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「僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー1,2」ブレイディみかこ著

確かラボメンバーの誰かが「めちゃくちゃ面白いから読んで」って言ってくれてたと思うのだが、誰がそう言ってくれてたか思い出せないまま読み終わった。すごく面白かった。一気に二巻分を読み終えた。

日本人の母ちゃんと息子と旦那が暮らすイギリスのブライトンでの話。

多様性ってやつは物事をややこしくするし、ケンカや衝突が絶えないし、そりゃない方が楽よ。多様性はうんざりするほど大変だしめんどくさいけど、無知を減らすからいいことなんだと母ちゃんは思う。

僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー 1

この言葉はこの本を通じたテーマであるし、読者の心にも残る言葉でもある。

日本にも徐々に人種多様性の波が打ち寄せてきている。
父母の国籍が違う場合、日本では「ハーフ」と言うのが一般的だが、言われる方にしてみればたまったもんじゃない(と、当事者のことを思うとそう思う)。
最近、自分は意識して「ダブル」と言うようにしているが、「Mixed」と言った方が良い場合もある。
一番いいのは、そういうことを意識しなくてもいい社会だ。

でも、多様性の本質は、自身のアイデンティティとなる文化に影響を受けた、個々人の人生哲学や、自分でも気づかない価値観や偏見や、考え方や受け取り方が違うということ。

マルチカルチュラルな社会には地雷が転がっているのだ。

僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー 1

日本で限定された地域に生きていると、分断された社会と遭遇することはあまりないが、この本では社会的構造が生んだ格差が勢いよく飛び出してくる。

日本で暮らしていても、友人や職場の同僚と何気ない会話をしたときに、その人や自身が持っている価値観や偏見に気づいて、ハッとすることがある。日本では人に対して違和感を感じた時に、自身の意見をそこで述べたり、あからさまな態度に出すことはあんまりないような気がするが、海外ではそれがわかりやすく表に出ることが多い。

だからこそ、気づきが多かったり、嫌な思いをすることも多いけれど、「知ること」という観点に立つと、「悪くない」と思う。

個人的には、日本語しか喋れない日本人のおじいちゃんと、英語しか喋れない著者の息子の仲の良さにグッとくる。そして、色んなことを考えて受け入れて生きていく強さをもった登場人物たちが好きになる。

「でも、ライフって、そんなものでしょ。後悔する日もあったり、後悔しない日もあったり、その繰り返しが続いていくことじゃないの?」

僕はイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2

この言葉が13歳の中学生から出てくる言葉なのは、純粋にすごいと思う。
思いつめやすい自分の心が、少し楽になった。


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