実体のないお客さん
世間や大衆と同じくらい、お客さんというカテゴリーは実体がなく、誰のことでもないし自分のことでもあるという曖昧性を秘めている。
わりとマイノリティな方だし、社会に適合していないタイプだと自覚しているけど、見方を変えれば世間の一員にすぎないし、どこかのお店を利用するお客さんにしかすぎない。
普段はただの一般人で、ただの消費者だけど、自分で商売をしていると、ひとたび立場は変わってしまう。
ビジネスをする側としては、お客さん、つまりターゲットを明確にすることがとても重要になってくる。
年齢層、男女比、地域、文化、趣味嗜好、考え方など、全部がそれぞれグラデーションであるけど、どんな人に自分の商品を届けたいかを考え抜くことが欠かせない。
広すぎても狭すぎてもよくなくて、ちょうどいいところを見極めるのがむずかしいことを十二分に学んだ。
本当のお客さんは誰なんだろう。
商売はある程度、小手先のテクニックで集客をすることが可能だと思う。
定期的に発信をする、新商品を紹介する、キャンペーンをやる、期間限定をうたう、行事にあやかる。
むしろこれらの王道パターンを使えば、お客さんに行動を促すきっかけを作ることは簡単なのかもしれない。
ビジネスにおいて定石を踏むことが重要なことにもかかわらず、ついつい自我が出て自分のやりたいようにやってしまっていた。
定石に従えば誰でもできるビジネスなら、自分がやる意味なんてないとは思うけれど。
まだ実感はわかないけれど、実体のないお客さんからのなんとも言えない気持ちを受け取っている。
もっと利用していたらよかった。
いつまでもあるわけじゃないよね。
少しだけでも貢献を。
ほんの些細な気持ちだけれど、そんな空気を肌で感じている。