ブラジル若手サッカー選手のショーウィンドウ
ブラジルのサッカーシーンは
毎年1月のU20大会、コッピーニャ(コッパ・サンパウロ・デ・フチボウ・ジュニオーレス)で始まる。
今年はブラジル全国から128クラブが集結して、サンパウロ州の各地で試合が展開されている。
グループリーグ後のノックアウトラウンド第2戦の
レッドブル・ブラガンチーノ対ボタフォゴ戦を見るために車で高速を3時間飛ばしてきた。
レッドブルにはパートナーシップ契約をしているヤンマーがスポンサーのセレッソ大阪から19歳のJリーガー、岡澤昂星選手が10番をつけている。
昨年の8月から期限付き移籍をしており、コッピーニャの終了とともに帰国する。
ノックアウトラウンドでマッタマッタ(Kill Kill)なので、見に行かねばと車を走らせたのだが、
グループリーグ第1戦のレーミ市(Leme)もそうだが、ブラジルの田舎は本当にのどかだ。
サンパウロ市の中心部に住んでいると田舎のことを忘れてしまうが、こうしてたまに郊外の高速を飛ばすとこの国の広さ、農地の豊かさを実感する。
そして、素朴なスタジアム。
パルメイラス、コリンチャンス、サンパウロは大都会サンパウロ市がホームで、豊富な資金を持つ、ブラジルのみならず国際的なエリートクラブだ。
一方、地方のクラブはそれほど資金を持っていない。
スタジアムは自前でなく市立。
町にスタジアムがあるのが当たり前。
コンクリート打ちっぱなしの素朴なスタジアムは30年前にブラジルに来た頃のことを思い出させてくれる。
ピポッカ売り(ポップコーン)がいて、ピポッカをつまみながら、観客はヤジを飛ばし、好き勝手なことを大声で叫ぶ。
地方のクラブは常に資金不足ながらも、コッピーニャに夢を託して参加する。
ブラジルの育成世代はU20まで。その後、トップに上がれなければ、他のクラブにレンタルされるか、移籍するか、海外移籍するか、崖っぷちだ。
コッピーニャで活躍して注目を集めることは、選手、選手の家族の夢であり、切なる願いである。
育成世代はわずかなサラリーしかもらえない選手がほとんど。月に4万円の子達もいる。
期日通りもらえればマシな方。
しかし、ここから
海外のクラブに移籍する子も生まれる。
移籍金が発生してかぞくを幸せにすることができるかもしれない。
プロとして生き残れるか否かはたんに夢を追いかけるかどうかではなく、食べていけるか、家族が金銭的に報われるかどうかでもある。
そんなことを考えながら見ると、どの選手も応援したくなってしまうのだ。
そして、選手だけでなく、監督はじめスタッフ達にとっても、大きなチャンス。
選手は一攫千金という夢が広がるが、育成世代の監督、コーチ達はプロチームの監督のような高いサラリーでないながら、選手達を物ではなく、人間として育てる役割もあり、本当にサッカーと指導することに情熱を持っている人でなければやれない職業だ。
この人たちがブラジルのサッカーを支えてくれている。この人たちの愛と情熱がブラジルのサッカーの強さなんだといつも思う。
そういう人たちがメソッドではなく、情熱で作っているのがブラジルサッカーなんだと。