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文化庁調査官「名古屋城内にある『指定文化財』に限らずもっと広い意味での文化を議論出来たら」
24/6/10(月) 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第60回)が開催されました。
オブザーバーとして出席した、平澤毅・文化庁文化財第二課主任文化財調査官は「本日は名古屋城内にある『指定文化財』の保存整備について主に議論された。しかし、『指定文化財』に限らずもっと広い意味での文化をこの会の主題として議論出来たら」と述べました。
・24/6/10(月) 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第60回)配付資料
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/240610.pdf
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/240610-1.pdf
今回は今年度第1回目ということで、2023年度の全体会議・部会での検討内容をふり返った後、今年度の事業予定のイメージが示されました。
天守台石垣保存対策は、通年行うとのこと。
石垣保存方針策定は、2024年12月をめどとするとされました。
スケジュール案について、有識者からは特に意見は出されませんでした。
その後、植栽管理計画について議論になり、座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「名古屋市は戦後、整備をするために歴史と観光どっちをとるかというときに『観光』をとり、鉄筋コンクリートで天守閣を復元した。私は、歴史的風致と景観は違うと考えている」と独自の考えを述べました。
オブザーバーの渋谷啓一・文化庁文化財第二課主任文化財調査官は「今回今年度の事業予定(イメージ)を出したが、どれくらいのスパンで伸びていくのか、前後拝見できればよかった」と述べました。
平澤調査官は「本日は名古屋城内にある『指定文化財』の保存整備について主に議論された。しかし、『指定文化財』に限らずもっと広い意味での文化をこの会の主題として議論出来たら。逐次またご相談したい。大きな間違いのないようにすすめてほしい」と述べました。
平澤調査官が述べた「『指定文化財』に限らずもっと広い意味での文化」とはいったい何を指すのか。
「西北隅櫓、西南隅櫓、東南隅櫓、本丸表二之門、旧本丸御殿障壁画襖・障子類183面附16面、旧本丸御殿障壁画襖・杉戸絵149面、旧本丸御殿障壁画天井板絵331面附入側天井板絵369面、二之丸大手二之門、旧二之丸東二之門(本丸東二之門)」が国の重要文化財に指定されています。
また、乃木倉庫が国登録有形文化財に、二之丸庭園のほぼ全体が名勝に指定されています。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/learn/property/list/
「史跡名古屋城跡」全体は特別史跡に指定されています。
https://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/cmsfiles/contents/0000105/105368/2shou.pdf
今回議題となった石垣、植栽、二之丸庭園は特別史跡です。
平澤調査官に今回直接問い合わせることはできませんでした。
感想ですが、「現在の名古屋城天守閣」について平澤調査官が述べたのではないでしょうか。
「現在の名古屋城天守閣」は指定文化財ではありませんが、建設後50年を超えているため、文化庁の「登録有形文化財登録基準」に合致しているという声もあります。
・文化庁 登録有形文化財登録基準
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/toroku_yukei_kijun.html
建築物,土木構造物及びその他の工作物(重要文化財及び文化財保護法第182条第2項に規定する指定を地方公共団体が行っているものを除く。)のうち,原則として建設後50年を経過し,かつ,次の各号の一に該当するもの
(1) 国土の歴史的景観に寄与しているもの
(2) 造形の規範となっているもの
(3) 再現することが容易でないもの
・名古屋城天守の有形文化財登録を求める会
https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle/
渋谷調査官が「事業がどれくらいのスパンで伸びていくのか」というのは、昨年度以前の事業計画の資料を見ればすぐにわかります。
・第56回全体整備検討会議(令和5(2023)年6月12日)
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/save/plan_expert/2023/04/20230404_4218.html
・第49回全体整備検討会議(令和4(2022)年5月13日)
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/save/plan_expert/2022/05/20220523_1352.html
2023年度事業予定まであった、「【天守閣整備事業】木造天守整備基本計画について文化庁と協議・調整等」が、2024年度には消えています。
(2024年度は、「【天守閣整備事業】天守台及び周辺石垣の保存対策」のみ記載があります)
2023/6/3に行われた名古屋城バリアフリー市民討論会での会場からの差別発言と、市職員の対応のまずさが大問題となり、23/6/15に佐治独歩・名古屋市観光文化交流局長は「市民討論会をめぐる事件について、一連の検証が終わるまで名古屋城木造復元事業を進めない」と明言しました。
https://ombuds.exblog.jp/29599991/
木造復元のための3大課題(石垣、バリアフリー、基礎構造)ですが、石垣は保存方針を2024年12月までに策定するとはしたものの、天守台及び周辺石垣の保存対策がどれくらい時間と費用がかかるのか不明です。
バリアフリー市民討論会の検証は2024年夏頃をメドに最終報告をまとめるとのことですが、具体的なバリアフリー対策をどうするのか、障害者団体と名古屋城総合事務所は、市がエレベーターをつけない方針を示した2018年以降6年間も事実上平行線です。
基礎構造については、「現天守を解体してから具体的工法を考える」ようですが、「地階が柱まるけでよいのか」という自民市議からの指摘もあります。
河村たかし名古屋市長の任期は2025年4月までと、あと1年を切りました。
名古屋城総合事務所の本心は不明ですが、文化庁としては、去年まであった「木造天守整備基本計画について文化庁と協議・調整等」が事業予定から消えたことを重視し、「だったら現天守をどうするかを議論してはどうか」と考えたのではないでしょうか。
今後の予定
・24/6/17(月)第7回「名古屋城バリアフリーに関する市民討論会」における差別事案に係る検証委員会(非公開)
https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2024/sportsshimin/0000174554.html
・24/6/18(火)10時半~ 名古屋市議会経済水道委員会
(2)名古屋城天守閣木造復元市民向け説明会の総点検について(観光文化交流局関係)
https://www.city.nagoya.jp/shikai/category/324-3-0-0-0-0-0-0-0-0.html
・24/6/19(水)市議会開会
・24/6/29(土)14時 「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」月例会 市政資料館
毛利和雄氏ミニ学習会「名古屋城・天守木造復元の落とし穴」
https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle/
・24/7/1(月)名古屋城・天守木造復元の落とし穴(毛利 和雄/著) 出版
https://www.shinsensha.com/books/6385/
・24/7/1(月)10時半~ 河村たかし名古屋市長定例記者会見
https://www.city.nagoya.jp/mayor/category/316-0-0-0-0-0-0-0-0-0.html
・名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm
・名古屋市民オンブズマンブログ 名古屋城問題
https://ombuds.exblog.jp/i33/
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