蝉時雨の下で

中3の夏になり、私のバトン部での活動が終わったのは、7月下旬の花火大会にあわせて駅前で行われる夏祭りでした。他の部活なら中体連の終了が引退のきっかけになると思うのですが、バトン部は試合のようなものがなく、他の部の応援に行くようなこともなかったので、夏祭りに出演して演技を披露するのが、部活からの引退を意味していました。
またバトン部の話も別の機会に書きたいと思うのですが、今回は雨が降らずミミズロードにミミズもいない、暑い夏の日のことを書きますね。

中3の夏といえば、やっぱり高校受験のための大事な時期になります。中3になって親と志望校の話をしたり、三者面談で具体的な進路を聞かれたりということはありつつも、私はなんとなく学区二番手の県立高を受けることを以前から考えていたので、あまり熱心に勉強していたわけではありませんでした。模試で志望校のボーダーラインも越えていたし、普通に受かればいいか、くらいに思っていました。
母親としてはそんな私に物足りないところがあったんでしょうね。中2のとき夏期講習に参加した塾に、夏休みの間通うよう決められてしまったのです。
その塾の中3の講習はお昼1時から始まって、夕方6時くらいまででした。午前中は小学生、午後は部活を引退して昼間の時間が空いた中3、夜は昼間部活をしている中1,2といった時間割になっていました。
中2のときミミズロード(笑)で蛾やカナブンを処刑していた私は、昼間両親が仕事でいないことをいいことに、塾の行き帰りで歪んだ性欲を思いきり発散することにしたのです。
駅前にある塾まで、自宅から自転車で10分くらいということは以前書いたと思います。その途中、小中学校から駅前に抜けるところに静かな住宅街があったのですけど、隅に人気のない公園がありました。以前からその公園の近くを通るとき、セミの鳴き声が響いていることに気付いてはいたのですが、中1,2のときはわざわざセミを捕まえて処刑しようとまではしませんでした。公園の近くを通っているとき、焼けたアスファルトに落ちているセミに気付いて、ドキドキしながら踏みにじってみたことは何度かありましたけど。
中3の夏期講習が始まると、最初の週は11時過ぎに家を出て、自転車で公園に行っていました。夏っぽいレースの白ワンピに、フロントリボンのエナメルパンプスか、黒いぺたんこバレエシューズを素足で履いていることが多かったかなあ。
公園の中には大きな木が数本あって、いくつかのベンチが並んでいました。ベンチの隣に自転車を停めると、散歩するような様子で木の近くをうろうろと、地面に落ちたセミを探して歩き回ります。
暑い夏の日には公園に人がいることも少なく、塾が始まるまでの限られた時間、私はセミの姿を探して公園を何周もしていましたが、落ちているセミを見つけたのは2回ほどでした。しかも死んで動かなくなっているセミで、すり潰していても物足りなさがありました。それまで生きているミミズや蛾を散々処刑してきたので、残酷さに染まった私の心は、その程度では満足できません。頭上から降り注ぐセミの声を恨めしげに見上げながら、暑さでフラフラになりかけた頭を抱えて塾に向かっていました。ポニーテールにした首筋を流れる汗の感触を今でもうっすらと覚えています。
「あーあ。つまんないな…」
そうなると発散できなかったストレスがたまりまくって、塾の帰りにミミズロードの街灯下で虫を踏み潰すときは、思いきり激しくオナニーを繰り返していました。そう、私は塾への行きと帰りの途中、どちらでも踏み潰しを楽しもうとしていたのです。
ただ、街灯に虫たちが寄ってくるのはやはり夜遅い時間なので、私が塾から帰る7時ころの時間帯は街灯が灯り始めたくらいで、ほとんど虫がいないときもありました。あまり遅くなると両親が同じ道を通って仕事から帰ってくるため、完全に暗くなる前には帰っておかなくてはなりません。なので、十分な時間楽しめるのは、やはり午前中の時間帯でした。
