見出し画像

Omotenaインターンシップ!京都市観光協会堀江様へ取材しました!vol.1

こんにちは!京都産業大学の久山、石黒、北、川島です!
私たちは今、Omotenaのインターンシップ生として活動をしています。
そこで、今回は、いつものヒロッシーさんに変わりまして、私たちのOmotena活動についてお伝えしたいと思います。

私たちは、7月からインターンシップを始め、これまで京都の観光の状況(コロナ前と今)、そして、オーバーツーリズムの調査、またOmotenaをどう活用すれば、京都で広げることができるかといったことに取り組んできました。
活動場所は、京都信用金庫QUESTION5階にあります「グローカルセンター」です。グローカルセンターの皆さんいつも活動場所を利用させていただき本当にありがとうございます!

インターンシップ中の風景です!

7月26日(火)13時。京都観光のスペシャリストにお会いできるということからも、少しドキドキした気持ちで、京都市観光協会へ着いた私たち4名は堀江さんへのインタビューを開始しました。

観光地としての京都の特徴について

学生
「本日はお時間をいただきありがとうございます。はじめに、堀江さんから見た京都の特徴についてお伺いいたします。」

堀江さん
「まず、京都の歴史と文化。1200年の都ですからね。そして多様な文化。平安文化は中国の影響を受けているので、当時の中国の様式が現代にまで伝わっています。明治・大正になれば、お雇い外国人技師が滞在したこともあり、レンガ造りの西洋建築が何軒も残っています。そして、近年では京都国際マンガミュージアムができたり、人口の10人に1人が大学生という大学の街でもあるので、サブカルチャーの街としても発展してきました。京都は、伝統文化だけでなく、様々な文化が混ざってきた土地柄であり、そこに魅力があるのではないかと思っています。」

学生
「単なる「歴史と文化」ではなく、「多様な文化の交差点」であることが京都の特徴なんですね。」

オーバーツーリズムはこれが初めてではない!?

学生
「ここからは私たちの調査内容についてお聞きしたいと思います。私たちは、京都観光の特徴として『オーバーツーリズム』について調べていました。コロナ禍もあり外国人の観光客が全く来ない状況から現在、少しずつ増えてきていると思われますが、またそれでオーバーツーリズムは起こるかもしれないと思っています。そこで、もし起こってしまった場合の解決の鍵が何になるか教えてください」

堀江さん
「もちろんオーバーツーリズムを起こさないように努力する必要はあります。ただ、テーマパークのように入場規制を行ったり、入場料を値上げすることでコントロールするようなことはできません。例えば、祇園の花見小路や嵯峨嵐山の竹林の小径は、混雑やマナー違反が発生しやすい場所として知られていますが、どちらも公道なので交通規制をかけることはできません。そこで、混雑情報を観光客に提供するなどの対策を行っていますが、強制力がある施策では無いので、即効性は期待できません。」

学生
「確かに一般の道も京都の観光の対象であって、そもそも規制は難しいですね」

堀江さん
「この『オーバーツーリズム』という現象を解決するための鍵を考えるために、まずその歴史を振り返りましょう。実は、観光客が増えすぎて困るという現象は、この5年10年ではじめて起こったわけではありません。遡ると50年ぐらい前、大阪万博が開催された時にはすでに、京都では観光客が多すぎるという世論が巻き起こったことがありました。」

学生
「そうなんですね!最近の言葉だと思っていました。」

堀江さん
「当時、大阪万博を目指して国内外から人が集まり、その影響で京都にも沢山の方が訪れました。当時は今よりも交通機関が発達していなかったり、道路も整備されていなかったので、渋滞などの問題が起こりました。」

学生
「まさにオーバーツーリズムですね。」

堀江さん
「はい。ただその時の観光客の数は、コロナ前の5,500万人からするとその半分程度にしか満たなかったんです。観光客数は少なくてもオーバーツーリズムは起こっていたんですよね。逆に言うと、人数が増えればオーバーツーリズムになるかというと、必ずしもそうではないとも言えます。では何が原因でしょうか?それは、急激に環境が変化したり、受け入れ側が慣れていないということが一番の原因ではないかなと思っています。」

学生
「原因は、急激な環境の変化、受け入れ側の慣れですね。」

堀江さん
たとえば、年間5,000万人来ようが1億人来ようが、その状態が30年50年と続けば、受け入れ側はそれに対応せざるを得ません。これまでにも京都はそうした状況を何度も何度も経験してきて、その都度工夫を重ねて対応してきたことで、5,000万人を超える観光客を受け入れられるようになってきました。」

