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本との距離

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現状、本を「好きでも嫌い」でもないけど、「本を売ること」をしはじめた、地方出身・中産階級以下で育ってきた人間が、どのように本と関わってきたのか。 年齢とともに本との距離感が移ろ…
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#沖縄

本との距離⑭(1000字)

島での暮らしは、横浜にいたときに比べたら、何もかもが違っていた。まず放映されるテレビが違う(本や漫画との関連性が今よりもずっと強い時代だったように思う)。そして、流行っている遊びが違う。 すると、同級生との話題づくりに困る。ぼくが知ってるものを相手は知らない。相手の知ってることをぼくは知らない。無駄にプライドが高く、知らないものとの付き合い方も超絶下手くそなとき。 小さな文化(コミュニケーションの)の差異が、学校に馴染むまでの大きな壁となった。おそらく、周りからすれば、ぼ

本との距離③(1191字)

大学生のとき図書館で雑誌ばかり貪っていた、という話から、さらに過去に遡ってみるとしよう。朧げにも記憶が残る4~5歳くらいから。 その頃は、横浜の鶴見に住んでいた。マンションだったかアパートだったか定かじゃないけど、父母姉兄ぼく弟の6人家族、2~3LDKくらいの広さでギュウっとして暮らしていたような気がする。その記憶の中にかすかに本棚があった。 そして、ぼくは絵本にそれなりに親しんでいたと思う。以前触れた『じごくのそうべえ』と出会ったのもこの頃だった。 父はさほど本を読む