マチネの終わりに
平野啓一郎 2016年
・あらすじ
・感想
こちらも先日図書館に行ったときに見つけた作品です。表紙だけは前々からSNSでよく見ていたのですが、あまり、読む機会を得られず…。
2人の男女についての恋愛を巡るお話です。とてもドロドロしていて、切なかったです。アーティストとジャーナリスト、この二つの職種が対比されて描かれており、その間を縫って恋愛模様が描かれていたというのがまず見所です。
2人は恋模様は途中まではうまくいっていたようですが、男側である蒔野(まきの)があるメールを洋子に送ったことで、状況は一変し叶わぬ恋となってしまいます。そこから約5年間も彼らの不完全な関係は続いていくこととなります。
この作品はとにかく、お互いに相手のことを何かのきっかけで思い出し、相手のことを思う描写が何らかの形にされて、描かれているところが多かったですね。「恋愛において、相手にされなくなったら引き下がれ」ということはごく一般的なことですし、しなかった場合はただの危ない人です。しかし、恋愛は何が起こるかわからないというのも事実。自分の思い通りに行くものではないからこそ、理想を追い求めてしまうといったところがあると思います。それが失恋なのではないでしょうか。私もまだ18歳の大学生、正直そういった経験はまだまだなので、分からないところも多くあります。
この本はそういった失恋をした人の心をよく掴んでいるように感じました。こうすればよかった、ああすればよかった、そういった未練がいろんな形で出る失恋の模様を、極端な形ではありますが表現しているという印象です。
恋愛に限らず、人生について思うこととして衝動的な行動をしないこと、そして、調子に乗らないことが必要であると、私はいつも考えております。それをしっかりと実行できているかは、私には分かりません。しかし、謙虚さを大切にこれからも生きていきます。
最後にこの作品は2019年に映画化されたとのことです。文庫化も同時期ですので、おそらく映画の影響なのでしょう。どこかで見たことあるなと、既視感が本当にあったのですが、映画化されたというのもあるんですかね。機会があれば、Netflixとかで観てみたいと思います。