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就任半年、リーガルテックのCCOが今思うこと

みなさん、こんにちは。
この投稿は、CS HACK Advent Calendar 2023の記事です。昨日のkuny.さんからバトンを受けまして、本日は24日目、クリスマスイブの投稿となります!

誰がこの記事を書いているのか?

簡単に自己紹介させてください!

元メーカー法務で、現在は契約書管理クラウドサービス(いわゆる「リーガルテック」)「Hubble」でカスタマーサクセスの担当執行役員(CCO)と法務向けメディアのLegal Ops Lab(略してLOL)の編集長を兼務している、山下俊といいます。

元法務ということで、自分はいわゆるSpCSMという属性がある者として約4年間、カスタマーサクセスという職種と向き合ってきました。そういった状況ですので、法務パーソンが参加するアドベントカレンダーにも顔を出し続けています。

今回は、自分が半年前に就任したCCOという役職について、私の現在地や今後について、つらつら書いていきたいと思っています。

CCOとは?

まず、今回ここで取り上げているCCOとは「Chief Customer Officer」の略で、カスタマーサクセス(以下「CS」)部門のCxO(CSuite)の一人です。

故にCCOは「会社内で誰よりもカスタマーのことを深く理解していて、おそらくカスタマー自身よりも彼らのことを熟知する存在」と言われることもあります。

この役職は、米国では担い手が増えてきているようですが、日本ではまだまだ稀少な役職です。ただCS職の広がりに応じて、確実に数も増えてきています。CS向けのプラットフォームを提供するGainsight社は、2023年に日本でも「CCO Community」を発足するなど、来年以降更なる展開が期待されている状況です。

CCOの存在価値とは?

一般に、CCOの存在価値の一つには、顧客中心主義(Customer Centric)の文化を形成することが挙げられます。というのも、顧客の体験や成功への取り組みが、ビジネスの成長を促進すると考えられているからです。その重要性故に、CCOがCEO直下に配置されることも多いと聞きます。

就任時の私のnoteでも書いた通りで、当社におけるCCOの価値は、Valuesに掲げられている「圧倒的顧客理解」を体現し、ここにコミットする姿勢を内外に示すことです。それゆえ「Hubble社内で働く全メンバーが、法務をはじめとするお客様のことを、具体的に思い浮かべながら仕事ができるような手触り感のある共通理解を改めて作っていくこと」が私個人の重要なミッションだと思っています。特に、当社のビジネス上「法務」や「契約」という一般には馴染みが薄い(または難しいと思われている)テーマを取り扱うため、一層の顧客理解が必要という側面があります。

このため、カスターサクセスのチームメンバーが顧客理解を高めることは当然として、2023年は、社内の他のbizメンバーやエンジニアも、お客様とのタッチポイントを、実際にまたは擬似的に増やせるような施策を強化してきました(もちろん、全て自分が起案立案したものではなく、カスタマーサクセスのメンバーが推進してくれたものが大半です)。

全社的な顧客理解向上のための取り組み例

  1. チャットサポートへのお問い合わせの一次受付と回答を新メンバーが実際にやってみる企画

  2. お客様の日常的な業務フローを追体験するロールプレイイング企画

  3. お客様と接する中で得たインサイトを社内共有する専用Slackチャンネルの運用 etc…

もちろん、CSで責任を持つ継続率の向上やエクスパンション・アップセルといったビジネス自体の伸長を直接示すKPIは、責任の配下ですし、超重要ですが、上記のミッションを達成していく結果として付いてくるものだと整理して、上記のような取り組みを継続的に実施してきました。

その上で、顧客のサクセスにコミットするCCOであるためには?

この半年、新しい立場で仕事をするようになり、うまくいったと感じることも課題を感じることもどちらも沢山ありました。今年の締めと来年への抱負も兼ねて、カスタマーサクセスを最も考える立場として、どうありたいかをまとめてみます。

CCOのありように正解はないことを忘れない

前述の通り、CCOは段々と担う方の数が増えてきている状況ですが、CCOのあるべき姿や役割が世の中で必ずしも定まっている訳ではないように思われます(米国だとスーパーマンみたいな方がCEOばりに、全方位的に管掌しているようなケースも見られます)。むしろ各社の規模や状態によって求められる姿は少しずつ異なるものだと考えて、自分でしっかりと役割を定め、これを他の経営陣と合意しておく必要があります。

ちなみに自分は、CCOの役割を明確にするために、以下の"CCO Maturity Model"を参考にし、自分の現状との差分を確認しつつ、自分のやるべきことを他のボードメンバーと合意できたので、この点で困るといったことはありませんでした。

CCO Maturity Model™(Rod Cherkas)より引用

お客様の「生の声」を聞き続ける

今年は、打ち合わせにもなるべく同席し、現場の声をしっかりと聞くことを継続できたと思います。様々な意思決定においても、やはりお客様の「生の声」の集積がそれぞれの意思決定のベースになっていることが多くありました。

来年以降も「顧客の権化」として、どういった状態であろうと、自分もお客様の声をしっかり聞ける状態を作らなければいけないと感じています。

「顧客を学習し続ける」組織づくりを

カスタマーサクセスのチームのみならず、全社的に顧客理解を深めるためには、(特にBtoBの場合には)以下の要素を知り、これに基づいて考えてみることが必要だと考えています。

  • 顧客が働いている環境

  • 顧客が抱く心理

  • 環境や心理面での顧客の多様性

  • 上記3つの要素の変化

前述のような施策によって、会社全体として着実に理解度は上がってきている実感がある一方で、それでも「聞きたいが聞けなかった」「実はここをもっと知りたいと思っている」といった社内の声も多くあると感じています。この「知りたい」になるべく100%応えていく取り組みを徹底することが必要になると思っています。

常に理想を持ち続ける

今の自分はチームのマネージャーも兼ねている状況であることもあり、各施策において「現場で実際に実現可能であること」から考える傾向があります。

一方で、本来的にCsuiteは、将来の持続的な成長にコミットすることが求められます。その一環として、仮に最終的に現実的な着地点に落ち着くとしても、常に理想的な姿から考える余裕のようなものがあっても良いと感じています。この理想があるからこそ、急成長をする企業のCSにふさわしい高い目線を、自身やチームに意識づけられるからです。

まとめ

最後までお読み頂き、ありがとうございました!
まだCCO就任から半年ですが、スタートアップ企業の半年は速く、密度が濃いです。ぼやぼやしている暇はありません。2024年も引き続き、悩みながら地道に、お客様のサクセスを第一に考えながら、取り組んで行きたいと思います!

明日はいよいよ最後の25日目、🐳比留間心之介🇯🇵はたらきながらポーカー海外大会優勝さんによる「ログラスで(ほぼ)2年はたらいた振り返りとビジョン」とのことです!お楽しみに!


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