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やっと「ミセスハリス パリへ行く」を観る

友人がぜひ観てみて!と言っていた映画「ミセスハリス パリへ行く」がNetflixにやってきました。
AmazonPrimeで公開されめいたものの、レンタルだったので二の足を踏んでいたので、待ってました!という感じ。お勧めしてもらってから一年やっと鑑賞。

この映画を薦めてくれたのは3泊4日の韓国旅行の帰りの仁川空港へ向かう高速列車の中。旅の疲れもあってか映画を見る時も、お芝居を見る時も、本を読む時も、何にも知らずに観るのが好きなのですが、めずらしくしっかりあらすじや、ネタバレだけど…という友人の説明を楽しみました。
珍しくストーリーを知ってて観る映画は、細部までこだわった映像の素晴らしさや、俳優さんたち(特にハリスさんを演じたレスリー・マンヴィルのキュートさったら)が魅力的もあり、ストーリーを知っている分安心して鑑賞。

イラストが素敵なリンクは、映画を観る前でも観た後でも楽しめるのでぜひ。

クリスマスがテーマではないのだけど、クリスマスっぽい映画かなあと。

あらすじ
1957年、第2次世界大戦後のロンドン。夫を戦争で亡くした家政婦ミセス・ハリスは、勤め先でディオールのドレスと出合う。その美しさに魅せられた彼女は、フランスへドレスを買いに行くことを決意。どうにか資金を集めてパリのディオール本店を訪れたものの、威圧的な支配人コルベールに追い出されそうになってしまう。しかし、夢を決して諦めないハリスの姿は会計士アンドレやモデルのナターシャ、シャサーニュ公爵ら、出会った人々の心を動かしていく。

参照元:映画.com

映画を見終わって感想を書こうと意気込んでは見たもの、いろいろと感じることが多過ぎてなかなか考えがまとまらないうちに日々は流れ、そうしているうちに特に印象に残ったシーンがいくつかくっきり浮かび上がって来ました。

この映画、「憧れる気持ちを大切にして一歩踏み出せば、思いは叶う!」そんなメッセージが一番大きいと思うのですが、私はもう少し踏み込んで思いを叶えるためには行動を起こすだけでなく、その前から思いが叶う準備がされていたハリスさんだからこそ、思いは叶ったのだと伝えてると感じました。

ハリスさんはけっして特別な能力や技能の持ち主ではなく、今をしっかり味わいながら暮らす平凡といえば平凡な方。
ロンドンで家政婦をしながら慎ましくくらし、戦争が終わっても戦地から帰らない夫を待っている58歳の女性。映像からは子供はいないようす。

ハリスさんの普段の暮らしぶりが垣間見えるシーンが素敵。半地下のあまり火の当たらない家は、質素ながらも綺麗に整えられていて植物にお水をあげるシーンがあったり。一人で食事するテーブルには、カラフルなかぎ針編みのポットウォーマーをつけたティーポットがあったり。白いレースのテーブルクロスは大きな大作じゃないところが、ハリスさんの手作りなのでは?と、仕事先でていねいに繕い物しているハリスさんのようすから、きっとそうだと想像したり。いろいろな事がありつつも、小さな暮らしを楽しんでいるのだろうなあと思い憧れる。 


家政婦の仕事は大変そうだけど、ハリスさんは自分の仕事が好きだと思う。

なんたって、パリに行った先で居候させてくれたアンドレの家を掃除して夕食を作っていたし。ディオールのメゾンでドレスを作ってもらう側なのに、ボタン付けが上手だとその手腕を求められたり。そのうえ、お針子さんたちに信頼されていたっけ。


ハリスさんは軍需工場で出会った女性と、今も家政婦仲間で親友。

第二次世界大戦が終わって数年がたち、日々の暮らしも仕事もそれなりに安定して来た頃のようで、ハリスさんに欠けているものは。戦争が終わっても帰ってこない夫のエディだけだったのだろう。
そのエディが戦地で亡くなって何年もたっていたと知ったハリスさんは、家に帰る途中のロンドン橋で夫エディを思い「痛くなかったかしら、苦しまなかったかしら…」とだけ言いながら泣くのですが、何かに怒りをぶつけるわけでなくただ、エディのことだけを思う姿に、なんて優しい人なのだろうと。

いろいろな困難な出来事がハリスさんに起こるのですが、ハリスさんって怒らないんですよ、もちろん落ち込むことはあっても人を責めないの。だから困難なことが起きても協力してくれる人が出てきて乗り越えて行ける。
これって人生の極意だなあ。

あと、戦争が終わって物事の価値観が変わってゆく中を生きるハリスさんや、他の登場人物の決断する姿をみて、大切なことは何かということも考えさせられました。


最後にハリスさんの衣装。
ディオール全面協力のドレスの数々はもちろん、私のハートに響いたのはハリスさんの普段着。

ロンドンといえばリバティプリント。

ハリスさんの普段は、小花柄のプリントのブラウスにスカート。そして、同系色の違う小花柄のプリントのエプロン姿。
その小花柄の色合いや柄の雰囲気が、リバティじゃないかなぁと思うのです。違っていたとしても、プリント×プリントの合わせが絶妙。特にエプロンにほどこされた同じ色調で鮮やかな色のパイピングが、コーディネートをひきしめていて素敵すぎる。

パリに滞在中は、ディオールの会計士アンドレの妹の洋服を借りるのだけど、こちらもシンプルで善き。

ハリスさんだけでなく、キャスト全員のコーディネートに人柄がつよく表現されていて、深い意味があるって、ファッションも楽しい。

最後の方のシーンで、新たな道を歩み始めたディオールの専属モデルだったナターシャのコーディネートがめっちゃフレンチカジュアルで可愛い!この姿は以外でいて納得。前もって知らずに見て欲しい。

ての登場人物の着こなしに意味があって、着こなしって人を表すものなんだとあらためて感じました。


原作の日本語訳は1979年12月に刊行された『ハリスおばさんパリへ行く』(講談社文庫)を、現代向けに加筆修正し、角川文庫化されている。原題は「Mrs Harris Goes to Paris」。
イギリスではドラマ化もされて人気だったのだとか。その後、「ハリスおばさんニューヨークへ行く」「ハリスおばさん国会へ行く」「ハリスおばさんモスクワへ行く」といろいろなところに行っているらしい。どんな活躍をしているのだろう。そちらも大いに気になります。

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