見出し画像

本当に意味のあるペルソナを作る(1)ー|「価値型ペルソナ」の考え方

事業開発、マーケティング、戦略設計…サービスをつくる・運営するに当たって、さまざまなフェーズやシーンで活躍するツール、ペルソナ。
作った方がいいよね、と言われて作り、結果的に「でもこれなんのために作ったんだっけ?」「こんなに個人のことを掘り下げて考えて意味ってあるんだっけ」という悩みにあたったことのある方は少なくないのではないでしょうか。
今回の記事では、ペルソナを作る、ということを改めて考え直し、本当に意味のあるペルソナを作る必要性について紐解きたいと思います。

よくあるペルソナの作り方に足りない視点ー「価値観」の作り込み

みなさん、「ペルソナを作る」と思った時、まずどのように行動しますか?
どの程度時間をかけて作るでしょうか。

・webに転がっているペルソナシートをとりあえず埋めてみる
・大体20~30分使って作る
みたいな方が多いのではないでしょうか。

埋めるのはできるけど、なんかこれでいいのかな…という不安がないでしょうか

こうやって作ったものが、なんだかうまく使えない、結局作ったけどあとであまり参照しない、使わない情報が載っている…
そんなふうに思ったことはないでしょうか。

なぜ微妙に使えないものに仕上がってしまうのか…。
このペルソナシートですが、個人的にはあるものが圧倒的に足りないなと感じます。
それは「価値観」の部分です。

「価値型ペルソナ」ー検討領域に紐づく価値観を描き切る

では、参考までに私の作るペルソナシートのイメージをおいておきます。
※あくまでサンプルとして作ったものです!

性別、年齢、職業などはもちろんあるのですが、世の中的なペルソナシートで見るもの以上に圧倒的に文章量が多い、と感じた方も多いのではないでしょうか。
作成の際には大体これだけ書くのに1~2時間かけて作成します。

このペルソナ、こんなに詳細に何を書いているのか。
それは前項に記した「価値観」という軸になります。

この人が外側から見た時にどんなステータスの人かということをざっくり書くのではなく、想定しているサービス領域において、このサービスを使うまでどのようなことに悩んで、どんなフェーズにいるのか、ということを深く掘り下げて書くことが、この「価値型ペルソナ」の重要なポイントです。
いわゆる一般的なペルソナシートに書かれている、デモグラフィックや社会的ステータス、好みや趣味嗜好などは、この価値型ペルソナを作成するための前提設定として必要な部分であり、途中経過であると考えています。

価値観の解像度が高いペルソナを作ることで「本当にその人が必要とするか」がわかる

なぜ前項のような部分を書く必要があるのでしょうか。

例えば、自分のごく身近な人に関して考えてみましょう。
自分の今考えているサービスや商品を、自分の家族は使ってくれるでしょうか。

例えば「30代女性向け、低カロリークッキーの作成キット」の商品を想定していたとします。

「姉は30代だが、毎日帰ってくるのが遅くて料理をほとんどしない。休日に簡単だからやろうよ、と誘ってみたとしても、面倒だしわざわざ作らなくてもお金を払えばそれなりのものがあるじゃん、というかも」

「一方で16歳の姪はどうだろう。低カロリーで安価というところに喜ぶかもしれない。ただ友達と遊びに行って外で甘いものを買って食べることが多い印象で、家でクッキーをわざわざ作って食べるシーンは想像できない」

など、かなり具体的に想像できたのではないでしょうか。

もちろん、想定した対象と違うから使わないのだろう、という前提はあると思います。
しかし、冒頭で作成したざっくりしたペルソナシートの人に関して、ここまで具体的に想像を膨らませ、検討することができたでしょうか。
このように具体的に想像し、本当にこの人ならつかってくれるだろうか?を検討するための道具としてつかうものが、ペルソナだとわたしは考えています。

よくある間違いとして、「考えたサービスを使ってくれそうな人」をペルソナとして描いてしまったり、「ユーザーとして理想的な人」をイメージで作成してしまう、ということがあります。
こうしたケースの場合、ペルソナにリアリティが足りず、どこかで「本当にこんな人がいるんだっけ?」という疑問を抱えたままプロジェクトを進めることになったり、ペルソナと照らし合わせてサービスや商品をブラッシュアップする段階でも、ペルソナが何を嫌がるのか、どうしてこれが好きなのか、というリアリティの彫り込みができていないために、見つける必要のあった不足部分や余剰な部分がのこったままの提供価値が仕上がってしまいます。

価値型ペルソナがより有効なタイミングは、ペルソナを利用して価値のブラッシュアップを行うとき

こうした理由から、「本当に使えるペルソナ」とは、
頭の中で勝手にその人が行動してくれるレベルのリアリティと価値観を設定できている」状態、つまり「価値型ペルソナ」であると私は考えています。

ただし、この「価値型ペルソナ」のみが正しいペルソナであるわけではありません。
あくまでこれはサービスの価値検討段階において、という意味であり、例えば
・今までの全員の検討の総意資料としてペルソナをまとめる
・ターゲティング検討を詳細に行った結論としてのペルソナ
など、検討の結果をペルソナとしてアウトプットする、というものにおいては上記のかぎりではないと考えています。
ペルソナを作り、検討に利用する。その一点において有効な手段と考えています。
例えばですが、アプリケーションのUX設計を行う、コンテンツ設計を行う、サービスの提供価値を決める…など、そうしたシーンが挙げられるでしょう。

以上、価値型ペルソナがなぜ、どこで有効なのかをお話してきました。
では、価値型ペルソナ、と言っているが、こんな詳細なものをどうやってつくるのか?というお話を下記に記載していますので、こちらの記事もぜひご覧ください。


いいなと思ったら応援しよう!