レンタルの子

 僕はオタクだ。

 そして付き合っているカノジョもオタクだ。

 当時、動画サイトで流行っていたアニメを二人で見かけて、ハマッてしまった。

 カノジョに頼まれて、近所のレンタルショップに借りに行くことにした。

 お目当ての作品は、『スクールデ●ズ』

 ネットでも大人気。主人公がボロボロになるのが、おかしくてしかたない。

 お店につくと、しばらくその作品を探すが、なかなか見つからない……。

 仕方ないと、店の中をウロウロする。

 そのうち、目が移り変わって、何本か映画を手にしていた。

 ちなみにこの店は、安さを売りにしている。

 僕が住んでいる地域では、旧作DVDは一本100円という安さだ。

 だから、5本ぐらいレンタルしてもお財布に優しい。

 何本か手にして、再び店内をウロウロしていると、やっとのことで、スクールデ●ズを見つけた。

「あったあった!」

 喜んで、3本も借りる。

 ルンルン気分で、レジに並ぶ。

 平日の午前ということもあってか、カウンターには一人の女性店員だけだった。

 ナチュラルボブで眼鏡をした真面目系女子。

 まだ大学生かな?

「いらっしゃいませ。こちらへ、どうぞ」

 待っていた僕を笑顔で手招く。

 DVDをカウンターに出すと、ピッピッピッ! と音を立ててレジに通していく。

 値段がレジに表示される。

 合計で5本なので、500円のはず……。

 しかし、表示されたのは、なんと650円。

 おかしいな? 新作でも紛れていたかな……。

 僕はお店のお姉さんに声をかける。

「あの……」

「はい? なんでしょう?」

「なんで650円なんすか? 旧作ばかりだから500円でしょ?」

 そう言うと、お姉さんは一瞬、顔を強張らせる。

 そして、カウンターの上に置いていた一つのDVDを手に取る。

 黙ったまま、僕にそれをグイッと見せつけ……。

「これが、これなんで……」

 

 僕の目に映し出されたのは、裸の巨乳女子。

 タイトルは『Gカップ プルンプルン、ブシャー!』

「……」

 忘れていた。大人向けの映画も借りていたんだ。

 お店のお姉さんは、ちょっとムッとした顔で、僕を見つめている。

 ふと料金表を見ると、大人向けは確かに旧作でも値段が違い、少し高い。

「どうされますか? 借りますか?」

 お姉さんは僕をまっすぐ見つめる。

 恥じることもなく、裸体のDVDディスクを宙にかかげて……。

「か、借ります!」

 お姉さんのプレッシャーに負けて、そう答えてしまった。

 なんてことだ!?

 この人……女子なのに、恥じらうこともなく、堂々としている。

 もしかして、僕に惚れているかもしれない!

 あの主人公みたいに……。


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