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夢のサブスリーを達成!3ヶ月の練習を振り返る

はじめまして。Kazukiと申します。記事を見てくださりありがとうございます。今回はフルマラソンでの3時間切りについて記載していければと思います。

まず、フルマラソンにおける3時間切りは市民ランナーにとっての最大の目標です。2時間代のランナーと3時間代のランナーでは明らかに記録の見栄えが違いますし、周りからの賞賛も全然違う。

しかし、サブスリーは厚底シューズによる走力向上が可能になった今でも、全ランナーの4%程度しか達成できていないタイムです。約4%、わかりにくいので他の分野でも考えてみましょう。

受験での偏差値で言えば67-68程度で、医学部医学科は絶対に無理ですが(サブ40レベルか?)、早慶レベルならば入学も見えてくるようなレベルです。収入なら社会人の5%ほどしか1000万円を達成しておらず超え、身長ならば超モテると言われる180 cm超えてきます。

ここまで具体化してみるとかなり難しいことだというのが分かると思います。しかし、難しいからと諦められるようであればそもそも目指していないわけで。

さて今回、2024年の1月に茨城県勝田で開催されたフルマラソンにて3時間切りを達成することが出来ました。どうして自分がサブスリーできたか?自分なりに分析して記録していければと思います。


勝田マラソンでサブスリーしました

前提

大事なのは知識である

サブスリーを達成するのあたって必要なのは知識であり、気合いと根性ではありません。気合いと根性をベースに練習を進めると故障しモチベーションダウン、練習のsustainabilityが削がれ、持続的な負荷と適応のサイクルに入ることが出来ず、いつのまにか練習をやめてしまいます(経験談)。

では、知識を身に着けるための情報源はだれ・なにか?。
本、動画Youtube、X/noteでそれぞれ挙げるとすれば

本:ダニエルズのランニング・フォーミュラ
動画:ウェルビーイング池上さん, 深澤さん (らんラボ)
note:Sushimanさん

あたりが非常に情報源として詳細であり素晴らしいです。
以下にウェルビーイング池上さんのyoutubeチャンネルのリンク、sushimanさんのnoteを添付しておきます。

これらの情報源を総合的に判断すると、

・フルマラソンとは速く長く走る競技である。だから、5000mを速く走るスピードと42.195 kmを走り切れる筋持久力が重要である。
・ポイント練習のみを重視するのではなく、ポイント練習以外の練習も持久能力の向上に重要である。ポイント練習の質がまったく同じなのであれば、ポイント練習以外の練習で速く走れる選手の方がレースで速く走れる。
・休足日を設けるのではなく、強度を極端に低くし走ることで骨格系の筋力向上を望める。結果、故障予防に繋がる。

月間走行距離:250 - 300 km程度

みなさん強く意識する月間走行距離。サブスリーに当たって必要なのは大体250-300 km程度とされています。

以下にいくつかのデータを示していきますが、ほとんどはカーボンシューズ以前であり、今はカーボンシューズで走力アップが期待できるのでもう少し短くても達成できるかもしれません。

サブフォーランナーが平均週4回のセッションに取り組み、合計33.1マイル(約53km)を走っているのに対し、サブスリーランナーたちは平均週8回のセッションに取り組み、走行距離の合計は65.9マイル(約106km)に達している。

https://www.redbull.com/jp-ja/how-to-run-a-sub-three-marathon-tips

フルマラソンを3時間未満で走る人の中における月間走行距離は、
300 km以上が40%、200 km以上で80%です

https://runnet.jp/project/enquete/2015/result/07.html

注意すべきこと

一方で、耳あたりの良いことを言う人には注意すべきです。LSDのようなきつく無い練習もしくはインターバルみたいな見栄えのいい練習を推奨していて、ちょっとおしゃれなトレランとか推奨しちゃって、インターネットの世界で人気があるようなタイプの人かもしれません。

彼らの価値は「ただしい情報を提供すること」ではなくて「即物的な楽しさを提供しPVを稼ぐこと」にあるので、速くなる、という目的において当たる情報源としては適切ではないです。

ランニングスペック / フルへの取り組み開始

ところで、元陸上部で学生時代の5000mベストが15分代でしたとか言っている人がジョグのみでサブスリーと言われてもあまり参考になりませんよね?充分に開発された有酸素系のベースがあり、それを掘り起こすだけで良いのですから。

