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童貞シリーズ

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童貞くんはいつもカノジョがいません。 なので、たくさんの女の人を見てはドキドキしてしまいます。 「あれこの人、僕のこと好きなのでは?」 と勘違いします。妄想のしすぎです。 ショー…
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#童貞

おはようの子

 朝、学校にいこうといつもの道を歩く。
 すると背後から声をかけられた。
 
 振り返ると三つ編みのセーラー服の女子生徒。
 クラスメイトだ。

「童貞くん、おはよう」
 僕はビックリした。
 いつも話さない女の子だからだ。
「あ……お、おはよ」
 ニコニコ笑っていた彼女を見て思った。

 この子、僕に惚れているかもしれない!

ファストフードの人

 映画の試写会に当たった。
 試写会は夜の7時前に上映する。
 その前に食事をとっておきたかった。

 映画館近くのマク●ナルドに入って、単品でハンバーガーを二つとジュースを頼んだ。
 するとカウンターのお姉さんが商品を持ってきて、こういった。
「あの、よかったらこれ食べてくれませんか?」
 トレーを見ると注文したものとは別にアップルパイがのっていた。

「え? 頼んでないですけど?」
「よかった

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見せてくる子

 学校で行事のため、机を全部教室の後ろに片づけていた。
 女子と男子は分かれて窓側と廊下側の壁に一列に並んで座る。

 司会役の委員長と副委員長が黒板にチョークで書いて役決めを考えている。

 それ以外の生徒たちはみんな役が決まるまで退屈そうに隣りの生徒と私語をしていた。
 担任の先生がいないからだ。

 僕は特に誰かと仲がいいわけではないので、ボーッとしていた。
 ふと反対側の女子の方を見ていた

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高熱の子

 学校で中間テストが行われていた。
 僕はテスト期間中が大好きだ。
 別に勉強が好きだとか、成績をあげたいわけじゃない。
 宿題もないし、授業がないからだ。
 おかげで毎回0点に近い。

 義務教育なんだからどうでもいいと思っていた。

 そんなテスト期間も最終日。
 帰りのホームルームで担任の先生が一人の女子を教壇に呼んだ。
 クラスでもかなり可愛いマリナちゃんだ。
 顔が火照っていて、足取りが

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傘の子

 その日は土曜日だった。
 朝テレビで午後から雨が降るかもしれないと言っていたので、傘を持参して登校した。

 だが予報は大いに裏切られ、雲一つない日本晴れだった。
 下校時間になっても天気が崩れることはない。

 僕は友達と「雨ふらなかったよね」と苦笑いして、下駄箱の傘を取って下校した。

 帰り道、友達が僕の持っている傘を見ていった。
「ねぇ童貞君、それ君の傘じゃないよ?」
「え?」
 彼に言

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エレベーターの子

 あれはいとこの結婚式の日だった。
 僕は二十歳になっても未だに彼女もなし、童貞をこじらせていた。
 そんな時に幸せいっぱいの結婚式を見てイライラしていた。
 飲みなれないビールをがぶ飲みして酔っ払いながら帰宅した。

 自宅のマンションはオートロックの自動ドアで一階で鍵を差し込まないと開かない。
 結婚式に参加したため、慣れないスーツを着ていて、どこに鍵をなおしたかわからなくなった。
 いとこと

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ギャップが激しい子

 夏に近づいて僕は少しメンタルが脆くなっていた。
 風邪をひいているわけではないが、1週間以上学校を休んでいた。
 というか、避けていたのかしれない。

 パジャマで毎日過ごしていた。
 勉強もろくにせずテレビやゲームばかりでごろごろしている。
 それでも学校に行かなきゃなあとはなんとなく感じていた。

 けど、だるいなぁていうのが本音。

 日曜日になって、家族はみんな外出しており、家には僕一人

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お菓しの子

 僕が高校生の時だった。
 女っ気のないオタ友二人と、教室でたわいのない話をしていた。

 そんな時だった……。
 後ろの方の席で固まっていた女子グループがにぎわっていた。
 女の子たちはいつも華があっていい。
 キャッキャッいって、見ているこちらもほほえましい。

 だが、僕が見ていたのはひとりだけ。
 クラスの中でも一番目が大きくて、可愛らしい女の子。桃山さん。
 僕は彼女をずっと可愛い子だな

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トイレの子

 僕は持病で、よく腹痛が起こる。

 一度、症状がおきると、トイレをすぐに探さないとヤバい。

 失敗して、大惨事になってしまう。

 真面目な話、成人してからも、何十回と失敗している……。

 家の中ならそりゃキレイにしてしまえば、いいのだけど。

 外出中は本当に困る。

 特にデパートなんかが、一番困る。

 男女差別ではないのだけど、高層ビルのうち、1階が女子トイレのみ、2階が男女トイレ、

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レンタルの子

 僕はオタクだ。

 そして付き合っているカノジョもオタクだ。

 当時、動画サイトで流行っていたアニメを二人で見かけて、ハマッてしまった。

 カノジョに頼まれて、近所のレンタルショップに借りに行くことにした。

 お目当ての作品は、『スクールデ●ズ』

 ネットでも大人気。主人公がボロボロになるのが、おかしくてしかたない。

 お店につくと、しばらくその作品を探すが、なかなか見つからない……。

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バイトの子

 一時期、リサイクルショップでバイトをしていた時だ。

 仕事の内容としては、社員や店長が買い取った商品。主に服や家電が多い。

 それらの汚れなど落として、値札を貼り、棚に設置する。

 働きだして、数ヶ月経った頃。

 

 いつものように、ジーパンに値札を貼りつけていると、店長が僕を呼びつける。

「童貞くん! ちょっといいかな?」

「あ、はい」

 毎日ミスしてたので怒られるのだろうかと

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ナースの人

 20代の前半。

 腹が減れば、とにかく白飯ばかり食べまくっていた。

 多い時なんかは、大盛カップ焼きそばをおかずに白飯3杯も余裕だった。

 なのに、太らず体重は57キロ前後をキープするから恐ろしい。

 母がいないときは、男三兄弟なので、各々が冷蔵庫のあまりものを出して食べる。

 といっても料理は基本しない。

 生卵があれば、それを白ご飯にかけて醤油たして、卵かけごはんのできあがり!

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ナースの人 その2

 前回の続きです。

 まだ入院中の話。

 僕は若かったし、人見知りが激しかった。

 そんなんだから、看護婦さんとも中々うまくコミュニケーションをとれない。

 食事をとれず、点滴ばかりでシャワーやお風呂に入れていなかった。

 クーラーが入っていたとはいえ、真夏だ。

 それなりに汗はかく。

 だから、毎朝ひとりの看護婦さんにこう言われた。

「童貞くん、身体ふこうか?」

 そう言って暖

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当たっちゃう人

 母さんが還暦を迎えたころ、老眼鏡が必需品となった。

 だが、普段はメガネをかけない。

 本を読むときや新聞を読むときぐらいだ。

 だから、よく眼鏡を忘れがちだ。

 肝心なときに「あれどこやったかな?」と言っている。

 あと酔っぱらって、何回か電車に忘れてきたこともある。

 それを見ていた僕は、還暦の誕生日プレゼントはメガネの紐にしようと思った。

 しかし、母さん曰くダサいから好きじ

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