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名古屋城バリアフリー市民討論会検証委「史実に忠実な復元の解釈等の市長・副市長・市職員間の不一致」が遠因

24/9/18に第11回「『名古屋城バリアフリーに関する市民討論会』における差別事案に係る検証委員会」が開催され、最終報告が承認され、河村たかし名古屋市長に手渡されました。
・最終報告
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/240918.pdf
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/240918-1.pdf
 
市長室で手渡された様子は、市政記者クラブ加盟社と事前登録したジャーナリストに公開されました。
その後市長室前で河村市長が会見しました。
・24/9/18(水)「名古屋城バリアフリーに関する市民討論会」における差別事案に係る検証について(最終報告) 手交後の河村たかし名古屋市長会見(ぶらさがり)
 https://www.youtube.com/watch?v=dGqODemD2TA
 
その後、検証委員長の田中伸明弁護士が、市政記者クラブで会見しました。


検証委員会では、まず田中弁護士が中間報告から加筆した部分を説明しました。

第5 4 市が差別事案に対して適切な対応ができなかった背景・遠因等
 1)『史実に忠実』について 市長、副市長、職員間の解釈の不一致があった
  ・市長は焼失前復元+防災上安全
  ・副市長と職員 防災上安全+バリアフリー
  両者のすり合わせができていなかった
 2)市としての方針を正確に理解してもらうための情報提供の不十分性  
  令和3年11月に市長「より上層階設置」と答弁した。
  公募終え、最優秀案が決まった令和4年11月に市長は「1階又は2階まで」と発言。   
  市職員は選定後も、より上層階への設置を目指した。
  市民討論会アンケートでは「垂直昇降機を設置しない」項目があった。
  市民の側からすれば、
   ・上層階まで設置?
   ・1階又は2階まで?
   ・もう一度0から検討?
  様々な理解が可能になった。
  市民討論会ではあらゆる意見を受け入れるような雰囲気が作られ、激しい意見対立を生む素地を作った。
 3)職員の苦悩と葛藤
  市長と、副市長、市職員の解釈が一致しなかった。
  新技術の公募は市議会で議決され予算つけられた。適切に評価され、最優秀案が決定された。
  十分尊重されなければいけない。
  公募要件は「より上層階までの設置」が含まれる。
  どの階まで設置するかは、今後十分な検討が行われてから行われるべき。
  その中、市長は「1階又は2階まで」と発言し、公募要件とのずれが生じた。
  事業進めていた職員は苦悩と葛藤を抱えた。
  障害者団体にこれまで行ってきた説明を市長の発言を受けてどのように維持していくのか。
  市民討論会で、適切に対応できなかった背景となった。
 4)公募選定後に無作為抽出で行った市民討論会の開催の進め方に問題点があった
  公募選定結果は予算をつけて進められた事業で市長は十分尊重しなければならない。最優秀案が選定されたことが前提。
  市民に意見を聞くなら「何階まで設置するか意見を聞く」べき。
  職員に苦悩、葛藤が起こったのは、いくつもの解釈が可能な情報発信がなされたため。
  どういう目的で市民討論会が実施されたか不明確になった。
  その結果激しい意見対立が生じ、差別発言が生じた。

その後、再発防止策として、「名古屋市における差別解消推進条例改正」と「人権条例制定」が提言されました。

杉野みどり副市長は「『第7 おわりに』にメッセージが凝縮されている。市長は、行政機関の長として、職員が誤解しないような表現を使用し、また、市民の誤解や分断を生じさせることがないよう十分に意識した事業運営をされるよう努められたい」と述べました。


河村市長はぶらさがり会見の中で、「最終報告の中に、『市長や所管副市長の言動をパワーハラスメントと感じる職員が生じる』とあったが、私がパワハラをやることはあり得ない。自身の『パワハラと受け止められない発言』については、第三者委員会による検証を求めたい」として、愛知県弁護士会に連絡して協議を始めたとしました。
https://www.youtube.com/watch?v=dGqODemD2TA

その他は全くこれまでの発言と変わっていません。
本当に最終報告を読んだのかもわかりません。

検証委員会を傍聴していた、車いす障害当事者は「市職員の人権意識が低すぎる。河村市長が市長である限り変わらない。今後作る建物は障害者団体の意見を聞くことになったが、、、」と述べました。



以下感想

中間報告を読んだときも感じたのですが、「どうして無理のあるスケジュールで市民討論会を行ったのか」分かりませんでした。

・2024年 02月 14日 市民オンブズマン事務局日誌
 名古屋城バリアフリー市民討論会検証中間報告「文化庁申請に合わせた無理あるスケジュールで、市職員は差別への配慮を欠いた」
 https://ombuds.exblog.jp/29876619/

