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過去の恐怖

 楽しい食事だった。
 仕事先で話がよく合う人と何年かぶりに食べに行った。このところ感じていた不満や悲しみなど、時間を忘れるほど話した。会計の時に出ていくお客さんが何人かいたが、その中の1人を見て驚いた。小学校の同級生。同じクラスになったこともあった。よく話す間柄ではなかったが、仲が悪かったわけではない。ただ、中学校になるあたりから感じが悪くなり、中学校では同級生に暴力をふるった話を聞いて関わるのは嫌だと思った。その後、1度だけ似た人を見かけたが本人か分からずの状態だった。この町に暮らしているのだと思って、苦い気持ちになった。
 ずっと生まれ育った町に住んでいるが、小中高の同級生をあまり見かけない。出ていっている人も多いのだろう。普段買い物など外に出るときに、ばったり会うことがもっとあるのではと思うのだが、不思議なくらいない。学生時代仲の良かった子とは、学校を卒業すると、その縁も切れていった。
 中学校のころは、私の中でも辛い時期だった。人間関係がうまくいかず、自分も周りもイライラしている時期だった。思い返すと、忘れたい記憶として葬っていた嫌な記憶が蘇ってくる。自分に起こった嫌な事もたくさんあるけど、友人だった1人を仲間はずれのような形で追い出したこともある。グループで行動していると、逆らえない流れがあることを知った。自分も周りも傷つけたり傷ついたりしている時期だった。
 なぜか、このころを最近思い出す。あの子に、もし会ったらどうしよう。そういう子が何人かいる。
 それは、いま転職を考えているからと分かっている。これまで働いていた場所には、私が初めて会う人しかいなかったのだ。
 食事のあと偶然見かけた同級生は、絶対あの子だと分かった。もし向こうも気づいたとしても、何も声はかけてこないだろう。ただ、今後何かの関わりになった場合、どう関わるのか想像でいなくて嫌だ。
 同じような思いをしている人、割と多いのではないだろうか。
 知っていた、という人との関わり合い、どうしているのだろうか。特に関係がよくなかった人について。
 人との付き合いというのは、本当に難しい。

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