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星の旅人

星の旅人


小さな村に住むリオは、夜になると家の窓辺に座り、空を見上げては星々に思いを馳せる少年だった。彼の夢は、いつかあの星々を旅し、星に住む不思議な存在たちに会うこと。リオは星を見つめるたびに、心が広がり、見えない何かと繋がっているような気がした。


ある静かな夜、いつものように窓辺で星を眺めていると、ひときわ大きく輝く流れ星が空を横切った。それはやがて光を強め、リオの家の前に落ちてくるように見えた。驚きと興奮で胸を弾ませたリオは、家を飛び出し、流れ星が落ちた場所に駆け寄った。


そこには、星の形をした小さな存在が座っていた。彼は体から微かな光を放ち、リオに気づくと、驚きもせずに微笑んだ。「やあ、こんばんは。君も星を見ていたの?」と、星の子は柔らかな声で話しかけた。


リオは少し戸惑いながらも、「君は…どこから来たの?」と尋ねた。


星の子は小さく頷いて、「僕は遠くの星から来たんだ。僕の星は小さくてね、毎日一人で星空を眺めるのが日課なんだ。でも、友達がひとりだけいるんだよ」と言った。


「友達?どんな友達?」リオは興味津々で尋ねた。


「僕の星には小さな花が一本だけ咲いているんだ。その花が僕の友達さ。すごく綺麗で、ちょっとわがままで、でもとても大切なんだ」と星の子は目を輝かせながら話した。


リオはその話を聞きながら、自分の村で見た一番美しい花を思い浮かべた。「でも、その花を守るのって、大変じゃない?花はいつか枯れてしまうかもしれないし…」とリオは不安げに言った。


星の子はふと目を伏せ、少し寂しそうに微笑んだ。「そう、だから僕はいつもその花のそばにいるんだ。花を守り、励まし、時にはお互いに黙ってそばにいる。それだけで、僕の星は寂しくないんだ」と答えた。


しばらくの沈黙が訪れた後、リオは小さな声で言った。「君は、その花をとても大切に思っているんだね。」


星の子は頷き、「大切に思うことはね、僕たちを強くしてくれるんだよ」と答えた。リオはその言葉に感銘を受けた。自分も、大切なものを守りたいという気持ちが心の奥でじわじわと芽生えていくのを感じた。


その夜、星の子はリオに「君が大切に思うものができたら、この欠片を握って、僕の星を思い出して」と言って、小さな星の欠片を手渡した。その星はまるでリオの心を映すかのように、微かな光を放っていた。


別れの時が近づき、星の子は空を見上げた。「僕はもう帰らなきゃいけない。でも、僕たちはいつでもこの星の欠片で繋がっているからね」と優しく微笑んだ。


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