世界の現状と未来(2-1)

 さて、第1章「人間社会のゴール編」では、世界が統一されて、人間全員がそれぞれの幸福を掴めるようになること、つまり、「全人類の幸福」が人間社会の最終到達点だ、というお話をしました。
 そして、人間の幸福とは、個人の持つ欲求を満たせることだ、というお話をしました。

 第2章「日本の基本戦略編」からは、どうすればそこに向かっていけるのかについて、日本目線の戦略からお話しましょう。

 これから話すことに対して、あなたは、「あの国は良い国だ」とか、「あの国は悪い国だ」とか判断すると思います。けれども何度も言いますが、「良い」、「悪い」は感情に過ぎません。
 この後、あなたや家族や仲間が歴史に巻き込まれ、無惨な末路を迎えることになっても、それが悪いことにはなりません。

 相手が「力」を持っていたら、その相手が「正義」を名乗って、後は何も変わらずに歴史は続いていきます。これからお話しするのは、そんな無感情で無慈悲な「事実」です。

 繰り返しますが、このお話は「事実」です。

 淡々と話していきますが、ただの「事実」です。それ以上でもそれ以下でもありません。現在がどんな状況で、これからどうなるのかが分かった上で、本当にここに書かれている情報が正しい情報なのかをあなた自身が調べてみて、それから、あなたがどんな未来を求めたいのかを考えて欲しいのです。

 世界はどうなろうとしているのでしょうか。

 ここには今、2つの選択があります。それから、まだ現実には存在していない、1つの選択を提案させていただきます。
 前回の「人間社会のゴール編」でも考えていただきましたが、改めてあなたはどの未来がいいのか、具体的な現在の状況を踏まえて、もう一度よく考えてみてください。


中国の戦略

 それではいよいよ、「現実の近未来はどうなるのか」ということについてお話ししていきましょう。今一番可能性が高いのは、というよりも、このままだと、ほぼ確実に中国が世界を統一します。
 なぜ他の国ではなく、中国が世界を統一すると言い切れるのでしょうか。それは、全ての国の中で、中国だけが、戦略として世界統一を目標に掲げているからです。

 中国には、「中国中心主義(中華思想)」という考え方があります。

 原泰久さんが描いてらっしゃる「キングダム」という漫画を読んだことがあるでしょうか。今から約2,200年前に、秦の始皇帝が初めて中国を統一するお話ですが、その主人公である政(始皇帝)が、「武によって天下を平定する」と言い放つシーンは感動的です。その頃の意味と現在では多少変わってきてはいますが、大まかにいうと、「中国のトップが世界の中心である」という思想です。(わかりやすいように簡略化して話していますので、詳細を知りたい方はお調べください)

 中国は、口では平和と言いながら、世界統一を目標として、シルクロード構想という戦略を打ち出しています。(一帯一路、真珠の首飾り、赤い舌という単語を調べてみるとわかりやすいです)

 どういう戦略かというと、中東や、アフリカや、ヨーロッパの貧しい国や、ロシアや北朝鮮のような独裁国家に、資金援助という名目で経済的征服を進め、ウイグル人やベトナムや台湾や香港の民主主義を潰し、フィリピンやチベットの領地を削り取り、なし崩しに力のない国から自由を奪い取っていく。そんな戦略です。

 ちなみに中国は、日本の尖閣諸島から天然資源が湧き出ると分かった年から尖閣諸島の所有権を主張し始めて、軍備の整った現在では、日本の領海に毎日侵入しています。そしてそのくせ、日本の大陸弾道ミサイルの配備については、止めろと言ってきたりしています。

 それから、日本を含め、民主主義国家の不動産も、国民を通してかなり買われています。ちなみに、中国の土地はすべて国のもので、70年間の使用料が買えるだけです。そして、すぐに没収することもできます。力がどれだけ重要なものかということをよくわかっています。

 さらに、「100万円ブレゼントするからSNSをフォローしてね」と言うインフルエンサーが如く、お金を貸す代わりに、各国政府に要請して中国の評判を高めさせています。また、ゲームアプリの評価で嘘コメントが並ぶように、世界中に嘘をついて良心的な大国であるアピールをしまくっています。
 この戦術が、「ひどい」か「ひどくない」かは、「感情」なので置いておいてください。結果という「情報」として、貧乏な国や情弱な国の国民たちの間では、中国の評価はかなり高まっています。
 チャイナマネーによって、中国を支援する国もたくさんあります。

 今や中国は、日本の3倍のGDPになり、軍事力では日本を遥かに超え、宇宙開発も先頭を走り、2030年には、アメリカのGDPを超えて世界一位になると言われています。人口は約14億人もいるので、おそらくそうなるでしょう。

 さらにこの国は、民主主義と謳いながらも、実際は一党独裁の社会主義国なので(一応仕組みを見ると一党独裁では無いのですが、ここも調べるとわかります)、情報統制や、逆らう者皆行方不明という恐怖政治も布いております。
 情報統制のためにgoogleやAmazonも使えませんし、天安門事件などの政府に不都合な情報は、テレビでやっている最中でも放送が途絶えます。人道主義でもないので、進歩のためには遺伝子実験などなんでもおこなえます。
 ただ、「事実」として、その戦略のために、他の国と違って圧倒的に進化も速いです。