一方、学生時代になんらのスポーツもやってなかった人がいちから有酸素系を構築し、サブスリーした場合はとても参考になります。

なので、サブスリー体験記を読むにあたってはその人のバックグラウンドが重要になります。

というわけで僕のスペックです。

中高と水泳をしていましたが、大学ではほぼ帰宅部。陸上経験がなければ、サッカー・スポーツ・バスケなどの下肢筋の有酸素能力を必要とするスポーツをまったく行っていませんでした。つまり、ほぼゼロから有酸素能力を構築する必要がありました。

はじめた理由としては太ってきてしまったからで、2019年の9月頃にランニングを開始し、記録が早くなっていく楽しさに目覚め、そこからは日々練習に励んでおりました。

本格的にフルマラソン出場を意識しだしたのは2021年の6月ぐらいから。以降2021年6月-2023年12月までの練習量を示します。

2021年は大体月間200 km, 2022年は大体月間250-300 km、2023年は350 km程度を目安に月間走行距離を積んできました。

ご覧になればわかると思うのですが、2022年度の4月までは月間走行距離がガクッと落ちる月があります。これは腸脛靭帯や股関節などの故障したからです。あたりまえですが、このような月があると長期的に練習できない期間が出現し、継続的な走力アップは望めません。

故障の発症日はポイント練習の実施日であり、原因が明確にポイント練習にあることはわかっていたので、日々のポイント練習でオールアウトを避け、故障の回数を減らすことで継続的な練習ができるようになってきたのが2022年下半期

そこからブラッシュアップを掛けていくぞ、という段階で2023年度を迎えました。

2023年度の持ちタイム4月にだしたタイムで、

5000 18’22”
10000 37’30”
ハーフマラソン 83’40”

これだけ見るとフルマラソンは余裕で3時間切れそうに見えてしまいます。その為、この時点からの課題はスタミナであると認識し、長期間の有酸素刺激を入れるためのトレイルランや峠走を多く行うようにしました。

しかし、勝田の90日前(10月)に走った島田大井川フルマラソンでは30 km地点で撃沈

どうやらスタミナではなくスピード持久力に課題があるぞ、ということでまずは30 km走の導入から始めました。

いま反省すると、長距離のトレイルランは自身のキャパシティを広げる(疲労耐性、筋骨格系の耐性向上→故障しにくくなる体づくり)という意味はありましたが、フルマラソンに結びつくような有酸素能力の向上にはあまり意味がなかったように考えます。

練習

10月30日〜11月26日

● ポイント練習
10 km ペーラン 3回(キロ4 2回、サブスリーペース1回)
30 km走 2回(5’10”-4’50”ペース、代々木公園外周のクロスカントリーで実施)

● レース
100 km 9時間39分
ハーフマラソン 4’15”ペース走として実施

新しい取り組みとして30 km走を実施。この練習に慣れていなかったこともあり、速度帯としてはキロ5程度で実施していました。

しかし、この時はポイント練に重きを置きすぎて、普段の練習の意味づけや意図もあまりはっきりとは考えおらず、漫然と練習していたように思います。なのでジョグも漫然と走りペースも適当で……。

加えて、100 kmのウルトラマラソンからのリカバリーに時間をかけてしまったこともあり、練習はスカスカで空き気味。

今考えるとこんな練習じゃ強くなれないよ、と思うのですが、南伊豆ウルトラマラソンでサブテン出来たので強くなっていると錯覚していました。怖いですね。

ちなみに夏の時期には25-50 kmのトレイルやロングトレイルをやっていたのですがその練習では心拍がジョグ以下ということもあり、フルマラソンに必要な走力は身につきませんでした

反省
1. ウルトラマラソンからのリカバリーで"休走"を多く用い過ぎた結果、練習の空きが多くできてしまった
→ リカバリー走と称して多少のジョグを実施しておくべきだった
2. 普段のジョグに超低強度走を多く使い過ぎた
→ ジョグでの質が高いことが継続的な走力向上には重要である。ポイント練習の設定タイムを多少外しても良いので、まずはジョグの質を上げるべき

