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かくして ビビり王に俺はなった

(※今回の記事は、虫・爬虫類が苦手な方は 読むのをお控えください)

私は極度なビビりだ。


「そんなに驚かんでもいいやん」と人からよく言われるのだが、
予期せぬタイミングで 予期せぬ大きさの音が鳴ったり
予期せぬタイミングで 予期せぬモノが動くと
「ひいいいいいいぃぃぃ!!」となる。

アメトークのスペシャルで『ビビり芸人 選手権』をやっているとき、
一緒に見ている家族はげらげら笑っているけど
私は見ているだけでも 心臓が小さくキュッとなる。

こんなにビビりなのは、おそらく実家が原因だろう。
私が生まれてから中学生になるまで10年以上住んでいた家、築40年を超えるその家はびっくりハウスだった。
田舎の一軒家だが、山奥というほど田舎でもなく、徒歩圏内に地域の百貨店だってあった。
そう、別に裏山があるような場所ではない、普通の住宅街なのだ。
なのに。


朝起きて 顔を洗ってタオルで拭こうとすると、
半目の状態でもわかる何か黒いものが タオルについていることに気づく。
恐る恐るタオルを持ち上げると ナメクジがいた。
「ウぉーーー!!!お母さーーーーーん!!!ちょっと来てーーー(涙)」である。


お風呂を沸かしてきてと頼まれたので、鼻歌を歌いながらお風呂の扉を少し開ける。とそこで、窓のあたりに何かいる気配がする。
鼻歌は止まる。一気に緊張感が高まる。
そーーっと扉を開けていくと、
窓に 自分の顔の大きさぐらいの でっっかいクモがいるのが見えた。
・・・ウウ・・・
「お母さーーーーん!!!クモーー!!でっかいクモーーー!!いいから来てーーー!!」


外が暗くなってくると、ダイニングの曇りガラスの窓に、
白いお腹をこちらに向けた何かが ガラスにへばりついている。
ヤモリだ。
毎日毎日 こんばんは。
こうやって家の中から見える分には 直接触れることはないのでまだ許容範囲なのだが、問題は外から帰って来る時だ。
我が家の玄関の入り口は、ちょうどこのダイニングの曇りガラスに対して直角の位置にある。
ということは、ちょっとでも暗い時間帯に家に帰ってくると、
玄関の横で ヤモリさんがすでに窓にへばりついていらっしゃるのだ。
玄関を開ける際、ヤモリと私との最短直線距離は約50センチ。
ヤモリが飛ばないことはわかっていても、この距離はきつい。
毎回、「動くなよ・・」と念を送りながら、急いでカギを開けていたのを思いだす。

とにかく、一事が万事なのだ。
Gが出るのは当たり前だが、Gホイホイにネズミが引っかかるような家である。
朝起きると、庭に蛇の抜け殻が落ちていたり、
建て替える最後の一年は、天井のあたりから「トトトトン」と、
何かが小走りする足音が 頻繁に聞こえた。
もうやだ・・こんな家、早く建て替えようよーー・・


まぁ そんなこんなで 私はビビりになったと思われる。
あのびっくりハウスには もう住みたくないけど、あの家の玄関は好きだった。
腰までの高さの大きな窓があって、そこからグミの木が見えた。
井戸もあったっけ。
雨の日は 窓についた水滴がスー・・ッ と落ちる様子をぼーーっと見ていた。
玄関の木製の扉も 何かの模様が掘ってあって、金属の古めかしい取っ手もかっこよかった。 
あの玄関は好きだったなぁ。



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