 あなたがこの話を聞いてどう思おうが、中国にとっては関係ありません。「世の中は力が全て」です。
 動かず、戦略もない奴が負ける。これが絶対法則です。

 この後の展開としては、こうしてじりじりと、フィリピンやチベットや日本などの弱者を削りとり、香港や台湾での言論の自由を統制し、欧米がいくら言っても「自分たちは正義だ」と旗を掲げて、嘘と金をバラまいて力を増大させることを止めず、最後には中国連合vs欧米連合で世界大戦が起こるでしょう。
 しかも、この結末はそう遠い話ではありません。

 さらに、もしここで多数の犠牲を払って欧米連合が勝利したとしても、中国の力を分散させるために、国土をいくつかに分けたりしない限りは、大きな国土と人口を抱えたままです。また力をつけます。そして、中国の「中国中心主義」がある限り、中国は何度でも立ち上がり、いずれは勝利するでしょう。

 戦略というのはそれくらい重要です。中国ほどしっかりと目標を持った戦略は、誰がなんと言っても強いものですし、後の世には中国が勝利し、それが正義と称えられるようになるでしょう。その後でもまだ、クーデターや戦争は絶えないと思いますが。


アメリカの戦略

 それでは、もうひとつの世界の選択、一方の世界の雄、アメリカはどうなのでしょうか。
 現在、トランプ大統領が掲げているのは、「アメリカファースト(母国優先主義)」です。

 アメリカは、元祖「ジャスティス(正義)」であり、「世界の警察」ですが、世界のために自国の税金を使うことは、実のところ、多大な資金を消費します。これらを自国の発展・成長のために使用すれば国が潤う、という戦略です。

 これは一見、アメリカの権力を拡大させるように見えます。実際、アメリカは、数字だけで見ると成長しました。

 けれども、アメリカにとって良いのは短期間だけで、長い目で見ると、世界から孤立してしまいます。
 「俺が一番だから協定に参加しない」、「俺が一番だから俺の言うことを聞け」、「他の奴のことは知らない。俺が一番だから」では、たとえ一理ある話をしていても、世界の他の国たちの心は、徐々に離れていきます。

 世界をまとめるために、民主主義としてのしっかりとした「正義」をもう一度掲げ直し、貧しい国に優しくして、人種差別を撤廃し、中国がどんな戦略を立てているのかを「感情」を交えずにしっかりと訴え、自国が天下をとったらどういう良い世の中になるのかというビジョンを提示すれば十分戦えます。

 けれども今のアメリカは、資本主義・自由主義の限界でもある貧富の差の拡大が激し過ぎて、弱い人は生きていけないほどの欠点を持っています。医療制度も金持ちしか使えません。自国の利益のために他国で戦争を引き起こそうとしたりしているので、世界のリーダーとしてふさわしい力を持っているのに、世界から支持が得られません。弱い国の支持を得るには、もう少し、自国を中心とした、世界が平和になるビジョンを考えるべきでしょう。

 他に、アメリカが中国に勝つ方法としては、このコロナをきっかけとして、たくさんの味方を集め、コロナが収束したと同時に、中国に戦争を仕掛けることです。10年後では中国の方が力を持ってしまい、勝つ可能性が減ってしまいますから、戦うならなるべく早くなければいけません。

 ただし、中国も近年ますます軍事を増強していて、今やグアムや東シナ海に駐留しようとしていた艦隊までがミサイルの射程距離圏内です。アメリカが勝つとしても、世界中に計り知れない大打撃が与えられるでしょう。

 日本なんて、アメリカが勝とうが負けようが、地理的問題でどちらにせよ焼け野原にされてしまいます。

 アメリカは今、戦争はもちろん避けたいので、躍起になって各国を味方にしようとしていますが、中国やロシアは相変わらず敵です。力を増やす戦略としてはもちろん良いと思いますが、相手が敵である以上、どんなに各国を味方にしようが、戦争への道は避けられないでしょう。冷戦時代のソ連とは違って、中国は尻すぼみではなく、まだまだ力を増大できる国なのですから。
 中国が突然民主主義国家に変わるのなら戦争は起きませんが、そんな可能性は、ロマンチスト以外は見るべきものではありません。

 何度も言いますが、これは「感情」ではなく、「情報」です。

 僕は、戦争に巻き込まれて、自分や、周りの人や、世界のただ生きているだけの人々が不幸に巻き込まれることが嫌だ、という「感情」を持っています。情報統制されて、政府に逆らえば行方不明になる未来も、貧富の差が激し過ぎてたくさんの犠牲者が出る未来も望んでいません。楽しく生きられれば、どの国が統一してもどうでも良いのですが、このままでおとずれる未来は、戦争を通して、この二択のどちらかに進む道しかありません。

 自分の「理想」を押し通したければ、「力」を身につけるしかありません。それが、「力のあるものが世界を支配する」という絶対のルールです。

 そのために、より理想的な世界の進むべき戦略を指し示そうと思い、この本を書くことにしたのです。

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