そんな毎日を一週間ほど続けた結果、私はある日、塾に行く前の時間を使って、駅前の商店街で折りたためる虫取り網を買うのでした(笑)数百円のお小遣いより、セミがたくさんいるのに捕まえられないもどかしさを解決する方が大事!ですよね?(笑)
次の週から、私は生きたセミを存分に踏み潰す悪魔となって公園を駆け巡りました。
木の幹でミンミン鳴いているセミを見つけると、虫取り網を構えてそっと近寄ります。パッと網をかぶせて捕まえられたときは、これから味わう快感を先取りして、喉がカラカラになるほど興奮していました。
虫取り網の中で暴れるセミを地面に押しつけると、まずは網に手を突っ込んで羽根をへし折ります。パキッと乾いた音を立てて羽根がちぎれると、飛べないセミのできあがり。
両方の羽根をもぎ取ったセミをどうにか取り出すと、私はそれを地面にポイッと投げ捨てます。セミは激しく鳴きながら地面をバタバタ這いずり回りますが、それ以上どうすることもできません。暴れるセミを冷酷に見下ろしていると、こいつの生命を自分の思い通りにできるという全能感で心のすべてが満たされ、それにともなって股間が熱く火照ってくるのを感じました。蛾を処刑するときと同じ感じですね。
「ふふ。今から踏み殺してやるよ。」
公園に誰もいないときは、ワンピースのスカートを派手にまくり上げて下着をずらし、熱く濡れた股間の液体を、硬くしこったクリトリスにたっぷりと塗りつけます。コリコリと刺激を加えて快感を貪りながら、思いきり振り上げた右足のかかとを、勢いよくセミの上に叩きつけます。その瞬間、バシッという乾いた音が響いて、セミの声が途絶えるのです。バレエシューズの薄い靴底を通じて、くちゃっという柔らかな感触が足の裏にも股間にも伝わり、その瞬間に絶頂を迎えてしまうこともたびたびありました。そのままつま先で、体重をかけてセミの死骸をズリズリと踏みにじりながら、私はこみ上げてくる快感の波に打ち震えていました。ときにはセミの上で足踏みしたり、両足で死骸を二つに引き裂いたりしながら、快感を何度も反芻するのです。
ベンチに人がいるときはそんな派手なこともできないので、木の裏に隠れて、網ごと軽く踏み潰して動けなくした上で、何匹か捕まえます。5匹ほどたまってきて人がいなくなると、私はセミの上でパンプスの靴底を引きずりながらすり潰したり、いつものようにバトンの練習の動きをしながらセミを踏みつけたまま一回転したりと、塾の始まる時間まで快感を堪能していたのです。数年履いたバレエシューズの靴底は、真横に入った細い直線の溝も擦れて薄くなっていました。足を上げて靴底を確認すると、その不規則に磨り減った靴底の溝に、白いセミの臓物が食い込んだり、土と混じって汚く汚れているのが目に入り、ますますサディスティックな気分になっていました。白いエナメルパンプスを履いているときは、リボンのついたおしゃれなシルエットなのに、硬いヒールが一撃でセミを挽き潰す攻撃力を持つギャップにも興奮していました。
そのくせ塾の時間が近付くと、散らばったセミの死骸を蹴り集めて土をかけたり、草むらに蹴り飛ばして見えなくしたりと、バレないための工作も冷静にやっていました。とはいえ近所の人には、毎日セミを追いかけている変な女の子がいる、くらいには思われていたかもしれません。セミを捕まえる割に虫かごもないし、ヤバいですよね(笑)
何日かすると、私はオナニーすることを前提に家から下着を身につけずに公園まで行き、公園でひとしきりオナった後、木の陰で下着をつけて塾に向かっていました。夏期講習の終わりのころには、家を出るときにぬるっとした夏の風を股間に感じるだけで、ゾワゾワしたどす黒い興奮が湧き起こっていたのを、今でも覚えています。
あのころ天国に送ってしまったたくさんのセミさんたち、ごめんなさい!容赦なく思春期の女の子の性欲のはけ口にしてしまったことを、懺悔します。

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