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ヘルプマークを初めて付けた日

市役所に障害者手帳の申請のための書類をもらいに行った日にヘルプマークを貰ってきた。私の症状でヘルプマークをつけていいのか迷ったけど、いざというときのお守りとして持つことにした。

ダイソーで買った透明の硬質カードケースに連絡先や具合が悪いときの対処法を書いた紙を入れて、ヘルプマークにくっつけた。
そして、いつも持ち歩いているお薬手帳や診察券の入ったポーチの中に入れることにした。

初めてヘルプマークをつけたのは病院へ行った日。
その日は体調があまり良くなくて帰りの電車内で立っているのがつらくなってしまった。

乗り継ぎ駅で降りてホームのベンチに座る。
家に帰るまでは、あと2本電車を乗り換えなければいけない。
ちょうど帰宅ラッシュの時間だから、きっと座ることはできないだろう。
ヘルプマークをつけようと思った。

「席を譲れ」と言う意味でつけるのではない。
ヘルプマークには連絡先を書いた紙をつけてある。
具合が悪くなって倒れたり、何かあった時に助けてくれた人や駅員さんが、どうすれば良いかわかりやすいようにするためだ。
正直なところ、席を譲って貰えたらいいなという気持ちもあったけれど。

ポーチからヘルプマークを取り出してバッグにつける。
なんだか酷くそわそわした。

周りの人からはどう見えているのだろうか。
ファッションとしてつけている人がいるとニュースで見たが、そのように思われていないだろうか。
障害者に対して差別的な考えを持っている人もいる。
嫌な言葉を言われたりしないだろうか。

落ち着かない私とは対照的に、道行く人々はいつも通りだった。
ホームでスマホを触りながら電車を待つ人、にぎやかに談笑する女子高生、仕事の電話がかかってきてしまったサラリーマン。
なんだか少しほっとした。

ヘルプマークをつけていれば「助けが必要だ」という目印になる。
それに、連絡先や対処法を書いた紙も一緒につけている。
何かあってもきっと誰かが助けてくれて連絡先に電話してくれるだろう。
その可能性は100%ではないかもしれないが、確率はあがると思う。
そう思うと少し安心できた。

電車に乗ると、ラッキーなことにちょうど座席が空いた。
そこに座って目を閉じる。
体はだるく、頭は痛い。
少しの間眠ることにした。

乗換駅の2駅前で起きた私はヘルプマークをしまうことにした。
体調は少しではあるが回復していた。
次に乗る電車は確実に座れる。
体調も少し回復したし、もうつけていなくても大丈夫だろう。
私はヘルプマークをポーチにしまった。

初めてヘルプマークをつけたこの日以降、ヘルプマークをつけることはまだ無い。
だけど、鞄の中のポーチにはヘルプマークが入っている。
それは持っているだけで、少しの安心感を与えてくれるから。

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