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外国人介護人材を採用する企業の現状と課題(島根県出雲市)

 引き続き、現在の島根県内での海外との関係として、最も目に見える関係の一つである「外国人雇用」について取り上げます。
 今回は、先般紹介した外国人人材を介護分野で活用する企業の取組を再び取り上げ、具体的な事例を通じて、現状と課題について書いてみます。

 なお、個人的には、今後10年間程度のスパンで、ますます重要性が増していく企業課題の一つが外国人雇用だと考えています。この分野における行政支援の重要性も一層増してくると感じています。

1 外国人材流入が期待される一方、人材定着が課題

 ※地元紙「山陰中央新報」(2024年10月24日)より抜粋し、紹介します。

○在住外国人が5000人と多い出雲市(人口17万人)だが、そのうち介護職場で働く外国人は、22事業所で34人と少ない

その中の一人、ミャンマー国籍のティリメウィンさん(25歳)は、働き始めて5カ月。現地で1年半ほど日本語と介護の勉強をした後来日し、技能実習生として働く。
ちょんぼし(少し)、たばこ(休憩)など、出雲弁に苦労しつつ、無遅刻、無欠勤で、入浴、食事、トイレの介助を任されている。休憩時間には日本語の勉強に取り組む。
「入所者が喜んでくれると自分も楽しい。この仕事を続けたい」と話す。

○外国人の介護人材を確保する事業所に対する出雲市からの支援策

 出雲市が独自に制度化した補助金による支援内容は、介護福祉士の養成校に通う留学生や特定技能外国人を採用した場合、留学生は100万円、特定技能外国人は20万円を上限に、経費の2分の1を補助するものである。

 この補助制度については、「留学生と特定技能外国人を組み合わせて採用でき、市の補助は助けになる」との声がある。例えば、外国人留学生の場合は、渡航費等を含めて3年間で1人約300万円が必要になるためである。

○課題は外国人人材の定着。生活面のケアも必要。

出雲市内の介護事業所では、孤独感から外国人材が短期間で去った事例がある。この事業所では、人材定着のためには、職場環境に加え、生活面でのケアも重要だと考えている。

なお、3年後の27年頃には「技能実習」に代わる新制度として「育成就労」が始まるが、新制度では「転籍」がしやすくなり、最低賃金が高い都会への人材流出が懸念される。

現在の出雲市の外国人人材への支援や施策の中心は「人材確保」であり、「人材定着」への取組はこれからだという。

賃金アップだけでなく、メンタルや生活習慣も含めたサポートなど、行政の施策の深化が求められる。とのことです。


2 感想


最近、出雲市の外国人の雇用面での先進的な取組が多く見られます。できるところから取組を進め、新たな課題が出てきたら、それに対応していく姿勢が感じられます。雇用面の支援から、人材定着の支援へ、という流れもその中で必要性が認識されてきているようです。

外国人を雇用する事業者自らの工夫や取組が最も重要であり、行政支援はその足りないところを補完すべきなので、事業者との意見交換をしっかり進めた上での施策構築が求められます。


最期に、以前、外国人雇用に関する企業の皆様向けの島根県庁の支援策を紹介しました。あらためて、これらの支援策の概要をお伝えします。

https://note.com/ondakazuki/n/nff0821e90df2

https://note.com/ondakazuki/n/n7a3700ba2385

外国人雇用相談窓口

島根県庁商工労働部雇用政策課に外国人雇用の相談窓口を設置しています。相談員が常駐していますので、電話等で、気軽に相談していただけます。

https://www.pref.shimane.lg.jp/industry/employ/koyo_syugyo/gaikokujinnokoyo/index.html




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