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舞の海みたいな自分の不利なステージで役割を勝ち取る人物を誰が嫌いになるの?な話

※劇場版スラムダンク/ザ・ファースト・スラムダンクの感想です。ネタバレしないようには気を付けて居ますが、求めるレベルによっちゃネタバレと感じるかも知れません。ご注意下さい。因みに私自身はネタバレ平気な人間です※


OPから心奪われた。

最初に鉛筆タッチで現れる宮城リョータ(劇場版主人公)正面を向いたまま歩みを進めると、また誰か選手が描き出されていく。
あれっ、大き過ぎない?宮城が小さいとは言え身長高く描き過ぎじゃない?と不穏に感じながら、描き上がる頃にはちゃんと2人のバランスは取れている。
3人目が現れた時に気付いた。新たに描かれる人物は宮城より少し先に居る設定なんだって。だから最初デカ過ぎると感じるけど、全体像が分かる頃には横並びになって身長差も調整されて、全員で歩みを合わせていく。
この仕掛けに気付いたらもう目が離せなかった。


いやースラダン劇場版、ザ・ファースト・スラムダンク良かったわ〜。Netflixで6月から配信始まった途端に旦那が激推しして来て見たんだけど‥めちゃめちゃ良かった!
旦那は映画が封切りになった時点で、当時高校生の次男と映画館で見ていたんだけど、私はその日別の用事があったから遠慮した‥ってかメインキャラの声優さんが変わるって聞いててソレが引っ掛かってたから見る気が起きなかった。

でも旦那は感想を誰かと言い合いたくてこの機会を待っていたらしい。絶対ネタバレしたくない人なんで、どうだった?って聞いても、面白かったよ?しか言ってなかった。
旦那好きなんだよ、スラムダンク。単行本全部持ってるし、アニメも見てた。私だってそうだけどね!!いや見ようじゃん、配信してから毎日「見た?」って言ってくる位だからよっぽどなんだろーよ。

いや、マジで良かったわ。

声優さん云々言って映画館スルーしたの勿体無かったって思う程には感動した。
前の声優さんが大切なのは変わらんけど、新しい声優さんもバチっとハマってて何にも気にならんかった。ゆーじんも岩ちゃんも2人ともゆずじゃん?って位に違和感無かった。

劇場版の話の筋は、原作の山王戦(公式戦無敗の超チャンピオン高と主人公の属する全国大会初出場高の対決)をぎゅっとしたモノに加えて、宮城リョータって原作主要キャラクターのドラマが結構量有る。半々くらいかな。

先に言っとくと、劇場版を中途半端な作りだなぁって思った人いっぱい居ると思う。原作ファンはいやあの名シーンカットする?ってなるし、原作見てない人は中途半端にキャラの過去が出て来て置いてきぼりくらっただろーなって。
でも、そう言う不満を覆い尽くしてどうでも良くさせてしまう凄さがあった。


高校生次男はちょこちょこ分からんトコはあったけど、とにかくバスケの試合がカッコよくてアレだけで見に行って良かったと言ってた。
私もソレをめっちゃ感じた。素人が言うの本当アレなんだけど、井上雄彦先生の描く人間て手足真っ直ぐ過ぎると思いません?変だとか言うつもりでなくて、漫画的で無いなって。
静止画のキャラクターを動いているように見せたり、より自然に見せるのに手足が湾曲してるように描いたりする必要あると思うんだけど、井上先生は真っ直ぐなままでソレをやってのけてしまう。

ソレが今回のフルCGと相性バッチリ合致。フルCGってセルアニメ世代の自分には、ん?な感覚あったけど、全然コッチのが素晴らしかった。
真っ直ぐなバットが真っ直ぐなままボールを場外まで運ぶ。考えてみりゃ当たり前なんだよね、真っ直ぐだから芯が有って、だから力が伝わる。からの力強さとスピード感。ずっと続け!まだ見たい!ってアドレナリン出まくった。


映画オリジナルキャラのリョータ母は、最初っから打ちひしがれている。家族の辛い出来事を受け止めきれずにリョータとぶつかったり、怒鳴りつけたり、お母さんしっかりしなよ‥ってなるシーンが結構使われてて、しかも高2の息子を未だちゃん付けで呼ぶトコに違和感感じてたんだけど、単純に切り捨てらんない理由も丁寧に描かれてて目の奥がジワっとした。

思い出を大切にしたい息子と、子供達と生きる為に自分の気持ちを封印する母。立場が違うからギクシャクしてしまうの胸が詰まって辛くなってしまう。

でも作中でリョータ母が子供達を必死こいて育てようとしてるの示唆されてる描写も結構有って。この物語に一見不要なリョータ妹(映画オリキャラ)が明るく無邪気で良い意味で空気読まない所がスポット的に重い空気を明るくしてくれるんだけど、そうやって育てたのはお母さんなんだよね。
それに子供にスポーツさせるの本当お金掛かるけど、収入面でも精神面でもキツい筈(その理由も作品内にちゃんと示されてる)なのにバスケ続けさせてる。

過去を置き去りにしてでも前を向こうとしてもがいて、でも無意識に昔に留まっていたかった気持ちが、リョーちゃん呼びに表れていたんだろうなって。
だからこそ映画のラストは泣けた。どんなだったかってーと、家族再生の物語って最高だなとだけ。

これ、アニメオリジナルって普通悪評集めがちだと思うんだけど、絶対必要だったなって個人的には思った。原作ファンと原作知らないけど‥な派のどっちも知らないストーリー。2者の緩衝材として機能してる。
エンドロール見たら脚本に井上先生が居て、(後で公式サイト確認したら監督もそうだった。)アニオリ部分は即ちスピンオフ。すんなり腑に落ちる筈だよね。


もうひとつ、この劇場版音楽も良いんだよねー。特にEDの、第0感/10-FEETめっちゃカッコいい。ボーカルの声がシャープでスタイリッシュなんだけど泥臭さを厨二で混ぜ込んだ歌詞がまた秀逸。こんなん好きになるじゃん絶対。

映画見に行ってからこっち、映画館組の2人でこの曲カラオケ熱唱してっから仲間外れされてムキーってなってたけど、私も映画見てないのに美味しいトコ取り出来ないって思ってたけど、もう遠慮しねえ。
曲の構成は結構単純で分かりやすいけど、だからこそ逆に勢いだけだと白けてしまう。声を律しないと上手く歌えないタイプの楽曲だと思う。いや素人カラオケだから勢いで歌うけどね!



所で、この記事タイトル詐欺じゃね?って思った人〜?
分かります。身長168㎝宮城リョータ(NBA身長平均198)と171㎝舞の海(新弟子検査時点で身長足りず頭にシリコン入れる)の話題ねーもんね、分かります。
でも、劇場版スラムダンクそのものが、そうだと思ったんだよ。

今映画化?
満を持して‥いや機を逸してるだろう?
若い世代は知りもしねーよ。

ねっ?コレを覆す。正にスラムダンクそのもの。


(映画公開当時にこんな記事や呟き書いてます。良かったら。流川と言えばイヤホンだったのよ。)

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