11月27日〜12月31日

勝負レースと決めていたITJにて40 km地点で潰れ、これではいかんと決起したのがこの辺りからです。

● ポイント練習
10 km ペーラン キロ4 1回
30 km走 2回(4’54”, 5’02”)

● レース
Izu trail journey 70K 10時間くらい

11/27-12/10の期間はITJに対する緊張からメンタルブレイクしテーパリングと称してほとんど練習をしなくなった結果、調子が上がりきりませんでした。結果40 kmで撃沈。

マラソンなど長時間エンデュランス競技におけるエネルギー代謝を支えると言われている酸化的リン酸化。その第一段階に位置するクエン酸合成酵素は3日の休息でその量が減少すると言われています。現場におけるテーパリング論でもトレーニングの頻度自体は落とさないことが推奨されており、ここでのテーパリングははっきり言って失敗だったと言わざるを得ません。

まさかこんなに出来ないと思っていなかったので、しばらく情緒が崩壊、情報をかき集めて、練習を再構成したのが12/18-。

ジョグリカバリー、Easy、Steady state-Moderateの3段階に分けることで目的をはっきりとさせ、普段の練習でも速度や心拍を意識するようになりました。

が、12/28に体調を崩し四日間オフ。そこからリハビリとして30 km走をやった訳ですが、とても辛く。

テーパリングだけではなく、病欠によっても走らない日があることによる持久力の低下を痛感することとなりました。この感覚が1月の練習に繋がってきます。

加えて、この記事を書いている今、反省することとしては、11月が30 km走の導入時期ならば、12月には30 km走のレベルアップをやっておくべきでした。 (キロ5ではなく4'40"で、もしくは、30 km走から35 km走へ)

反省
1. 30 km走のレベルアップを行っていくべきだった
2. テーパリングで休足を用い過ぎている

1月1日〜1月28日

ここから1ヶ月前のとにかく練習の日々が始まります。

● ポイント練習
8 km テンポ走 3’55”
10 km ペーラン 4’15”
20 km ペーラン 2回 4’34”, 4’39”
30 km走 1回 4’58”
30 km トレイル 累積 1100 m

● レース
30 km 4’15’でペースランニング

意識したのは、
・ジョグの質について
・休足日を設けない
・レース前の調整、テーパリング

の3点でした。

ジョグの質については上でも書いたように、キロ5前後のEasyを多く取り入れ、そのほか低強度5’30”-6’30”前後のRecovery、4’50”-4’20”程度目標のSteady state-Moderateなど(6-8 km前後を走り、easyでのWarm upとDownで繋ぐ)、などなど、日々の練習のバリエーションを増やしつつ、何を強化しているのか?を強く意識しました。

Recovery
回復しながら出来る練習。靭帯や筋などの耐久性を向上させる
Easy
ダニエルズのEasyペース。心肺の強化、筋の代謝向上
Steady state-Moderate
Easyの効果+ランニングエコノミーの向上 (+ストレス解消)
リディア―ドのSteady state runを意識

具体的な週の練習内容としては週1-2recovery、週2-3Easy、週1-2Moderate、週2Point練習という構成。

ほか、レースペースまで速くはないものの、Steady state-Moderateでの20 kmランニング (ポイント練) など導入。特異性の高い動き、練習を意識しました。

また、休足日を設けないことで最初の1-2週間は疲労の蓄積を感じていましたが、適応が起こるとリカバリーが速くなり、日々の練習における質が向上したのを実感しました。単純なことですが、毎日の練習で速く走っている選手の方がレースでも速く走れるはずです。

レース前の調整ではITJの際の反省を活かし、

・オフを作らない
・4日前に刺激と称してレースペースで5 km走る

の2つを実施、レース前日のランではEasyの感触で4’50”程度まで上げれていたので、bestではないにしろbetterな調整が出来ていた気がします。

振り替えると、フルマラソンサブスリーを実現するのにあたって必要な練習は、実際にはほぼこの1月の練習のみと感じていますが、11月より30 km走を始めていたことも重要であったとは思うので適宜そのような背景も参考にしていただければと思います(練習は段階をおって導入していくことで適応を促すことができる)

レースの直前1週間前にキロ5とはいえ30 km走を実施したのはやりすぎなようにも思いました。もちろん、レース前1週間に遅いペースの30 km走を走っても大丈夫なように体を作っておくことは大事なのですが……。

