名古屋城木造復元「市政出前トーク」に約30人
市民団体「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」が23/12/16に名古屋市市政資料館で名古屋城総合事務所職員を招いて行った、名古屋城木造復元に関する「市政出前トーク」に約30人が参加しました。
・「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」配布資料
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/231216-1.pdf
・名古屋城総合事務所 配布資料
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/231216-2.pdf
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/231216-3.pdf
・名古屋市民による文字起こし(説明と質疑応答)
もうしばらくお待ちください
・配布資料 23/7/25 名古屋市民オンブズマン
「23/6/3名古屋城バリアフリー市民討論会はなぜ開催されたか」
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230725-2.pdf
「市政出前トーク」は、市政の取り組みやまちづくりについて市の職員が来て話をしてくれる制度です。
https://www.city.nagoya.jp/shisei/category/59-2-0-0-0-0-0-0-0-0.html
テーマの1つとして「名古屋城天守閣の整備」があり、「求める会」が招きました。
はじめに、今回の会は陳情会や要望会ではない、と主催者が説明しました。
名古屋城総合事務所からは、荒川宏主幹と清水直樹主査が参加し、荒川主幹が説明・質疑応答に答えました。
当初説明40分、質疑応答40分で以前からお願いしていましたが、荒川主幹は「昨日詳細を聞いた」として説明30分くらい、質疑30分くらいとなりました。
(結果的には、説明50分、質疑40分行いました。)
2023年3月14日の名古屋市議会経済水道委員会では荒川主幹は「木造復元事業は、順調に進んでも最短で2032年度に完成する」と答弁し、河村たかし名古屋市長は「俺は聞いていない」と述べました。
大変わかりやすい説明と、質疑応答でした。
以下まとめました。
荒川主幹は「現天守を残し、木造復元に反対する団体で話すのは緊張する」としたものの、「名古屋で生まれ育ったので気持ちはわかる。
私は50を過ぎているが、名古屋市役所に入った時、私の師匠の師匠が現天守閣を建てた。
(注:現天守閣の設計は名古屋市建築局、施工は間組)。
立派な建物なので取り壊すのは残念。
ただ私は行政マンなので、やるからにはしっかりやりたい」と述べました。
荒川主幹は、「なぜ木造復元するのか」を説明したのち、これまでの経緯を振り返る中で、「2019年4月に現天守の解体申請をしたが、当時は2022年12月完成目標のままだった。 事業計画や進め方に関し、『市長の強い思い』が先走りすぎた。石垣等遺構の保存、調査の意識が欠けていたのは事実だと思う。
事業が長引いているのも、石垣等遺構の緻密な調査、発掘調査など、事前の調査が必要だったため。当初の計画が無茶があったのかなあ」と認めました。
「2019年4月現天守解体申請に対し、文化庁が『石垣等遺構に与える影響調査が足りない』『解体する意義は何か』と問うたので、名古屋市は2021年5月、2022年5月に回答した。
文化庁は2022年6月に『進捗した』としたため、名古屋市は2023年3月と6月に『整備基本計画』をおおむね取りまとめた。
しかし、2023年6月に市が主催したバリアフリー市民討論会で、参加者からの差別発言があり、さらに市の対応もまずかったため、現在市の対応の検証委員会が行われている。
その結果を踏まえてバリアフリーの方針を決めたい」としました。
「木造天守を支える『基礎構造』について、遺構が保存できるかわからないため、現天守地下の発掘調査を行った。
また、穴蔵石垣も調査したが、いずれも限られた範囲を調査しただけだったので、現天守解体後に調査して対策したい」と述べました。
また、バリアフリーに関しては以下述べました。
「市長はよく『本物を復元する』というが、私は焼失したものが本物だと思う。
復元するのは模造品でレプリカだが、『目的を達成する』ために作る。第三者機関の評定等を取得し、消防法、建築基準法と同様の安全性を確保したい。
地震時の計画については、基礎構造が固まらないと第三者機関の評定が取得できない。
バリアフリーについては『当時のまま復元してほしい』『雰囲気を壊してほしくない』という意見がある一方、『足が悪い、体力的に最上階まで登れない』『障害者を排除しないで』という意見も寄せられている。
どちらの意見もある意味正しい。
ある有識者は『21世紀に軍事施設を復元しようとしているわけではない。文化財を復元し、広く体感してもらいたい』と述べている。
柱や梁の間が狭く、普通のエレベーターを木造建築物に付けると課題があるため、新技術を公募したところ市は小型垂直昇降機(車いす1台、介助者1名)を選んだ。現在、技術的に何階まで上に上がれるか検討している」
最後に、「今後、木造復元は文化庁の許可が必要となる。その前に、文化庁の復元検討委員会で議論されて許可が出る見込みだが、まだしばらく手続きが必要だ」と締めました。
質疑の中で、「名古屋城の本質的価値」とは何かと問われた荒川主幹は「技術やどういった歴史背景があるのか、直感的に分かりやすい形で見て感じていただきたい。より深い理解促進を図るツールだ。
河村市長が『将来国宝に』と言っているが、100年たてばどんな建物でも国宝になる可能性はある。
国宝にするために復元するためではない。どういったものだったのか体感していただくため。『復元すれば即文化財』ではない」と述べました。
会場から、「市長が言っているから、一般市民は『江戸時代の城そのもの』が建つと思っている」と言われた
荒川主幹は「市長の方を持つわけではないが、政治家だからキャッチ―な言葉を使いがちだ。
その市民は誤解をされていると思う。じくじたる思い。
ただ、市長はそうでないことは分かっているようだ。市長は『防災設備はやる』と言っている。しかし発信力があるから『本物、本物』と聞こえる。」としました。
また、荒川主幹は「建築基準法の適用除外を受けるとはいっても、なにをやってもいいわけではない。
社会的建物でもあるため、防災、耐震など、世間で求められるものをやらないといけない。それは第三者機関の評定で担保する。
その後、建築審査会で同意を得て、特定行政庁(名古屋市)が『やむを得ない』としたら建築できる。」と述べました。
さらに荒川主幹は、「文化庁に書類を提出できないのは、バリアフリー計画が煮詰まっていないからだ。垂直昇降技術を何階までつけるか決めて文化庁に出す必要がある。
私がいうことではないが、河村市長は『昇降技術をつけたくない』。最終的には市長が判断する。」と述べました。
