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ネタバレ感想 / 刑務所ごはん 著:汪楠、ほんにかえるプロジェクト

2024年11月14日発行。

受刑者200人にアンケート取材。料理レシピ掲載という興味深い一文に思わず手に取ってしまった本。

予算が限られた中で、そして作る側も受刑者という特殊な環境でどんな食事が出てくるのか?受刑者はどんな思いで食事をするのか?が垣間見えるのですが、本当に食事についてに重きが置かれるので、暗い気持ちになりすぎず読めました。
こんな食べ方が好き、こんなことが辛い、と受刑者の直筆の手紙も載っていて、見応えがあります。写真が綺麗なのでうっかり忘れてしまうけど、これ、全部冷えちゃってるんだよなあ。ラーメン、うどん、カレー、毎日毎日冷えてたら辛いかも。

出所した後の生活を想像し、あれがしたいこれが食べたいと考えるけども、まず役所に行き必要な手続きする、定住所を自力で探すなどいきなり難易度の高いあれこれを一人でやらねばならない。
そもそも社会に出て働いている人でも栄養失調になったり1日一食で過ごしている人もいる現在、「刑務所の食事じゃない、美味しい温かいご飯が食べたい」と思っても、自分がそういう食事を定期的に食べられる生活を送れるまでに越えなきゃいけない壁が多すぎです。p.116のチー坊さんの特別寄稿には考えさせられるものがありました。今の仕事も結局昔の仲間に声をかけて見つけているし、再犯率が高いのもなんだか納得してしまう話。

巻末のプロジェクトスタッフのインタビューも興味深かったです。受刑者に対して気持ちはあるんだけどある意味ドライにも感じました。でもこのくらいの距離感じゃないとやっていけないかもしれない。絶妙な線引き加減を感じるインタビューでした。

なにか毎日の食事作りのヒントになれば、と思って読んでみたけどそれどころじゃない内容で1日で読んでしまう本でした。


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