反省
レース直前1週間前の30 km走は負荷が高いかもしれない

当日

レース中の体感としては、

0-1 km
Cブロック後方からスタート、あまりにも人が多すぎて全然進めない。
そして、トップトレイルランナーのナトリ選手がかっ飛んでいくのを見て驚愕。なんだあの速さ……。

1-25 km
マジで暇。チョコ食べたり水飲んだり。途中でお腹痛くなるが走ってると収まる。

25-30 km
少し辛くなってくるが、30 km着いた時点で島田大井川の時とは明らかに違う体感があり、そこからスピードアップ出来るのでは?という感触を得る。

30-32 km
Caffeine200 mg入りのジェルを導入、そこで脚の疲れが吹き飛ぶことを期待したがあまりなんともならない。なので、スピードアップしたつもりが、あまりペースかわらず。

32-35 km
32 kmのラップを見て、ペースが上がらないことに危機感を覚えるも、貯金を考えるとサブスリー行けるなーと考え、崩壊を防ぐために保守的に。

35-42 km
流石に辛く、もう止めたいと考えながら(いつもジョグやってる距離……)と自分を騙してゴールまで。
グロスではダメで、ネットでは行けました!みたいなダサい展開にならないように残り2 kmはプッシュ。

ゴールゲートの時間の表示が”2:59:—“であるのを見て、なんどもなんどもガッツポーズ。

グロス: 2時間59分33秒
ネット: 2時間58分54秒

と、いうような感じ。

30 kmまではジョグ気分で、とは言いますがそれが出来るのはあまりにも理想的な展開で、多くの人は僕のように25 kmくらいから少し辛くなってくるんじゃないでしょうか?

振り返り

思えば、2年前は故障祭り、1年前は徳島マラソンで25 km地点で潰れ。今年もどうせ無理なんだろ、と学習性無力感に陥っていたところでした。しかし、2時間代でゴールゲートを通ることが出来た時、こんな自分でも出来るんだ、と。すごく嬉しかったのを覚えています。

大事なことは?復習

ここまで触れてきたことを再度繰り返す形になりますが、大事なことに再度触れてみます。

・フルマラソンにおけるサブスリーは難しい。
(上位4%=早慶レベル、年収1000万レベル、身長180 cmオーバー)
参照する情報源はよく考えて選ぶべき
・月間走行距離は最低200 km必要。
・フルマラソンとは速く長く走る競技である。だから、スピードと筋持久力が重要である。
→インターバルによるスピードの育成だけでなく、30 km走などによる筋持久力の育成が重要
・ポイント練習のみを重視するのではなく、ポイント練習以外も持久力の向上に重要である。ポイント練習の質がまったく同じなのであれば、ポイント練習以外の練習で速く走れる選手の方がレースで速く走れる。
・休足日を設けるのではなく、強度を極端に低くし走ることで骨格系の筋力向上を望める。結果、故障予防に繋がる。
・(うえ2つを踏まえて)普段の練習でRecovery, Easy, Steady stateの概念を持つなどし、ジョグの選択肢を増やす
・テーパリングは休足日を設けるのではなく、頻度を保ったまま量を下げる

今後どうしていくべきか

さて、こうして無事3時間を切れたわけですが反省点もいくつかあり30 km走の改善は大事な要素だと思っています。

ペース: 遅い。クロカンでエフェクトをかけているとはいえ、4’40”-4’50”ペースくらいではやりたい
距離: 短い。キロ5でやっていくなら35 kmくらいは欲しい。

※ 質の低い30 km走でもサブスリーを達成できたのは、スピードにある程度の余裕があったからと考えます。
最短距離でサブスリーへ行くのであれば
ハーフ86-85分代を達成、
30 km走にtry、
30 km走の質を上げる4’40”くらいまで上げていき、
コンスタントに余裕度持ってやれるようになれば、サブスリーは安定してやれるようになると思います。

次の目標

サブスリーはフルマラソンのクリアだなんて言われますが、僕はまだまだ満足してません。

2021年のITJで憧れた景色に少しでも近づきたい。

次の目標はフルマラソンでの2時間55分切りです。やるぞー


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