赤染青狸
彼らはまだ気づいていないようだ。
というより、これに気づけと言う方が無理な話だ。
ぼくの作戦は完璧なんだよ。なんたって未来からやってきたんだからね。
ぼくは、未来に生まれ、未来を見てきた。
完璧じゃないぼくは、どこへ行っても除け者扱い。なんてったって、ネジが外れているものね。行く宛なんてなかったさ。ただただ、世界を放浪していた。
時には過去を見たり、さらに未来を見に行ったりしたよ。もちろん中には、とても居心地の良い時代もあった。
でも、どの時代も、数十年すれば何かしら争いを起こして、そのたびに多くの犠牲がでたんだ。
一番こたえたのは、目の前で何百人もの人々が悲鳴を上げながら燃えているのを目にした時だね。
あまりの悲鳴に、気づいたらぼくは耳を二つとも掻き切っていたんだ。
だからほら、ぼくには耳がないだろ。
まぁ、機械だからある程度は聞こえちゃうんだけどね。
そんな中、彼の子孫に拾われた。実際には、「買われた」と言った方が正しいかな。
彼の子孫は、過去へ僕を送ったよ。
過去の、曾曾おじいちゃんを助けてこいとね。
実際、過去に来てみると、彼はどうしようもないほど頭が悪かった。そのくせ、腕っぷしがあるわけでもなく、ぼくみたいな欠陥品だったんだ。
あ、でも射撃の才能だけはすごかったな。
まぁ、才能を発揮する機会なく年老いていくんだけどね。
そんな欠陥品のような彼ニは、唯一誇れる点があるんだ。
それは、優しさだヨ。
彼はポンコツだけど、他の誰よりも優しい。
未来や過去でさまざまな人を見てきたけれど、彼ほど優しい人はいなかったな。
だから、ぼくは彼が年老いていくのをみるのが辛かった。
優しさだけでできている彼には、永遠に生きてもらイタイと思ったよ。
そうすれば、争いなんて起こらないからね。
そこで、ピンときたのさ。
ぼくには、争いのない世界を作ることができるんダと。
だから、ぼくなりにシコウサクゴを繰り返して、計画を練ったんダ。
計画は順調に進んで、ついに半分ノ目標を達成したんだ。
きょうはその記念ニ、日記にかいているよ。
まだ、だれもその計画にはゎ気づいテイナいみたいだ。
タイムパトロールの目を欺くのノは大変だったけど、ドウにか上手くイッタヨ。
計画内容も、特別に記して記して記してオいたヨ。
誰カが、イツカミて、楽シンデクレたらとオモッテネ。
目標:全世界を優しさで包む
計画内容:
・どこでもドアに入ったら、元の人間は原子レベルまで分解され、他の場所で再構築されるという技術を使う。
→どこでもドアで移動した後は「彼」のコピーとなるようにする。(内面のみのコピーであり、外見は変化なし。元の人格は消失。)
・改造どこでもドアを他の秘密道具で大量に複製する。
・改造どこでもドアを用いて、少しずつ、確実に「彼」のコピーを増やしていく。(タイムパトロール対策の一環。)
・全人類が「彼」のコピーとなれば、目標達成。