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25歳一人っ子、母ががん宣告を受けた5ヶ月後、父も癌になる。③〜父への手紙〜

今、唐突に余命宣告を受けた父へ手紙を書こうと思って、その下書きをnoteに書き留めようとしています。

前回の記事はこちら↓

父が胃癌ステージ4で余命宣告をされて以降、私は来る日に備えて何ができるかを考えている。
母はというと、奇跡を願って神頼みをしている。

昨日、母は体調が優れないけれども、地元にある「癌撲滅神社」と呼ばれる神社に行ってお祓いをしてもらい、御霊水をいただいいてきたそう。
「御霊水、持って帰るの恥ずかしかった」と母がいうので何事かと思いきや

神社でいただいた御神水〜生活感のある背景を添えて〜

でっか。笑 めちゃくちゃ立派である。
手持ちのバックには入らず、これを抱えて公共交通機関で帰ったとのことなので、側から見たら焼酎瓶を抱えている酒豪の女だろう。
これを15日に入院する父へ渡す…?のかな。

一方、私は自分が後悔しないようにどうすればいいかを考えている。
きっと父が亡くなったら、「もっと会っておけばよかった、結婚式に呼べばよかった、もっともっと…わーんわーん(泣)」となる予感はしているが、その「もっと◯◯しておけばよかった」を今からできるものは減らしておきたい。

その一つが「父に手紙を渡す」である。

前回の記事で、父に大切にされていた記憶が掘り出されたわけだが、その感謝の気持ちや「父の愛情に気づいているよ、私は。」ということを伝えたい。
元気なうちに。私の言葉が伝わるうちに。

だけど直接はぜぇ〜ったい無理。
恥ずかしいし照れ臭いし面と向かってちゃんと話したことなんて、ほとんどない。

だから手紙を渡す。

備忘録としてここに下書きを書き留めておこうと思う。
内容は前回の記事とほぼ同じです。



パパへ

ママとパパは私が2歳の頃に離婚したけど、私は寂しいと思ったことがありません。友達関係にも恵まれ、先生にも恵まれ、家族や親類以外にも、たくさん愛情を注いでくれる人がいたからです。
でも、それだけじゃなかったと気づきました。
パパも私を大事にしてくれていたから寂しくなかったんだと思います。

小さい頃は約束をドタキャンされるし、歩くのが遅いと怒られるし、「パパにお金返してって言って」ってママに言われるし。正直パパに会いたいと思ったことはないです。
中学校に入学すると、会う機会もめっきり減りました。中学校3年間は卒業式以外に会った記憶がほとんどないし、高校も入学式と卒業式以外の記憶がありません。

でも今思い返せば、会う回数は私が大きくなるにつれ減っていったけれど、
私の人生の節目には、ちゃんとパパはいてくれたことに気づきました。

小学校6年生の卒業間近、保護者の方にこれまでの感謝の気持ちを伝える「感謝の集い」という行事があったのを覚えてる?
私が8年間習ったピアノを辞めるから、最後に合唱の伴奏をする私をパパは見に来てくれていました。
平日の真っ昼間の学校行事に、両親揃って来ているのは私だけでした。お母さんたちが座っている保護者席より離れたところに座っているパパを今でもなぜか覚えています。きっと、嬉しかったんだと思います。わざわざ仕事を休んで下手くそなピアノを聴きに来てくれたんだと、今なら分かります。
中学や高校の入学式と卒業式に顔を出してくれていたのも、ちゃんと私が今何歳で、何年生で、春になったら高校生、大学生なんだと忘れずにいてくれていたからでしょう。会わなくても大事にされていたことに、今更になって気づきました。
成人式のときには「養育費を払ってこなかったから」と言って振袖を買ってくれました。生命保険を解約して。あの振袖は一生ものです。
小さい頃、パパの電話番号の下4桁が私の誕生日だったことを思い出して、さっきスマホを確認してみると、まだ私の誕生日が電話番号の中にありました。

そうやって、人生の節目にはちゃんとパパがいると気づき、大事にされている実感が持てたからこそ、いまだに根に持っていることがあります。
それは結婚式に来なかったことです。
「行けたら行く」というパパの言葉に反発して「じゃあ来なくていい!」って言ったけど、本当は来てほしかったです。
照れ臭さいとか行きにくいとか私が電話をかけたタイミングとか私の頑固さとか、いろいろなものが重なった結果だと思うけど、「結婚式の日は私が人生で一番かわいくて、人生の節目の中の節目だったのに」という後悔が私にはあります。

だからこれからは「こうしていればよかった、あれをしておけばよかった」をなくしていきましょう。
もしパパに私の気持ちを伝えられなかったら後悔すると思って、まずはこの手紙を書きました。
退院したらみんなで温泉に行って、〇〇(私の夫)に背中を流してもらってください。あと孫も見せたいなと思っているよ。
やりたいことはまだまだたくさんあるから、一緒に前を向いていこうね。



結婚式に来てほしかった。と文字を打ってまた泣いてしまった。
本当に来てほしかったんだね、私。


最後に父から母へ送られてきたLINEを引用して終わろうと思う。

心配する父と言っても聞かない母


別れが言える死はまだ幸せだなんて。
父からそんな言葉がでてくるとは思わなかった。

好き勝手生きてきたから、やり残したことは何もない。父はそんなことも言っていたらしい。

本当だろうか。
怖くないんだろうか。
寂しくないんだろうか。
後悔はないんだろうか。

本心だったらいいと思いつつ、死を受け入れているような父を思い浮かべると無性に苦しくなる。

どうか神頼みが通じますように。

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