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Z世代に刺さりたい!レトロブームに乗っかった話


家庭用カラオケ機を知っているヒト〜? 

レーザーディスクじゃないよ?カラオケ専用カートリッジと一般的なテープを再生・録音できる本体は機能の少なさの割に大きさは半端なく、ちょっとしたスタジオで使われるアンプ位のデカさ。カートリッジは大沢在昌の新宿鮫シリーズ文庫版の容積で、伴奏のみで歌が入ってない楽曲を4曲収録。それがスーツケースに30本程ぎっしり詰まったセットになってんの。

私の幼稚園最後のクリスマスプレゼントは、そのカラオケカートリッジの中の1本だった。

いやコレしゃーないのよ。ウチは元々クリスマスを祝うような習慣は無かったから私自身も目の前を通り過ぎ、時に構おうとしてくるサンタの足跡を見ないよーにしてたから、クリスマスプレゼント自体が良く分かって無かったんよね。

何はともあれ私はそのカートリッジで歌いまくるカラオケ女子となり、3年目の浮気や帰ってこいよ、ルビーの指輪等の歌謡曲&演歌を歌いこなすように。近所のおっちゃんオバちゃん大喝采。
恐らく私のカラオケ好きはその原体験からだと思う。

時にはその子供には大き過ぎる機材を抱えて、自室の有る2階への階段を登った。志村けんさんは最初ドリフターズのローディだったと言うから私と同じような働きをしてたのだろう。感慨深い。
そうして苦労して運び込んだ部屋で、カラオケ本体をTVの真ん前に設置し空テープをスロットに入れ、うる星やつらの劇場版を録音したものだ。

当たり前にそこら中の音を拾う内蔵マイクに気を遣い、部屋の端っこで息を潜め笑うトコも笑わずにジッと映画を見た。後1時間30分‥後1時間‥
そうやって残り後15分。びっくりする声すら我慢してる事に限界が近付いてる、そう言う場面で大体来るんだよ邪魔が。

「ちょっと、ご飯出来たんだけどー?早く食べな!」
「あー!映画録音するから静かにしてって言ったじゃん!今のテープに入っちゃったよ!」
「ラーメン伸びるから早くしなー」
「ひどい!映画は今日しかやらないのに!」
コレまるっと録音されてた。私の声も含めて。むしろ私の声のがデカかった。


三男が何をやってんのか良く分からないが、リビングに設置した家族共用PCの前でツバよけカバーみたいな丸いのくっつけたマイクに向かって歌っている事が有る。ドア・窓、閉め切ってるけど音は漏れ漏れだ。

「おーい、早よご飯食べー。片付かないよー。」
「ちょっ、ドア開けないでって言ったじゃん!」

あの頃の母も私が何してるか良く分からなかったのだろーな。今ならよく分かる。文句をぶつけて来る三男に、知らねーよ後で撮り直せ。っつー気持ちで言った。
「ラーメン伸びるから早く食べなー。」
コレは歌好きの必ず通る道なんだろう。

だからと言ってカラオケカートリッジをクリスマスプレゼントにしようとは思わない。

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