会場から「現天守の耐震強度がないから、木造にするとした。現天守を耐震改修するのか、木造で進めるのか原点に戻るべきではないか」という意見に対し、荒川主幹は、「『耐震性がないから木造』ではない。それなら現天守を耐震補強すればよい。
名古屋城がどういったものだったか理解するには木造復元の方が有益だと整理した。」としました。
また、会場から「現天守を壊していいかどうかは市民に問われていない」とした声に、荒川主幹は「『現天守が価値がない』ことは絶対ない」と断言しました。
会場から「大阪万博は当初計画からとんでもなく事業費が増えている。建設費505億円を借金で賄う予定だが、入場者数や事業予算を見直してちゃんとしたものを出さないと、とんでもない赤字をださないか?」という心配の声に対し、荒川主幹は「505億円は当初の竹中工務店の限度額予算。契約は何個かに分割している。竹中は『505億円でなんとか頑張っていきましょう』と述べている。
入場料収入でまかなう計画だが、まだ設計が終わっていなく、工事費も積みあがっていない。入場料計算もやり直していない。」と述べるにとどまりました。
・平成28年6月広報なごや折込資料「名古屋城天守閣の整備」
収支計画 入場料収入979億円
https://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/cmsfiles/contents/0000083/83234/1-4men.PDF
最後に「市民の皆さんからいろんな意見が出ると、計画が煮詰まる。議論することが大事だ。貴重な意見ありがとう」と述べ、主催者の森晃さんは「敵陣に乗り込んだ勇気に拍手を」と述べました。
その後、市職員2名は退席したのち、参加者で意見交換会がなされました。
森さんは「『史実に忠実』と『バリアフリー』は両立できない。外エレベーターをつけなければ2方向避難ができない。木造復元をやめ、現在の耐震改修するしかない。『河村市長の説明を信じるな』」としました。
会場から「バリアフリーについては、文化庁は『障害者団体の同意が得られればいい』と述べている。河村市長は『できれば昇降技術はないほうがいい』と述べている。障害者団体は、『それはおかしい』として、これまでの『最上階までの大型エレベーターを求める』という主張をひっこめることはない。結局河村市長が市長である限り、基本計画はまとまらない」と述べました。
名古屋市民オンブズマンの内田隆は「ここ(市政資料館)は煉瓦・鉄筋コンクリート造で、建築から101年。今では重要文化財となっている。
・名古屋市市政資料館
https://www.city.nagoya.jp/somu/cmsfiles/contents/0000010/10347/leaflet_202301.pdf
名古屋城現天守は、2011年に市が耐震診断概要書を作り、13.5億円で耐震改修、1.6億円で最上階までエレベーターができるとしていた。
しかしなぜか河村市長が木造をいいだして、2023年の今年矛盾が噴出した。
事実上事業が止まっているが、名古屋市は公共事業を見直す制度がない。
愛知県や国土交通省は5年事業がストップすれば第三者委員会が見直す制度がある。
河村市長が意見を変えるか、市長を変えるしかないのではないか」と述べました。
(参考:2023年 10月 31日 市民オンブズマン事務局日誌
名古屋市 公共事業再評価は国土交通省所管交付金・事業のみ対象
https://ombuds.exblog.jp/29735136/
2023年 11月 07日 市民オンブズマン事務局日誌
名古屋城木造復元 公共事業の見直し対象にしなくていいの?
https://ombuds.exblog.jp/29744855/ )
最後に、「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」は毎月月例会を行っていると宣伝がありました。
https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle/
意見交換会終了後、参加者が「歴史好きな人と話していると、『江戸時代そのものの城を復元してもらいたい。エレベーターやスロープがつくのなら、木造で作らなくていい』という声が多い。
また、資材や人件費高騰の現在、事業費も見直していなく、さらに入場者予測も見直していないなんてありえない。
これらがもっと市民の間の認識になればすぐ変わる」と意見を述べていたのが印象的でした。
今後の予定
・23/12/18(月)10時半~ 河村たかし定例市長会見
・23/12/18(月)まで 令和6年度当初予算予算編成過程の意見募集
https://www.city.nagoya.jp/zaisei/page/0000168912.html
・23/12/22(金)14時~ 全体整備検討会議 能楽堂
https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2023/kankobunkakoryu/0000170037.html
・23/1/13(土)14時 「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」月例会 市政資料館
https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle/
・24/2/3(土)13時~ シンポ「名古屋城石垣をつくる・なおす」KKRホテル
(24/1/14申込必着)
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/topics/2023/11/20231130_4297.html
・23/2/10(土)14時 「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」月例会 市政資料館
https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle/
・23/3/16(土)14時 「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」月例会 市政資料館
https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle/
・23/4/27(土)14時 「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」月例会 市政資料館
https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle/
・23/5/25(土)14時 「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」月例会 市政資料館
https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle/
・名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm
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