No.024 剣道界のトップアスリートたち
剣道選手のキャリアパス
警察組織が支えるトップレベルの競技環境
剣道は日本の伝統武道でありながら、現代では競技としても高いレベルで行われています。特に注目すべきは、トップレベルの選手たちの多くが警察組織に所属しているという特徴です。
各都道府県警察には「特練(とくれん)」と呼ばれる制度があり、選手は警察官としての職務を果たしながら、集中的な稽古時間が確保されています。この環境が、日本の剣道界の最高峰の技術を支えているといっても過言ではありません。
企業における剣道部の存在
一方で、NTTやPanasonicなどの大手企業にも剣道部が存在します。これらの企業チームは実業団大会などで活躍していますが、業務との両立が必要なため、警察ほどの稽古時間は確保できません。しかし、安定した企業でのキャリアと剣道の継続を両立できる貴重な選択肢となっています。
知っておきたい現役トップ選手たち
男子選手
竹ノ内佑也(警視庁)
- 2024年全日本剣道選手権優勝
- 史上最年少優勝記録保持者(21歳5ヶ月)
- 福岡大大濠高校から筑波大を経て警視庁へ
- 力強く切れのある技が持ち味
星子啓太(警視庁・五段)
- 平成10年鹿児島県姶良市生まれ
- 重富剣道スポーツ少年団・吉野剣道スポーツ少年団で剣道を学ぶ
- 九州学院高校、筑波大学、浪人を経て警視庁へ
- 世界大会団体優勝
- 全日本選手権優勝1回、3位2回
- 全国警察大会団体1部優勝2回(全勝賞2回)、個人優勝1回
- 警視庁特練員として日々稽古に励む
松崎賢士郎(筑波大学大学院・五段)
- 平成10年長崎県諫早市生まれ、4人兄弟の長男
- 小学1年から真崎少年剣道会で剣道を開始
- 島原高校、筑波大学へ
- 全日本選手権準優勝
- 世界大会団体優勝・個人準優勝
- 国体優勝4回
- 星子啓太選手と筑波大学の同級生でライバル関係
- 現在は筑波大学大学院で研究と剣道を両立
安藤翔(国士舘大学教員・六段)
- 北海道上砂川町出身
- 東海第四高校
- 2018年世界選手権個人戦・団体戦優勝
- 2024年世界選手権日本代表男子主将
- 道警から母校の国士舘大学へ環境を移し、新たな挑戦
- 「基本に忠実で、真っすぐ、正しく、強い剣道」を追求
1人は覚えておいても損はないかもしれません!
これらの選手たちは、それぞれが異なる環境で日本の剣道界を牽引しています。警視庁の竹ノ内選手と星子選手は、特練という恵まれた環境で切磋琢磨しながら日本一を競い合っています。一方、筑波大学大学院の松崎選手は研究者としての道を歩みながら、トップレベルの剣道を維持し続けるという異なるアプローチを示しています。また、安藤選手は道警での経験を活かしながら、指導者として次世代の育成にも力を注いでいます。
彼らの活躍は、剣道における多様なキャリアパスの可能性を示すとともに、それぞれの環境で最大限の努力を重ねることの大切さを教えてくれます。
明日は女子選手たちを紹介します。近藤選手、渡邉タイ選手など、世界で活躍する女子選手たち。彼女たちもまた、様々な環境で日本の剣道を支えているのです。
剣道は単なる競技ではなく、日本の伝統文化としての深い精神性も持ち合わせています。これらのトップ選手たちは、その技術と精神性の両面で、現代における剣道の最高峰を体現しているのです。
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