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【01】 小内光:えねるぎの庭 The Garden of Energeia

2024年9月13日、北アルプス国際芸術祭2024が開幕しました。
こちらで地域おこし協力隊員の視点から芸術祭の鑑賞レポートを書いてみます。第一弾に紹介したいのは宮の森自然園で展開する小内光の作品「えねるぎの庭」です。

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「えねるぎの庭」の一部

大町市宮の森自然園は大町温泉郷から徒歩15分のところにある、湧き水豊富な自然園です。小内光の「えねるぎの庭」はその約半分のエリアを使って作品を展開しています。

作品のマップ

湿地を抜ける小さな遊歩道を歩いていると、言葉が書いてあるカードが目に飛び込んできた。

「えねるぎの庭」の一部

小さなカードに導いてもらって道を進むと、言葉の色とサイズも変わってきた。初秋の森は賑やかで、それぞれ言葉の色や設置方法はその周辺の状況とぴったり一致していた。

「えねるぎの庭」の一部

「何万匹、何万本、それ以上の植物や虫の命に取り囲まれていて、そのなかに人間がわたし1人だけだった。」「寂しいのは人間がそう思うだけで、植物たちは死ぬことも何も怖がってない、怖くない世界があるって感じた。」

by 小内光
「えねるぎの庭」の一部

死ぬこと、意識を失うことを長く考えると、いつも体の奥から冷たい怖さが湧いてくる。死んだ後の別の世界も信頼できるわけない。という重くて冷たいことをいつも恐れている。作品の最後に、まさにこれは私の恐怖を少し救える作品だった。と気づいた。

私の日常生活では、魂と肉体と時間が分離した状態だと感じることが多い。けれど、この作品の中を歩いていると、自分の肉体と精神と時間がかつてない一体感に達したように感じる。

「えねるぎの庭」の一部
「えねるぎの庭」の一部
宮の森自然園
宮の森自然園
宮の森自然園
「えねるぎの庭」の一部

【作家紹介】


小内光は2023年の信濃大町あさひAIR(アーティスト・イン・レジデンス)参加作家であり、粘土や詩をメディアとして表現するアーティスト。去年のあさひAIRで小内さんと出会い、粘土の知識を色々教えてもらいました。いつも「150歳まで生きたい。」と真剣な顔で言う小内さんは、人の身体に訪れる寿命と「思い出」の永続性の関係をテーマにしています。


(文・写真)大町市地域おこし協力隊 隊員ロウカ 


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北アルプス国際芸術祭
会期:9/13〜11/4 ※水曜定休
開館時間:9:30〜16:30
会場:長野県大町市
HP:https://shinano-omachi.jp/

*17平田五郎、18小内光の展示場所:宮の森自然園(長野県大町市平1320)

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