連携ミス
電線工事をしてたんです。幹線道路ではない細い道。片側通行に規制されていて、信号を左折して直ぐのところにおじさんが立っていた。黄色信号でスピードを上げて左折してきた車に轢かれてしまうのではないかと思うくらいの位置に。背の小さい眼鏡をかけたおじさん。いやっ、おじいちゃん。日焼けしてて真っ黒。動作がぎこちない。まだ慣れていないのかな。赤と白の旗を持っていた。交通量はさほど多くないけれど、信号を曲がって直ぐなので常に信号を確認していないとジャッジが難しい場所だと思った。
ぼくが左折するとビックリしたように
あかあげないでーしろあげた
なので進んだ。緩い登り坂になっていてその頂上付近に向こう側のおじさんが見える。距離にして100mくらい。対向車は見えない。半分くらい進むと向こうのおじさんがあかあげないでーしろあげているのが見えた。
えっ?
案の定対向車がこっちへ向かってきた。両側に退避する場所はない。面倒なことになりそうだ。連携ミスかぁと思いながら、半分以上進んでいるので戻るわけにいかず。対向車と向かいあってしまった。
対向車の兄ちゃんが睨みつける。なんだこいつって言ってるような口の動き。若い頃だったら、そんな仕草を見たもんなら車を降りてなんだこの野郎って突っかかっていただろう。少なくともこっちが先にしろに従い半分以上進んでいるのだから。
ぼくは悪くない。でも兄ちゃんも悪くない。誰が悪いかと決めるなら旗振りのおじちゃんでしょ。明らかな連携ミスなのだから。
冷静になってみるとそのシチュエーションがおもしろく感じてきた。こんなこと起こるんだ。でも何とかこの状況を回避しなければならない。両手人差し指を舐め、それを頭にくるくる(頭の中でのイメージ)。
ぽんぽんぽん ちーん。
睨む対向車の兄ちゃんを見ながら右手で拳を作り振ってみた。眉間に皺を寄せこちらを睨んでいるように見える兄ちゃん。再度同じ仕草をしてみた。
それを数回続けやっと気付いたようだ。
ジャンケンポン。
ぼくはパーを出し兄ちゃんはグー。
勝った。
兄ちゃんはそのまま下がって行った。
すれ違いざま、兄ちゃんに右手を上げ兄ちゃんも応えてくれて。
これでいいのだ。
そんなことが起こった昨日は久しぶりに青空さんが見えた。
**********************************************************************************
Mr.ブルースカイ
きみと一緒にいられてとてもうれしい
周りを見てみなよ
誰もがきみに微笑んでるよ
誰もがきみに感謝しているよ
励みになります