もしも時を巻き戻せたら。
もう、だいぶ前のことだが。
勤務帰りの電車内(立ち)で、目の前に男性2人がウンウン、と頷き合い、熱心に何かを語り合っていた。
見たカンジ。
アニメとか…アイドルとか…そういう話題で盛り上がっていそうな雰囲気で。
聞くとはなしに、彼らの会話が耳に入ってくる。
うん?だいぶ政治的な…国際情勢のはなし?何だろ、そういう話題?
大学生…ではなさそうだけど…と、ついつい興味が湧き、聴き耳を立ててしまう。
*
なにアカデミック。めちゃ面白い話してる。
意外すぎた。
…どうぞ?続けて?
ふんふん。
…続けて?
端から見れば、3人組と思われるであろう位置にまでついていた。
*
「”戦”はあってもさ、ホラ…」
面白かったのでここまで内容をありありと覚えている。
人生の後先で、あんなにも”後ろ髪を引かれる”降車は無かった。
私は電車を降りてしまった。
乗り換えを考慮すれば、終電となる時間だった。
とても、とても、後悔していることの一つなのだ。
何故、知的好奇心の赴くままに、そのままついていかなかったのか。
もしも時を巻き戻せたら。
きっと今なら、終電上等、と彼らの会話を気の済むまで拝聴したであろう。
(そら休職中だし)
何なら、そこもう少し詳しく、と進行として参加したかった。
明日のことを考えたのは決して悪いことではないが、数年経ってもこうしてずっと気になっているのであれば、正解は終電上等、の選択であった。
「…そういう変化っていうものが」
の続きは想像することはできなくは、ない。が、あのまま聴いていたかった。
*
もしも時を巻き戻せたら?と隣の女子達が話をしている。
不意にこのことを思い出した、今日の電車内。
-20220418-