動きで語る:パントマイム、無言劇、ノンバーバル表現の違い
芸能事務所トゥインクルコーポレーション所属、パントマイムアーティストの織辺真智子です。
ノンバーバル・パントマイム・無言劇
あの〜、ええとね、この文章はちょっとマニアックです。
「ノンバーバルなんて知らん」「どっちでもいいよ」「そんな疑問持ったことないよ」っていう方は、飛ばしてくださいね。あとですね、これはあくまで織辺が色々勉強してきて考えて解釈して説明してるということで多分大体あってると思いますけどあくまで一説です。
諸先輩方から「違うんじゃない」ってチクチク言われたらどうしよう・・・。いや、別にそんな怖い先輩は別にいない。イマジナリー諸先輩。
さあ本題に入りましょう。
ノンバーバルシアターはパントマイム?無言劇はパントマイム?
セリフ劇とパントマイムの違いはわかった。じゃああれよ、無言劇とパントマイムは同じなの?ほんで、最近ノンバーバルシアターっていうのもあるけど、あれはパントマイムなのかい?というマニアックな疑問が出てくる方がもしかしたらいらっしゃるかもしれません。人によっては「同じだよ」とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。
これらの関係は、例えるのでしたら、お好み焼きとモダン焼きと鉄板焼きの関係みたいなものかもしれない、と私は解釈しています。個人的な解釈ですよ!
ノンバーバルシアター
ノンバーバルシアター(フィジカルシアター)は、言葉を使わずに物語や感情を伝える舞台で、身体表現を中心に据えながら、音楽、視覚効果、そして時には最新のテクノロジーまでも取り入れた多彩な要素を組み合わせて作品を創り出します。パントマイムや無言劇を包含するより広い概念として捉えられています。つまり、すべてのパントマイムはノンバーバルシアターの一形態と言えますが、すべてのノンバーバルシアターがパントマイムとは言えません。
特徴は、その表現手段の多様性にあります。パフォーマーたちは、身体動作やダンスはもちろん、音楽、照明、映像などのさまざまな要素を巧みに織り交ぜて、言葉以上に雄弁な舞台を作り上げます。これにより、観客の想像力を刺激し、より深い感情的な共鳴を引き出すことができるのです。伝統的な無言劇の要素を取り入れつつ、現代的な表現技法や新しいテクノロジーを積極的に活用することで、より幅広い表現の可能性を追求しているのです。
ノンバーバルシアターは言葉の壁を超えた普遍的なコミュニケーション手段として、国際的な舞台芸術シーンで重要な位置を占めています。その豊かな表現力と革新性により、今後も進化し続け、観客の心に深く訴えかける芸術形態であり続けるでしょう。
無言劇(黙劇)
無言劇(黙劇)は、台詞を用いずに主に身振りや表情で演じる劇のことを指します。この芸術形態は、言葉に頼らずに物語や感情を伝えることを特徴としています。日本にパントマイムが入ってきたのは20世紀と言われていますが、無言劇の起源は、古代の伝統芸能に遺伝的な要素を持つと考えられています。特に、能や歌舞伎などの日本の伝統芸能は、身体表現や所作を重視しており、無言劇の基盤を形成しました。これらの伝統芸能は、言葉よりも動きや表情を通じて感情や物語を伝える要素が強く、無言劇の普及に寄与しました。
無言劇の主な表現手段は、俳優の身体表現と表情です。体全体を使って感情や状況を表現し、観客に物語を伝えます。しかし、表現をさらに豊かにするために、音楽や効果音を使用することもあります。これらの音響効果は、場面の雰囲気を強調したり、物語の展開を支援したりする役割を果たします。
無言劇は、パントマイムよりも広い概念として捉えられています。パントマイムが特殊な身体技術や様式化された動きを重視するのに対し、無言劇はより自由度が高く、必ずしも特殊な身体技術を必要としません。つまり、無言劇には様々な表現スタイルが含まれ、パントマイムはその一形態と言えるでしょう。
パントマイム
パントマイムは、無言劇の一種として特徴的な発展を遂げた芸術形式です。その定義は、特に身体の動きや表情を使ってコミュニケーションを行う芸術形式であり、見えない物体を扱ったり、「見えない壁(固定点)」のような特定の技術を特徴的に用いるのが印象的です。歴史的背景としては、フランスのマイム・アーティスト、マルセル・マルソーによって現代的な形が確立され、無言劇の一形態として広く認識されています。パントマイムは、身体表現の一つのスタイルとして、独自の発展を遂げてきました。
表現手法としては、主に身体の動きと表情に焦点を当て、特定の技術を駆使して具体的な状況や感情を表現します。例えば、壁やロボットなど特定の動作を表現することが特徴的です。技術と訓練の面では、パントマイムは高度な身体技術があり、特定の動作や表現を習得するための訓練があります。パントマイムの技術は、演者が特定の動きや表情を通じて感情や状況を伝えるためのものです。パントマイムは無言劇の中でも特に洗練された技術と表現を要する芸術形式として、独自の地位を確立しています。
これらの関係を日常生活に例えると、ノンバーバルシアターは「非言語コミュニケーション全般」、無言劇は「表情やジェスチャーでの意思疎通」、パントマイムは「特定の動作や表情を使った感情表現」といったところでしょうか。
それぞれが重なり合いながらも、独自の特徴を持っていると私は思います。
そして、「無言劇と銘打って現代技術をばりっばりに駆使している舞台」「パントマイムだけどほとんどパントマイム的なテクニックは使ってない舞台」は、もちろんあります。
結局のところ表現に名前をつけているだけですから、舞台を作った人が「無言劇だよ〜」と言えば無言劇だし、チラシに「パントマイムだよ〜」と書いてあればパントマイムであるのが実態かな〜と思います。
じゃあ、お好み焼き、モダン焼き、鉄板焼きの違いは?
(ここからはパントマイムは全く関係ないです)文の頭に書いた「お好み焼き、モダン焼き、鉄板焼き」の違いが気になる方がもしかしたらいらっしゃるかもしれないので書いておきますね。
鉄板焼きは、鉄板を使って肉や魚介、野菜などを焼く料理全般を指します。鉄板の上で食材を焼き、調味料を加えて食べるスタイルが特徴。
お好み焼きは、小麦粉を主成分とした生地に、キャベツや肉、海鮮などを混ぜて焼く料理です。生地は薄く、具材は自由に選べるため、さまざまなバリエーションが楽しめます。焼き上がった後に、お好み焼きソースやマヨネーズ、青のり、かつお節をトッピングして完成。
モダン焼きは、お好み焼きに焼きそばやうどんを加えたバリエーションで、ボリューム感が増します。基本的には鉄板で焼き、麺を生地の上に乗せて焼くスタイルが特徴。これねぇ、小さい頃実家のホットプレートでたまに父が作ってくれた記憶があります。普段料理をしないタイプの父なので、すごく嬉しかったです。もう30年くらい前の話。今父は74歳で健在ですが、今も頼んだら作ってくれるかな、どうかな。
それで結局、言うとノンバーバルが鉄板焼きで、パントマイムが・・・いやあんまりいい例えじゃなかったです。お腹が空きました。
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