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毒を吐く その24 いわゆる進学校のカルチャーショック

幼児教育を受けず(保育所も幼稚園も行ってない、当時ですら、小1のクラスでは他にそのような子供はいなかった、小学校入学当時は予備知識が無さ過ぎて、苦労した、野生児みたいなもんである)、公立の地区の小中学校に行ったあと、地区の所謂進学校とされる公立の高校に普通入試で入学した。

比較的人口密度の高い地区で、その上学区がとても広かったので、広範囲の多数の中学校の卒業生が集まる高校であった。
例えば、学校では雲一つなく晴れているのに、長靴で登校する生徒がいて、聞いてみると自宅では積雪があったという。びっくりである。

入学して最初のホームルームで担任の先生がクラスに向かって伝えた内容が忘れられない。
「皆さんは、中学校では、それぞれ優秀な生徒だったでしょう。ただこの高校には、そういう人たちが集まってきています。入試満点で来ている人がいくらでもいます。生徒会長だった人も何人も来ています。」

あとになって、先生が最初の最初に何であんなことをおっしゃったのかが、わかった。ショックを和らげるためだったのだ。

わたしは、小中高を通じて一度も塾に行ったことがない。いわゆる成績の差を初めて実感したのは、せいぜい中学校で進学指導のために行われた業者模擬テストによってであった。塾等で学力輪切りのクラスの経験があれば、よかったのだろうが。
小中どの学年でも、難しい問題があると、解き方をクラスメートに尋ねられることが多く、段々相手の学力に応じて説明の仕方を変える術も身に着けた。知らず知らずに傲慢児童・鼻持ちならない生徒になっていたのだ。

ところが高校ではクラスメートに質問を受けたことがない。高校入試では勿論満点ではなかった。定期試験では目を疑うような点数をもらう。人望があるタイプではないし、リーダーシップは薬にしたくてもなく、面白いことも言えない。
と、どうなるか。まるで特徴のない平々凡々の生徒になった。悪行は元々しない。絵にかいたような「ワンオブゼム」である。
そしてこの「ワンオブゼム」の状態をキープするためだけでも、大変な努力が必要なのだ。白鳥は優美に水に浮かぶが、水の中では必死にみずかきを動かしているという。まさに浮かんでいるだけでも大変である。

あの経験は本当に良かった。
「上には上がいる」という言葉を知っていることと、日々体験することは、異なる。



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