じ、最初は「なんだこれ!?」とかなり衝撃的でしたが、こうやって通しで読んでみると、これはこれでいいなぁと感じました(笑)予想不能な感じの方が、先行きを読めずにこの先どうなるのかが分からないので、必然的に追いかけたくなります。気になって、ページをめくる手が止まらなくなるほどでした。久々です、ここまで行ったのは。
彼女って、実際どんな感じの育ちだったんでしょうね。そこまでは詳しく書かれていないのですが、これは相当に曲者な親がいるのではないかと勝手に一人で想像してました。
一見無感情そうな彼女も、実際には一人の人間としての面を持っていると感じたところがありました。突然、失踪しその後帰ってきたとき、自分のやったことは普通のことであり、何もなかったかのような平然とした顔はやっぱり、その人らしいなと思いました。成瀬は何にも問題になるようなことをしたつもりはなく、ただ自分に今必要だからというだけで、あそこまでのことをする。この何事もなかったかのような顔と、鋼のメンタルは実に彼女らしいと感じました。