(続々)結論を言わない証明問題
シリーズ「結論を言わない証明問題」の第3弾は「三角比」編。いずれも公式みたいなもので、しっかり覚えているか、もしくは(やったことはあるけど)うろ覚えだったりするかのどちらかだろう。
これらを【問題】にこしらえる場合、設問中に公式そのものを示して「証明せよ」とするのが普通だろう。けれども、私はそれではダメなように思っている。むしろ、方向性を示して「導け」とする方が良いんじゃないだろうか。
時々そうやって公式を確認したり、もしくはうろ覚えの公式を導いたりしながら学習するべきだと思うのである。実際に試験のような場面でも、そうやって公式を導きながら解答することはしばしばあるだろう。膨大な数の公式を確実に覚えられるはずもなく、むしろ闇雲に覚えるよりも必要に応じて導く方が効率的とも言える。
※ 【問1】と【問3】を先日の定期試験に出した。【問3】の方はよく出来ていたが、【問1】の出来は悪かった。解答欄に「余弦定理の式をそのまま書いて、あとは空欄」という答案が多かった。要するに「結論は知っているけれど、示せない」人が多かったということだ。この問題を経験して「所々で自分で公式を導いてみることで公式を確認する」習慣を身につけてくれればと期待している。
以下、《解説・解答》です。
余弦定理を導け
AからBCに下ろした垂線の足をHとする。
AH = c sinθ … ①
BH = c cosθ
CH = aーc cosθ … ②
△ACHに三平方の定理を適用して、
b² = AH²+CH²
= c²sin²θ+(aーc cosθ)² (①,②より)
= c²sin²θ+a²ー2ac cosθ+c²cos²θ
= c²+a²ー2ac cosθ (← 余弦定理)
(∵ sin²θ+cos²θ=1)
中線定理を導け
△ABMに余弦定理を適用して、
AB² = AM²+BM²ー2AM・BM cosθ … ①
△ACMに余弦定理を適用して、
AC² = AM²+CM²ー2AM・CM cos(180°ーθ)
= AM²+BM²ー2AM・BM cosθ … ②
(∵ BM = CM , cos(180°ーθ) = cosθ)
①+② より AB²+AC² = 2(AM²+BM²) (← 中線定理)
sin15° と cos15° の値を求めよ
(図1)
$${\angle{BAD}=15^{\circ},\,AB=2\,,\,AD=\sqrt{2}\,,\,BD=\sqrt{3}-1}$$
$${\Delta{ABD}}$$ に正弦定理を適用して、
$${\dfrac{\sqrt{2}}{\sin 30^{\circ}}=\dfrac{\sqrt{3}-1}{\sin 15^{\circ}}}$$ より $${\sin 15^{\circ}=\dfrac{\sqrt{6}-\sqrt{2}}{4}}$$
$${\Delta{ABD}}$$ に余弦定理を適用して、
$${\cos 15^{\circ}=\dfrac{2^2+\sqrt{2}^2-(\sqrt{3}-1)^2}{2\cdot2\cdot\sqrt{2}}=\dfrac{\sqrt{6}+\sqrt{2}}{4}}$$
※ $${\sin^{2}15^{\circ}+\cos^{2}15^{\circ}=1}$$ でやると結構大変。
(図2 … 省略)
(図3)
$${CD=\sqrt{3}\,,\,BD=CD=2}$$ より $${BC=2+\sqrt{3}}$$
三平方定理を使って、
$${AB^2=1^2+(2+\sqrt{3})^2=8+4\sqrt{3}}$$
$${AB=\sqrt{8+4\sqrt{3}}=\sqrt{8+2\sqrt{12}}=\sqrt{6}+\sqrt{2}}$$
(↑ 2重根号を外した)
よって、
$${\sin 15^{\circ}=\dfrac{AC}{AB}=\dfrac{1}{\sqrt{6}+\sqrt{2}}=\dfrac{\sqrt{6}-\sqrt{2}}{4}}$$
$${\cos 15^{\circ}=\dfrac{BC}{AB}=\dfrac{2+\sqrt{3}}{\sqrt{6}+\sqrt{2}}=\dfrac{\sqrt{6}+\sqrt{2}}{4}}$$
(↑ 分母の有理化)
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