見出し画像

No.105 エスワティニ王国 ~台湾のアフリカ唯一の同盟国~

皆さんは「エスワティニ」という国をご存知でしょうか?2018年まで「スワジランド」として知られていたこの国は、アフリカで唯一、台湾と正式な外交関係を持つ国として注目を集めています。

国名変更の背景:Switzerland??

エスワティニという国名には興味深い由来があります。旧称のスワジランドは「スワジ人の地」を意味しますが、現地語の「スワジ」と英語の「ランド」を組み合わせた混成語であり、またローマ字においてSwazilandとSwitzerland(スイス)と混同されやすいという問題がありました。そこで2018年、独立50周年を機に、現地語で「スワジ人の場所」を意味する「エスワティニ」に改称されました。

アフリカ最後の絶対王制


エスワティニは「アフリカ最後の絶対王制」とも呼ばれています。形式的には立憲君主制を採用していますが、実際には国王に強大な権力が集中しています:
- 首相や閣僚の任免権
- 議会解散権
- 法案拒否権
- 税金や刑事・民事上の責任の免除

現国王のムスワティ3世は1986年の即位以来、この強大な権力を維持しています。

台湾との特別な関係


エスワティニは、アフリカでは唯一の台湾承認国です。2024年2月には、両国の協力関係を示す以下のような進展がありました:
- 女性のビジネス支援基金の設立
- 高雄市とムババーネ市の姉妹都市提携
- 石油会社間の協力覚書締結

伝統文化の継承


エスワティニは近代化を進めながらも、独自の文化や伝統が世界でも驚かれる、また人権侵害ではないのかという伝統があります。ここまで国の伝統としていると、世界からも注目の伝統となっています。

- 毎年8-9月の「リード・ダンス」祭り
リード・ダンスは別名「処女ダンス」とも呼ばれ、その内容は未婚女性たちがリード(葦)を持って踊り、それを王母へ差し出すというもの。そして王はこの中から女性を選ぶという祭りになっています。上半身は露出しています。

- 一夫多妻制の継続(現国王は14人の妃を持血、子供は25人とも)
- 伝統衣装や祭りの継承

最近のニュースだと、南アフリカのジェイコブ・ズマ(Jacob Zuma)前大統領(82)の娘、ノムセボ(Nomcebo Zuma)さん(21)が2日、エスワティニ(旧スワジランド)で国王ムスワティ3世(King Mswati III、56)の新しい花嫁を選ぶ伝統的な儀式「リード・ダンス(Reed Dance)」に参加し、婚約を確定させた。
毎年恒例のリード・ダンスは、首都ムババーネの南東23キロに位置するロバンバ(Lobamba)にある王家の村ルジジニ(Ludzidzini)で開催された。女性と少女5000人が参加し、ムスワティ3世の前で踊りを披露した。

国際関係の複雑さ

台湾との関係維持は、中国との関係において微妙な立場を生んでいます:
- 中国は台湾との断交を目指し圧力
- 貿易では中国が第2位のパートナー
- 民主主義を重視する台湾が絶対王制を支援する矛盾

しかし、エスワティニは揺るぎない台湾支援を表明し続けています。2024年の台湾総統選挙に際しても、選挙の公平性と民主的価値への賛辞を送っています。

このように、エスワティニは伝統と近代、東アジアの国際関係、アフリカの発展という、様々な要素が交錯する特異な位置にある国と言えるでしょう。
問題もありますが、外交において独自路線を貫くその姿勢は学ぶものもあります。
その動向は、今後のアフリカとアジアの関係を考える上で、参考にもなるはずです。

ON AFRICA note center

ここから先は

0字
この記事のみ ¥ 300

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?