出産と無痛分娩を通して知った、母の痛みと優しさ、そして「想ひ人」の使命
2025年1月4日、無痛分娩(分娩停止・最終的に帝王切開)で3450gの元気な男の子を出産しました。
そして本日1月6日、東京都の無痛分娩無償化のニュースが飛び込んできました。
本件に関しては様々な意見があるかとは思いますが、議論を行う上での一つの事実として、記憶がまだ鮮明なうちに、私の無痛分娩体験を書き残しておきたいと思います。
(お産の経過は本当に個人差があるので、あくまでも私の体験談としてお読みください。)
【お産についての前提知識】
陣痛: 1~2分続く激しい痛みと、数分間の痛みの緩和を繰り返す波。陣痛間隔が10分を切ると、お産の開始とみなされます。
陣痛は子宮口の開き具合に比例して、どんどん痛みが増し、間隔も短くなります。最終的には2~3分おきに、ほぼ激痛状態が続きます。
子宮口: 赤ちゃんが通る道。陣痛と共に徐々に開き始め、10cm全開になると出産が可能になります。
分娩台でいきむ: 子宮口が全開になると、分娩台で陣痛に合わせていきみ、赤ちゃんを押し出します。陣痛と痛みに耐えながら、いきむためには相当の体力が必要です。
無痛分娩の麻酔: 陣痛を和らげる麻酔です。しかし、麻酔を入れると陣痛が弱まり、子宮口が開くのが遅れるため、痛みの限界まで麻酔を我慢した方が出産の進みとしては進みやすいとのことでした。
【私の無痛分娩体験】
陣痛の始まりの痛みレベルは、許容できる痛みの限界を10とすると5くらい。陣痛が進み、間隔が短くなるにつれて、痛みは徐々に増していきました。
陣痛開始から18時間後、自分の許容値限界の痛みに達したため、無痛分娩の麻酔を投与してもらいました。その時点で、出産の痛み全体を10とすると、まだ3くらいと聞いて絶望しました。子宮口の開きは2.5cmほど。
その後、子宮口が全開になるまで、さらに21時間かかりました。うち16時間ほどは、麻酔のおかげで痛みはほぼありませんでしたが、最後の5時間は、麻酔を上回る陣痛の痛みに苦しみました。麻酔の副作用による全身の痒みもあり、眠れずに辛くて泣きました。体感的な痛みレベルは10〜15くらい。
ようやく子宮口が全開になり、分娩台へ。夫も駆けつけてくれて、立ち会い出産が始まりました。しかし、ここからが本当の地獄でした。痛みレベルは完全にカンスト。許容範囲を超えた、人生最大の痛みの中で、痛みの力を利用していきまなければならないため、体力がどんどん削がれていきました
赤ちゃんの頭が大きかったこともあり、分娩台に乗ってから3時間経っても出産に至りませんでした。あまりの痛みに錯乱状態になり、「何でも良いからこの痛みから解放して欲しい」としか考えられなくなりました。最後の30分で、なぜか赤ちゃんの位置が数センチ後退し、出口から遠ざかってしまったのです。積み重ねてきた3時間の努力が無に帰し、完全に心が折れました。同時に体温も38度に達しており、医師の判断により「分娩停止」となり帝王切開が決定しました。(体温は結果的には体力の消耗から来るものでしたが、感染症も疑われるため産後すぐに息子を抱くことができずに悔しい思いをしました)
帝王切開が決まってからも、手術の同意や準備の1時間ほどの間、いきんで痛みを逃すこともできないまま、2〜3分おきに地獄の痛みが襲い、意識が朦朧としてきました。
手術中は麻酔が効いており、恐怖よりも痛みから解放される嬉しさの方が大きかったです。陣痛開始から44時間後、無事息子が誕生しました。
術後に麻酔が切れると、傷跡の痛みに苦しみました。一歩歩くだけでも痛い。けれど、痛み止めが使える分、陣痛よりはマシでした。歩くときの痛みレベルは8くらいでしょうか。
今回の出産を通して、無痛分娩を選んでさえ、こんなにも痛かったのかと驚きました。自然分娩で出産されたお母様たちの痛みは、一体どれほどだったのだろうかと、想像を絶します。
人類が始まって以来、この営みを繰り返してきた全てのお母さんたちに、心からの尊敬の念が湧き上がりました。
私がこの体験談を書くのは、決して「こんなに大変だった」とひけらかしたいわけではありません。
お母さんたちの、出産という人生最大の痛みの積み重ねに、少しでも想いを馳せる機会となったらと思っています。
「お腹を痛めて産んだ我が子」「産後の恨みは一生」などの言葉の背景には、言葉では言い表せない痛み、苦しみ、そして深い愛情があるのだと知りました。
誰もが、誰かの痛みや悲しみに少しだけ想いを馳せて、1cmでも優しさを伸ばすことができれば、きっと世界は少しずつでも良くなっていくはずです。
今回の妊娠・出産を経て、夫がずっとそばで支え続けてくれたこと、会社のメンバーや関係者の皆様もあたたかく応援してくれた環境があったからこそ、安心して産むことができました。
小さなことで言えば、電車で優先席を譲っていただけるだけ、出産頑張ってね、応援してるよ!と声をかけていただけるだけで、その日一日とても幸せな気分で過ごすことができました。改めて、夫をはじめとする家族、会社のメンバー、関係者の皆様、そして応援してくれた全ての方々に心から感謝を申し上げます。
そして、妊娠・出産という大仕事を終えた後も、地獄の3時間ごとの授乳や育児を乗り越えている・乗り越えてきた全ての奥様を、旦那様には労ってほしいと、切に願います。
私の本業である株式会社想ひ人のモットーは「誰かを想う、あなたを想う」。
私たちは、そんな痛みや苦しみに寄り添い、取り除くことを使命としています。
今回の出産を通して、私は、女性としてだけではなく、経営者としても、これまで経験できなかった痛みや悲しみを体験し、想いを馳せることができました。
育児も介護も同じ「ケア」です。私たちが現在推し進めている「老後へのそなえ」も「ケア」の負担を予防するという意味での「ケア」です。
私は父の介護と育児を並行して行う現役のダブルケアラーの経営者として、「誰かを想う、あなたを想う」モットーの元、シニア分野で「家族の絆を守る」ための活動を実践していきたいと改めて決意しました。
「ケア」の分野で何か痛みを抱えている方は、いつでも私たちにご相談ください。24年間12,000件の相談実績を誇るベテランの社会福祉士が皆様の痛みに寄り添います。
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