「HOTEL 松本本箱」で迎える誕生日
今年の11月で30歳になった。
想像していた30歳ではなかったけれど、それはそれ。
「最近楽しそうだよ」と母に言われ、きっと私の行動力はどんどん好きな方へ進んでいくのだろうな。
記念すべき30歳の自分へのプレゼントにずっと行きたかった長野県・松本市にあるブックホテルに泊まってきた。
そもそもブックホテルとは?という声もあったので…
一言でいえば「泊まれる本屋さん」。館内の本を購入できたりできなかったりはホテルによりますが、基本的に本がたくさんある空間で寝泊まりできるという最高空間。
今回の松本本箱はオートロック&温泉付きでしたが、布一枚ぺろんなホステルみたいなところに泊まったこともあるし、ビジネスホテルみたいなところ(食事は各自外でどうぞ)もありました。
その場所その場所の厳選されたライブラリーが魅力的。
新宿から特急に乗り、松本駅へ。
関東と比べて、ぐっと冷え込む長野県。
でも、人のあたたかさが東京とは違うなと感じて。
バスの乗車方法にもたもたしていた私やベビーカーを持ったお客さんがバスに乗り込むと運転手さんが近くまで来て助けてくれた。
お客さん同士もお話していたり、東京ではあまり見ない人との関わり合いに心がほっとしたな。
訪れたのは、浅間温泉のある地域の活性化を目指した「松本十帖」。
温泉をはじめ、ホテルやカフェが集まっている。
チェックインはホテルの近くにあるお店「おやきとコーヒー」にて。
おやきを手で包むとほっこりとあたたかい。
優しい甘さのつぶあんともちっとした生地。KINTOの茶色グラスマグがお店のテイストとも合っていて、とても素敵だったな。
風が吹くと障子ガラスが、がたがたと鳴るのも、趣があって。
スタッフの方も丁寧で、ゆっくりくつろげた。
そこから少し歩いて、HOTEL松本本箱へ。
入口の暖簾をくぐるとロビーが広がり、目の前にはレストラン、左には本箱への入り口がある。
エレベーターで部屋の階へ上がると、廊下にも本とおやつがいっぱい。
(食べきれなかったけど、ジュースやアイスも食べ放題で夜に小腹が空いても暖かい室内で十分楽しめる。)
お部屋には源泉かけ流し露天風呂!
今までブックホテルは行ったことがあっても露天風呂やお料理にこだわったホテルは初めて。
そう、お料理。
夕食はホテルに入っているレストラン367で頂きました。
長野県産の食材をたっぷり使って、素材や伝統を生かした調理方法が食に対する丁寧さを感じられた。
味わって食べようと思える良い時間だったなあ。
(あと全体的に店内の照明が暗くなっていて、目の前のキッチン内の焚火がぱちぱちと音を鳴らしていて落ち着いた気分)
お誕生日なので、コース料理に合わせてノンアルコールペアリングをオーダー。(アルコールだとこのあと本読めなくなっちゃうから笑)
シャインマスカットの果汁と和紅茶など組み合わせが面白くて、サーブしてくださるスタッフの方のお話を聞くのが楽しかったな。
ごはんを食べて、露天風呂に入り(つんと冷えた松本の空気とたっぷりとした温泉…!)整ったところで、いざ本箱へ。
蔵書数が多いのは言わずともかもですが、ジャンルが幅広い!
料理本や絵本、写真集もあり…どこを見ても本。
夜に、すっぴん&ほぼパジャマでこんなにたくさんの本に囲まれる。それだけで本当に心からわくわくが溢れてきて。このわくわくはなんなのだろう。
ブックホテルの使い方はさまざまだと思うけれど、私は出会いの場であると思っている。
毎回自分の本は(一応)持参するものの、どっぷりその本に浸かるというよりは、ホテルの本棚に並べられた本の順を見て「え!この初見本、これとこれ(既読)に挟まってるけど、どゆこと!?」ってなったり、ちょっと気になる本(買うのは悩ましいし、図書館にはなさそうor予約待ちが凄そう…)をかじったりしている。
夜道も終電もないので、思う存分読み読みして部屋で眠る。
朝ごはんもお野菜たっぷりでおいしかった!
パンがふわっふわの出来立てで、ほっぺた落ちた。
グラノーラに味噌が混ざっているのも拍手喝采ものでしたな。
もりもり朝ごはんを食べて、松本旅2日目も本を中心にうろうろ。
ホテル近くにあった「哲学と甘いもの」では気になる哲学書をたくさん見つけた。店内もストーブであたたかくなっていて、本読み捗りそう。
そして、「松本十帖」をあとにし、バスに揺られたどり着いたのは、セレクトブックショップの「栞日」。
文字少なめの眺める系の本も多い印象。
1階がカフェスペースで2階に本が並ぶ。2階にもテーブルがあり、お茶をしながらおしゃべりするお客様もいたり。
長野といえばお蕎麦でしょ、と友達に言われていてマークしていたお店があったのだけれど、現金不足で入店できず。(キャッシュレス生活に慣れてしまっていて…こういう時恐ろしいよ)
けれど、お蕎麦の口になってしまったので、松本駅前のお蕎麦屋さんに寄り、特急ギリギリまでお土産を買ったり、スタバに寄ったりして、東京に戻る。
東京に戻ると、人の多さにまず驚いた。
ごったがえす東京駅。けれど、何年も通ったここにやっぱり安心感を覚え、キャリーケースを引きながら器用に人の波に乗り、歩幅とスピードを合わせ迷わず駅のホームへ向かう。
途端に都会の人に戻った自分に苦笑しつつも、長野で流れていた優しさや丁寧さで心がふくよかになった30歳。また楽しい1年になりますように。