しずく
西加奈子 2010年
・あらすじ
・感想
6月に紹介した『さくら』の著者、西加奈子さんの別作品です。コロナの隔離期間が終わって、この間初めて外に出たのですが、その時そんなに遠くにも行けないので、近くの図書館に行ってきました。その時に、こちらの作品を見つけました。
「恋人の娘を一日預かることになった」というところから物語は始まります。もともと子ども嫌いだった「私」はいろいろと手を焼くことになりました。日々子どもには作り笑顔に、ご機嫌取り。本当に大変そうでした。それを通して、徐々に大切なことに気づいていくという物語です。
子どもは本当に予測不能ですし、ましてや今回の場合他人の子どもですから、どんな感じで接していったらいいのか分からないですよね。これを見ている感じですと、「あまり子どもの面倒を見た経験はなさそうだなあ」と感じました。そんな中で上手いこと試行錯誤しながら、他人の子どもの面倒を見ている姿がとても印象的でした。
子育てをしている人って本当に大変だろうなぁと思います。年齢が小さければ小さいほど、電車の中で泣かれたりとか、「トイレ行きたい」とかそういった問題が出てきますし、年齢が大きくなってくると今度は、自立させるためにまた苦労するでしょうし。そう考えると、世の中のお父さん、お母さんは本当に凄いなと思います。本当に他人事ようですが心から思う限りです。まだ私はそういった経験はないのですが、いずれそういった身になることもあるでしょうから、今のうちからしっかりと心構えだけは持っておいた方が良いと思いました。
あと、本書P143から始まる「しずく」、すごく印象的でした。二匹の猫の駆け引きがこの章はずっと描かれているのですが、とてもリズミカルで面白かったです。「争ってるのかな」と思いきや、何だかんだ中よさそうにくっついたり、また喧嘩っぽいことをしたり...。これを読んだ時が遅い時間まで大学に残っていた時で、結構疲れ気味でしたが、本当に面白くてページをめくる手が止まりませんでした。疲れているときに読むと本当に癒されます。
・書籍情報
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