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冬に出会った君へ

時刻は午後七時をとうに過ぎていた

ようやく仕事を終わらせ
寂れた商店街の中を歩く

屋根があるとは言えど
真冬の風が私の頬をさす

マフラーに顔を埋めながら
明かりの灯る場所へと駆け寄った

そこに君は立っていて
目があって、はっとした

はじまりは、そんな冬のある日

*****

コンビニの温かい飲み物で
冷えた手を温めたあの日

もう随分昔からある
古い喫茶店の窓から
降る雪を眺めたあの日

ひとつひとつ
忘れたくない冬の記憶

*****

近頃は
桜の開花が
テレビで告げられるようになった

いつのまにか
季節はめぐり、春

まだ少し風は
ひんやりしているけれど

季節は
確実にすすんでいる

私たちも
前にすすめているのだろうか

なんてことを考えながら
素知らぬ顔して君の隣を歩いた
とある春の日の夜



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