ショートショート 「信号を守らぬ男」/おせっかいな寓話
信号を守らない男がいました。男は自慢げに言うのです。
「俺は基本的に信号は守らない。守る必要がない。俺は渡りたいときに道路を渡り、これまで一度も車にひかれたことはない。自己責任でうまくやれている」
しかし、男が無事でいられたのは、通りがかった自動車が急ブレーキで止まってくれたり、周囲の人が見かねて男の袖をつかんで引き戻してくれたりしたからなのです。
ですが男にしてみれば、自分が渡りたいときにやってくる自動車は邪魔者でしかなく、袖をつかむ周囲の人々は妨害者でしかありません