学生
「多くの方が来ても、大丈夫な状態にしていくこと。」

オーバーツーリズム解消の鍵について

堀江さん
「逆に、規制をかけて観光客を減らしてしまうと、観光客がたくさん来るということへの『免疫』が失われていき、観光客が減ったあと、規制を解除してまた観光客が増えると、再び拒否反応が起こってしまい、いつまで経ってもこの状態から抜け出すことができなくなってしまい、人口減少とともに街は衰退していくことになります。だから、たくさん観光客が来ても、問題が起こらないように、観光客も、受け入れ側も、お互い工夫をして慣れていくということから、逃げずに向き合ってもらえるようにしていかないといけないと考えています。」

学生
「慣れていくには、何が必要だと思いますか?」

堀江さん
「解決の鍵のひとつは、京都に住んでいる人が観光業界で働けるようにしていくことじゃないかなと思っています。慣れるためには、観光客と住民の相互理解が不可欠ですが、住民が観光客と触れ合う機会は、京都のように恵まれた環境であっても、そんなに多くはありません。住民向けのアンケートで「観光客と交流したいと思いますか?」と聞いて「はい」と答える人はせいぜい5%とか10%とかに留まっています。道を聞かれたら案内するのはやぶさかではないという住民の方は多いと思いますけど、わざわざ自分から外国人観光客がいるところに飛び込んで交流したいって人は少数派でしょう。したがって、こうした状態を解消しようと思ったら、観光客と接することを普段からの仕事にするような住民を増やすことが必要なのです。」

学生
「京都に住む方が観光に関わるということですね」

堀江さん
「京都に観光客は沢山来ますが、実は産業の中心は製造業です。京セラ、村田製作所、日本電産、オムロン、ロームなど、挙げるとキリがありません。このような、ものづくり産業で働いている人たちの方の人数が多いので、観光は、自分とはあんまり関係がないもの、どちらか言えばお客さんとしてかかわるものであり、働く側としてみるっていうことがないと思うんですね」

学生
「観光で働く方よりもそれ以外で働く方のほうが多いということですね」

堀江さん
「こういった土地柄の背景、それがオーバーツーリズムが起こってきた理由の一つであるとも思っています。例えば、沖縄の石垣島は、農業などの産業もあるとは思いますが、観光を生業としている方も多い。そういう土地柄だと、観光客との関わりを普段から感じることができ、観光客が来るかどうかが生計にも直結するので、観光客が来すぎることに対する不満の感情は起こりにくいと考えられます。観光に関する仕事をしていて、観光が栄えれば潤うという人が増えれば、おのずと相互理解も深まり、オーバーツーリズムが起こりにくくなるように工夫がなされていくでしょう。」

学生
「なるほどです。確かに観光に関わる人が増えれば、その分、オーバーツーリズムになっても問題にならないように工夫をしていくことも増えると思います」

堀江さん
「ただ実際に京都に住んでいる人が観光で働けているかというとまだまだ課題があります。京都は大学の街ですが、学生の多くは就職すると東京や大阪で務める人が多いと思います。ここ数年の間、京都に新しいホテルが増えているので、京都の観光業界で働くチャンスは増えているとは思いますが、ホテル側も地元からの雇用だけではサービスレベルを維持できないので、他地域の系列ホテルで働いていたベテランスタッフを呼ぶことも多いでしょう。他産業と比べて、給与水準が低かったり、土日に休めなかったりというイメージもあるため、京都の学生や住民の就職先としての魅力がまだまだ足りないんじゃないかと思います。なるべく観光協会としては、観光業界で働くことを促していくような取り組みがこれからできればとも思っていますし、ぜひ皆さんも京都の観光の分野で働いてくれると嬉しいなと思っています。」

学生
「ありがとうございます!お話しを聞いていて、京都の観光業会にとても興味が湧きました!」

今回は取材の前半部分ということで、特にオーバーツーリズムについてのお話しは、本当にためになりました!

取材を文字起こしすると、なんと17000文字!
ですので、3回に分けてお届けいたします。

次回は、堀江さんから見たOmotenaについて、その感想など詳しくお聞きした内容を書きたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました!

いいなと思ったら応援しよう!