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君たちはどう歩くか。

この世には二種類の人間がいる。
歩くとき、道をゆずる側の人間と、ゆずられる側の人間だ。

皆さんはどちらだろうか。

これは、世に言う陰キャだとか陽キャだとかの問題ではない。
チンピラか堅気かという問題でもない。

チンピラでも雑踏の中で人をよけることはあるし、隠キャ童貞でもスクランブル交差点をまっすぐ歩く人を私は知っている。

ゆずる側は一生ゆずる側だ。

前にテレビ番組で、マツコ・デラックスがこんなことを言っていた。

「東京は道が混んでいるでしょう。ある時ふと気づくのよ。これ、私が避けなかったら毎回ぶつかっているんじゃないかって。最初は怖くてできないし、そんなことしたらぶつかっちゃうって思うの。でもある日決心して『絶対に譲らないぞ!』って歩いてみるの。そうすると不思議とぶつからないのよ。」

これには大変感嘆した。その通りなのである。
東京の道は、ゆずる人とゆずられる人の絶妙なバランスで成り立っている。そして、通行人は無意識に他人から発される「属性」を察知し、ぶつからない道を選択する。

ゆずるやつは一生ゆずり続け、ゆずられるやつは一生ゆずられ続けるのだ。

”ゆずられる人”の特徴

筆者はこれまでの経験から、ゆずられる人の特徴を知っている。
これを実践すれば、あなたも明日から「道ゆずられ」ライフが待っているかもしれない。

【ゆずられる人の特徴】
(1)ゆったり構えている
(2)遠くを見ている

以上の二つだ。たったこれだけで、交差点や混雑する駅の中で、驚くほど相手に避けてもらえる人になれる。

逆に、急いでいる人は、避けてもらえない。理由は簡単、避けてくれると思われるからだ。急いでいる様子というのは、周りから見れば「私は早く行きたいです」という合図だ。ならば当然至極、「早く行きたいあなたが、避けてください」ということになる。

また、急ぐ人は目の前に注意が集中してしまう傾向がある。無意識に、空いてるコースを探ろうとしてしまう。

近くを見ていたり、目があったりというのは「私はあなたの存在を認識していますよ」という合図だ。認識した以上は、避けなければいけない。認識しているのにわざとぶつかってくるのは、タチの悪いチンピラである。

つまり、合法的に「避けなくていい」ようになるためには、意識的に目の前の人に無頓着になる必要がある。遠くを見てぼんやり歩いていれば、先を急ぐ人が自然と避けてくれる。

普段ゆずってばかりだと気付いたあなたは、一度実践されてみてはいかがだろうか。

全員が”ゆずる側”だった江戸の町

「江戸しぐさ」というものがある。江戸に住む人々がやっていた習わしのことで、人口が非常に多かった江戸の町を、うまく生きていく知恵が込められている。

「肩引き」は有名な江戸しぐさの一つで、すれ違いざまに右肩を後ろに引くというものだ。道幅の狭い江戸の路地で、お互いの肩がぶつからないようにするためである。

実際にはどちらか一方がやれば済む話なのだが、江戸っ子ならお互いに肩を引くことがイキとされた。当時は「みんなで譲る」ことが当たり前だったのだ。

いつも無意識にゆずられているあなたは、実はゆずっている人の親切に支えられているのかもしれない。人の親切に気付いたとき、自分も親切になれるものである。これを機に是非、小粋な肩引きを実践されてみてはいかがだろうか。



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