この春やりたいことは、詰将棋(五手詰)をクリアし、将棋の戦法を覚える
コロナ禍がはじまり、なるべく家に引き籠っている。
小田原城にこもった北条家、寧遠城で抵抗した袁崇煥、コンスタンティノープルで奇跡を信じた東ローマ帝国のごとく引きこもり生活をつづけている。
少しでもコロナにかからないように気をつけ、生活を続けるだけと思っていた。
学生時代の休憩時間は、ひたすら寝たフリをして過ごしてきた。そんな私は友達も少なく、彼女もいない、結婚もしていない。飲み会もねえ!!デートもねぇ!!そんなおいらは、一人が大好きダ。
でも、たまに、なみだがでちゃう。にんげんだもの。
太陽が沈みだすと、ギシギシといいそうな腰をさすりながら冷凍庫からウォッカやジン、ラムをもぞもぞと取りだし飲みながら、夕ご飯を作りだす。
漫画や動画、ニュースを見ながら、食い散らかし、酔いつぶれるまで飲む。
酔った眼でニュースを眺めていると、日本が分裂、分断、断裂しているように思う。やれ不公平だ、ロックダウンをしろ、経済を回せ、マスクをつけろ、つけるな。大きな問題ではオリンピックも控えている。日本中がギスギス、トゲトゲ、クサクサしている気がする。
そんなコロナ禍の日本では、ハッピーで楽しいニュースは少なかったが、嬉しいニュースが二つあった。
藤井聡太七段が史上最年少でタイトルを獲得したことと、6歳になる姪が将棋をはじめたことだ。藤井聡太七段のニュースと姪のニュースを並べることはおこがましいことですが、どうかおひつとつ、おめこぼしを。
姪が将棋をはじめた知らせを聞き、高血圧の父の血管が切れるんじゃないかと心配するほど、父はよろこんだ。父はすぐに漫画で覚える将棋という本を、姪にプレンゼントした。姪は漫画を読むことはできたが、説明されていることの意味まではわからなかった。
そこで、父が姪に将棋をやさしく教えだした。
将棋の知識の差はあるが、老人(父)と小さい子(姪)が将棋盤を挟んで一緒に遊んでいる姿を見ていると、目が細くなり、口角があがってくる。
コロナ禍でボードゲームが流行しているというニュースを見たことがある。老若男女が向かいあって楽しめるのがボードゲームの魅力なんだろうな。
「おっちゃんもしょうぎしよう」と、姪に言われたんだ。頑張って将棋するしかないやん。
ちょうど姪ちゃんと同じ年のころ、まだ生きていた祖父と父に将棋を教えられていたので、将棋のコマの動かし方は知っているんだ。ほんとコマの動かし方だけは知っているんだ。
姪には優しく将棋を教えている父だが、私に将棋を教えたときは、昔ながらの昭和、鉄血、スパルタ方式で将棋を教えられたんだ。ワンワン泣きながら、スタコラッサッサと将棋から逃げ出しましたとさ。
30年ぶりに将棋のコマにさわり、姪と対戦した。小さい頭でよく考えているなと感心させられた。勝てそうになるが、ぬるぬると姪の玉様は逃げる逃げる。
将棋で一番むずかしいのは、相手の王様の逃げ場をなくすことだ(詰み)。あれこれ考えコマを打つのだけれども、姪も考え、王様をスタコラッサッサと逃がす。千日手になり、引き分けになった。
「またしょうぎをやろう」と言われた。うれしかった。将棋を勉強しようと決めた。
父が姪に買った将棋入門の漫画本を読みだした。有効利用だね、エコだよ。ビニール袋は無料にもどせ!!
将棋には序盤の陣形の組み方、守り方、攻め方、戦法が星の数ほどあることを知る。
え?これ全部みんな覚えてるの?さっそく挫折しそうになるが、グッとこらえて本を読み続ける。
なるほどなるほど、分かった。初心者はまず『棒銀戦法』『四間飛車戦法』を覚えるとよいみたいだ。
二つの戦法を覚えることを目標とする。
いまは将棋もタブレットで気軽に遊べる時代になっていた。対人戦アプリは怖いので、かわいいネコさんと対局するアプリで、将棋の勉強をではじめた。
本を見ながら、えっちらこっちら『棒銀戦法』『四間飛車戦法』を組み立てようとしていると、いつのまにかネコさんに王手されとる!!
かわいい顔してネコさん強いデ。
本を見ながら、陣形組んで、ネコさんの打った手をみて、よちよちよぼよぼコマを打っていく。対局を有利にすすめることはできるのだが、ネコさんの王様がまさに猫のように軽やかに逃げる。
ムキになってネコさんの王様を、一心不乱に追いかける。そのうちハァハァと息が切れたとき、私の王様が討たれていた。
どうしたら、相手の王様を討ちとれるんだ?解決方法は、詰将棋を勉強することだそうだ。
さっそく詰将棋アプリをポチる。
詰将棋とは、将棋盤のうえにあらかじめ何枚かのコマがおかれており。その状態から、相手の王様の逃げ場がなくなるようにコマを打てばいいわけだ。一手詰であれば、一手で相手の王様の逃げ場がないようコマを打つ。三手詰であれば、私が打つ、相手が逃げる、三手目で相手の王様の逃げ場がないようにコマを打つ。
詰将棋の開始時、手持ちのコマがあるときとないときがある。
まずは一手詰から勉強開始。口笛を吹きながらスキップしながら、さくさく問題をクリアしていく。一手詰は、アッというまに問題を解き終わった。
次は三手詰。んんん?むむむむ?ぜんぜん分からない。王様が逃げて逃げて、三手で詰ますことがマッタクできない。
たまに奇跡的に頭に天啓がふってきて、三手で相手の王様を詰ましたときの快感よ。ナニかが、キッチリばっちりハマッた快感のそれだよ。パチンコ・スロットで777が揃ったとき、オンラインゲームのガチャでSSRがでたときなみに、アドレナリンが脳内からぷしゃ~とでるデ。
一手から三手になるだけで、王様の逃げ場をなくすことのムズかしさは30倍ぐらいになっている。2021年春、三手詰と格闘している。
将棋の戦法を覚え、詰将棋を勉強し、姪と楽しく将棋を勉強していく。アラフォーのおっちゃんと、小学1年生の姪が一緒に成長していく。こんな楽しいことがあるだろうか。将棋は老若男女をうけいれてくれる。老若男女を成長させ、頭を悩ませ、勝つよろこび、負けるくやしさを将棋は教えてくれる。
将棋の勉強、この春やりだいことだ。