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雑記64 サッカー : 日本対ベルギー戦ノート、岡田武史さんの言葉、リトバルスキー氏の感想、デ・ブルイネのドリブル前進
雑記 サッカー : 日本対ベルギー戦ノート、岡田武史さんの言葉、リトバルスキー氏の感想、デ・ブルイネのドリブル前進
文字数3000ほど
■岡田武史さんの言葉
サッカーの岡田武史さんは、西野監督との対談の中で、大体このような意味のことを言っていた。
「対戦する二つのチームの内、片方の、格下のチームがうまく噛み合って、100%に近い力をもし発揮できると、その時に対戦相手(格上とされる側)は強い圧迫を受ける。
そうなると、格上のチーム側は、100%や90%の水準の力はうまく出すことができず、40%くらいの力しか、試合の最後まで出せない、ということがある。」
↑表現など岡田武史さん本人の発言とは異なってしまっていると思う。岡田武史さんの発言を、自分の言葉でその大筋を説明しようとするとこういう具合になる。
岡田武史さんは、2018年W杯の、日本対ベルギー戦を振り返って、
「日本が力をもし最後の最後まで、最高度に高い水準のパフォーマンスを発揮し続けた場合、"本気のベルギー"の底力が、いかに日本の最高点をいかに大きく上回っていても、ベルギーは自分達の最高のパフォーマンスを発揮することができずに不完全燃焼状態のまま終局を終える可能性があった、と思っている。勝負というものは、そういう性質を含んだものだと自分は思っている。」
と言っていい意味の言葉を発していた。
これは、自分としては、「本気のパフォーマンスを発揮するということは、スイッチを押せば電気がつくようなことや、ツマミを回せばガスコンロに火がつく、というような具合には、"本気を出す・出さない" を決定できるものではなく、もっと微妙なバランスの上に成り立っていることだ」という具合に言い換えてもいいのではないか、と思っている。
この言葉は自分の印象に残っている。
■リトバルスキー氏の感想
日本の対ベルギーの敗戦は、「ロストフの悲劇」という名前が付けられて、サッカーファンの多くに記憶が刻まれていると思うが、NHKが過去に放送したこの試合についての特集番組は面白かった。
日本が2点目を決め、2-0のスコアになって、「もしかしてベルギーに勝つのでは」という雰囲気が盛り上がってきたタイミングで、日本選手のパスが、パスの受け手よりも手前にいた他の日本選手にぶつかってしまうミスがあったらしい。ボールはおそらくすぐに別の日本選手に回収された。
それは別にすぐさまピンチを呼ぶものでもなく、何気なく見過ごされるような小さなプレーだったようだが、日本サッカー界に馴染みのあるリトバルスキー氏は、家族とその場面を見ていて「日本チームにとって、これは実にまずいぞ」と内心、はっきりと思ったらしい。
(自分は、その試合をリアルタイムでTV観戦していたが、その場面について全く何も記憶がない。)
(自分は、日本が失点して2-1になるまで、「これは日本チームはいけるのではないか」とばかり思っていたので、そういう展開の中で、上記の見解を抱いていたリトバルスキー氏の眼力に感心するばかりである。)
リトバルスキー氏の家族は、日本の2-0リードの展開に少なからず驚き、意外な展開に沸き立っていたらしかったが、リトバルスキー氏は一人内心、
「日本にとってこれは非常にまずい展開かもしれない。このようなプロのレベルではほとんど見かけないような凡ミスが今、発生するというのは、日本チーム自身が意外な展開に大きく動揺している、ということの現れのように自分には感じられる。今2-0でリードしているが、日本チームの精神状態は、何か危ういものをはらんでいるかもしれない。」
という意味のことをひそかに思ったらしい。
(結果は、2-3のベルギーの勝利)
■山口蛍選手 対 デ・ブルイネ選手の大刻みなドリブル前進
番組で取り上げられていて、他に印象に残ったのは、試合終了直前のベルギーの逆転ゴールにつながった場面での、デ・ブルイネ選手と山口蛍選手の駆け引きについての話だった。
デ・ブルイネ選手がスピードを上げて、ドリブルで駆け上がってくる。その進行方向に、山口蛍選手がいる。
デ・ブルイネ選手のドリブルは、各タッチごとに、ボールを大きく自分の前に蹴り出して進むものになっていて、例えばそれを「大刻みのドリブル」と呼ぶとすると、
山口蛍選手は、デ・ブルイネ選手がこのまま大刻みのドリブルをしながらもう少し前進してきたら、例えば、あと2タッチ後のタイミングでボールを奪うことができる、と思ったという。
この時、山口蛍選手には、デ・ブルイネ選手のドリブル前進に対して、二つの選択肢があり、
①一つは、デ・ブルイネ選手のドリブル前進に対して積極的にアプローチして、大刻みなドリブルに対してタイミングを見計らってボールを奪う、というものだった。
②もう一つは、デ・ブルイネ選手のドリブル前進を多少はケアしつつ、消極的に対応するというものだった。
デ・ブルイネ選手に引っ張られて山口蛍選手も前に出て行くとその後ゴール中央を守る役割などに復帰することが難しくなり、それを避けるためにも、デ・ブルイネ選手に対しては、ボール奪取を狙わず、あくまで大まかにケアする、という具合にとどめる、というものだった。
もし、デ・ブルイネ選手が小刻みなドリブルで前進していて、「これは彼からボールを奪う隙はなさそうだ」ということが見え見えであれば、山口蛍選手は②の、デ・ブルイネ選手に対して消極的にケアし、ボール奪取よりも、ゴール前の守備に戻れる余裕を残しておく を選んだ可能性が高いが、
デ・ブルイネ選手が 大胆にボールを前に蹴り出しながら、大刻みなドリブル前進をするのを見て、山口蛍選手は ① の選択肢、デ・ブルイネ選手の隙のあるドリブルを相手に、タイミングを見てボール奪取をする選択肢を選んだ。
山口蛍選手が「今だ」とタイミングを見計らって、デ・ブルイネ選手の次のボールタッチの瞬間にデ・ブルイネ選手に急接近したところ、驚くことにデ・ブルイネ選手は、そのタイミングでさっきまで大刻みだったドリブルを、小刻みなものに変えたらしい。
大刻みなドリブルだとタッチとタッチの間に大きく間隔ができるが、小刻みなドリブルだと各タッチ間の間隔が短く、コントロールが効きやすくなる。
山口蛍選手は急接近したが、デ・ブルイネ選手は タッチ後に即座に再度、新たにタッチが可能になっていて、それによってデ・ブルイネ選手は、デ・ブルイネ選手視点で右サイドへとパスを出すことに成功した。山口蛍選手は、前に引き出されてしまい、それによってゴール前の守備に戻ることが難しくなってしまった。
デ・ブルイネ選手は、おそらく意図して (スピード速く展開したいという意図もあったと思うけれども) 、撒き餌を撒いて罠をしかけるような具合に、大刻みなドリブルを行い、「わざと隙のあるドリブルを山口蛍選手に披露していた」のではないか、と解釈していいような内容であった。
この高い水準の駆け引きにおいて、デ・ブルイネ選手がこの場合は山口蛍選手を上回る形になったようであった。
ベルギー戦の最後の失点が、ボールがベルギーに渡ってから14秒間の内に起こったというのは、割と広く知られているように思うが、(その番組のタイトルが"ロストフの14秒"というような感じのものだった気がするがうろ覚えである…) その間の出来事の内訳を、この番組のようにわかりやすくピックアップして、焦点を当ててくれるのは、自分としては有り難いと思った。
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