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小学生に話したい科学ニュース (11月)

今月もまた、娘と話したい話題の科学ニュースについてまとめてみようと思います。

10月は皮膚を透明にする方法が発見されたってよ!という衝撃ニュースがありましたが、今月は環境問題や倫理問題をどう考えるかにつながるニュースを取り上げてみました。

トピックはこんな感じ。

  • 木で作った人工衛星が地球に降り注ぐゴミを減らすかもしれないニュース

  • 木を埋めて何年分解されないのか調べようとしたら約4000年前の木が発見されちゃった研究

  • 絶滅危惧種のクローンが子供を生んだニュース

食事や移動の際の話ネタとして読んでもらえたらと思います。


木で作った人工衛星がすごい話

今年の11月5日、京大の研究チームと住友林業が世界で初めて木で作った人工衛星を宇宙へ打ち上げました。

BBCの記事から。

通常、人工衛星は金属製で、特にアルミニウムが多く使われています。アルミニウムは「安くて軽くて加工しやすい!」という理由で、人工衛星の素材としてとっても便利です。

しかし、金属製の人工衛星が地球に戻る際、大気圏できれいに燃え尽きるわけではありません。燃えながら細かい破片(粒子)を放出します。この破片は「酸化アルミニウム」で、アルミニウムが燃えて酸素と結びついたものです。「アルミナ」とも呼ばれています。

たとえば、重さ250kgの人工衛星が地球に戻ると、約30kgの酸化アルミニウム粒子が大気中に放出されます。さらに、現在計画されている人工衛星がすべて打ち上げられた場合、1005トンもの酸化アルミニウムが地球の上空に降ぐと予測されています。(こわすぎ。。)

詳しくはこちらの記事にまとまってます。

酸化アルミニウム自体は有毒ではありませんが、そもそもそんな大量の金属粒子を空気中に残して良いのか。。オゾン層への影響もあると言われ始めている今、このままというわけにはいきません。

そこに登場したのがこの木製の人工衛星

画像は京都大学より

この木製の人工衛星であれば大気圏で綺麗に燃え尽き、二酸化炭素と水のみを放出するそうです。ネジや釘などを使わず木を組み合わせて作っているそうです。すごい。

元々は宇宙で木を育てたいというプロジェクトからこの木製人口衛星を作る計画がでてきたようです。
研究って本当にどう進むかわからない。から面白い。

※木材を使えば燃えやすいという利点がある一方で、金属よりも分厚くなる(使用する木材料が多くなる)ことは懸念されています。衛星が重くなる分、打ち上げのコストや燃料消費、さらなる環境負荷が増えるのではないかとの意見もあります。

と、最初は木製衛星の科学ニュースでした。
このあとなぜ宇宙で木を育てたいのかについて、なぜ宇宙に植物が必要なのかについて少し深掘りしてみましょう。

宇宙で木を育てたいのはなぜ?

今宇宙ステーションでは植物を育てています。

https://slashgear.jp/science/18313/

宇宙ステーションには宇宙飛行士が宇宙に滞在するためにたくさんの食料を運んできていますが、限度があります。そのため小さな種を持って行き宇宙で野菜が育てることができれば荷物が減って万々歳。食料を自給自足したいわけですね。

そして宇宙ステーションで食料としての野菜が栽培される中、今回紹介した木製の人口衛星を開発したグループは、火星で木を育てようという計画を始めます。

AIが作ってくれた画像

火星には二酸化炭素があるので、木を育てることができれば木が二酸化炭素を吸って酸素を作り、人間が暮らしていける環境にしてくれるだろうという狙いです。

また、火星で木を作りたいのは木で酸素を作るためだけではなく、その木を木材として建築材料にしていこうと思っているのでしょう。(木があるだけで酸素も家も作れたらすごすぎるもの。)

ただ一つ大きな問題が。
火星は気圧が低く、水が蒸発しやすいという環境になります。

気圧が低いというのは簡単にいうなら、空気の中の分子の量が少ないということ。空気がスカスカなので、水が空中に飛んで行きやすいのです。

これは植物にとって良い話ではなく、、
そこでこの木製の人工衛星を開発したグループは、低気圧で植物を育てる実験をしています。

気圧が低くても育つ植物、ゆくゆくは育つ野菜を探していくのかもしれませんね。

こんなわけで、火星に水が!!みたいなニュースがものすごい話題になるわけです。(火星に酸素ができて、家ができて、あと水があれば完璧だもの)

植物が必要な理由

どうして植物が必要になるのかについても簡単に話してみようと思います。

宇宙ステーションでは、2021年には唐辛子、2022年にはトマトが栽培されたとニュースになっていました。(現在はサツマイモなどの他の野菜も育てているようです。)

ISSでトマトの世話をするNASAのフランク・ルビオ宇宙飛行士
トマトがISS内で行方不明になった記事もありました。

どうして唐辛子とトマトが育てられてたのでしょうか。

人類の歴史上で未知の場所への探検や航海で最も恐れられていたものは
「壊血病」でした。(参考総説)保存料のみを食べビタミンcが不足することで体のあちこちから出血し、最終的には死んでしまうという恐ろしい病気です。

宇宙探索でも食料に制限のある生活を続けるため、栄養管理が重要になります。もちろん今はビタミン剤があるので宇宙で壊血病になることはありませんけどね。

ただ、宇宙で植物を育てる意味には自給自足以外にも、栄養管理の意味があるのだということを意識しておくと唐辛子やトマトが選択される理由がみえてきます。(唐辛子もトマトもビタミンcたっぷり!!)

娘と話してみて

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