24/9/18河村市長ぶらさがり「本物の名古屋城を求めるのも人権」というのも全く意味不明です。

最終報告では「市長と副市長、職員の間の『史実に忠実』に対する解釈の不一致があった」とありますが、市長の発言が、発言時期で違うどころか、1つの記者会見の中でもころころ変わるので、なにをどうすればよいか全く分かりません。
(24/9/18河村市長ぶらさがりで、結局河村市長は昇降技術を何階までと言っているのでしょうか。
 業者には聞いていない、「その筋の人に聞いた」と、また「河村話法」です。)
 
さらに、最終報告では「議会で議決した新昇降技術を前提として市民討論会で議論すべきだった」としていますが、
そもそも小型昇降技術は人権侵害で差別であるとする日弁連の要望は全く無視しています。
https://www.nichibenren.or.jp/document/complaint/year/2022/221024.html

「無作為抽出」に基づく討論は、河村市長の発言とは異なり、日本各地ですでに何度となく行われており、OECDで示された「ミニ・パブリックス」活用ガイドラインでは11項目示されていること、本市民討論会は少なくとも③透明性、⑥情報、⑦グループ討論、⑧時間、⑨高潔さ、⑪評価に反していることを、討論会開催前の23/5/24時点で名古屋市民オンブズマンは指摘しています。
https://ombuds.exblog.jp/29581406/
それらに対して特段のコメントはありませんでした。

最近、兵庫県知事をはじめ、首長や議員からのパワハラが相次いでいます。
実行性のある人権条例を作るなら、第三者機関による河村市長、松雄副市長のパワハラ発言検証を行った上で、先進的な条例にすべきです。
https://www.rilg.or.jp/htdocs/img/reiki/114_jinken.htm
・厚生労働省 あかるい職場応援団
 https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/foundation/definition/about
 職場のパワーハラスメントとは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの3つの要素を全て満たすもの

上記問題はあるものの、最終報告はこれまでの経緯や問題点がまとまっています。
少なくとも最終報告を名古屋市内1,156,744世帯に全戸配布した上で、障害者差別解消の推進に関する条例の改正、実行性のある人権条例の制定を経て、2027/3/19までに開発される予定である、MHIによる新昇降技術で何階まで登れるかが明らかとなった後、障害者団体と上記を前提とした話し合いがまとまってから、名古屋城木造復元を進めるべきだと思います。

上記があと何年かかるか分かりません。上記話し合いがまとまるかどうかも分かりませんし、そのときの市長が誰なのかも分かりません。

市議会の附帯決議に反して河村市長が購入した木材は約40億円、保管料が年間1億円かかっています。
河村市長は「全責任は私が取る」という書類に印鑑を押しています。
・2015/8/24 河村たかし市長「全責任は私が取る」指示書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf

このまま見通しもなく名古屋城木造復元を進めるのがよいのか、他の道があるのかは、遅くとも2025年4月までに行われる名古屋市長選挙の争点とするべきです。


「名古屋城バリアフリーに関する市民討論会」における差別事案に係る検証委員会
https://www.city.nagoya.jp/sportsshimin/page/0000174220.html


今後の予定

・24/9/21(土)14時~ 「名古屋城の有形文化財登録を求める会」月例勉強会 市政資料館
 https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle
・24/9/25(水)10時~ 市議会経済水道委員会 付議議案審査[質疑(観光文化交流局関係)]
・24/9/27(金)10時半~ 市議会経済水道委員会 付議議案審査[質疑(観光文化交流局関係)]
・24/9/30(月)10時半~ 市議会総務環境委員会 「名古屋城バリアフリーに関する市民討論会」における差別事案に係る検証委員会からの最終報告について(スポーツ市民局関係)
・24/10/1(火)10時半~ 市議会総務環境委員会 市長特別秘書について(総務関係)
・24/10/2(水)18時~ 静岡×名古屋の城(静岡市清水文化会館)
 https://www.nagoya-cu.ac.jp/event-list/20240801/
・24/10/4(金)10時~ 市議会経済水道委員会 付議議案審査[説明(経済局、観光文化交流局、上下水道局関係)]
・24/10/7(月)10時~ 市議会経済水道委員会 付議議案審査[質疑(経済局、観光文化交流局関係)]
・24/10/9(水)10時~ 市議会経済水道委員会 付議議案審査[総括質疑(経済局、観光文化交流局関係)]
・24/10/11(金)11時~ 市議会財政福祉委員会 名古屋市障害のある人もない人も共に生きるための障害者差別解消推進条例の改正に関する検討状況について(健康福祉局関係)

・名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
 http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm 
・名古屋市民オンブズマンブログ 名古屋城問題
 https://ombuds.exblog.jp/i33/


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