
山本文緒「無人島のふたり」感想~頭のネジが一本飛んでいるみたいな人が登場する作品が読みたかった~
本も好きだけどドラマも好き。
コロナ禍前は、ブログでドラマ感想を書いていた📺
でもコロナでドラマの撮影ができなく放送延期となりドラマを見る機会が減り感想も書かなくなった。
・まだドラマ感想を書いていたコロナ禍前のお話。
2018年春ドラマで山本文緒さん原作。
2組の夫婦の日常に潜む、不満やすれ違いなどを描いた「あなたには帰る家がある」が放送される。

木村多江さんの怪演とユースケの不気味さが印象深いが、今思えばドラマの面白さは、原作で描かれた狂気な隣の芝は青いがあってこそだ。
で...その時、Twitterのタイムラインで、ちょこっとだけドラマ実況にも参戦。
・Twitter実況に山本文緒さんも参戦か!?
タイムラインに、なんと!原作者の山本文緒さんも参戦してるー!
気さくな人柄が窺えるツイートが楽しかったし、いいね♡をポチっとしてくださったときは嬉しかった。
タイムラインでお話していた当時の実況垢の人たちもフランクな山本文緒さん登場に沸いていた。
人間の汚い部分をえげつなく掘り下げる山本文緒作品のイメージが強かったので、もっと怖い人なのかと勝手にイメージしていたのだが、楽しい方で好きになった。
すっかりファンになりドラマと並行し、「あなたには帰る家がある」を読んだり、他の作品もちょこちょこ読んでいたところに、七年ぶりに新作!!「自転しながら公転する」が刊行。
もちろん購入し読む。
やっぱり人間のえげつなさが描かれていて好き♡
つづき短編「ばにらさま」も刊行され作家活動が充実されているようで喜ばしく思っていた矢先に早逝の知らせが...。
・<簡単あらすじ>
これを書くことをお別れの挨拶とさせて下さい――。思いがけない大波にさらわれ、夫とふたりだけで無人島に流されてしまったかのように、ある日突然にがんと診断され、コロナ禍の自宅でふたりきりで過ごす闘病生活が始まった。58歳で余命宣告を受け、それでも書くことを手放さなかった作家が、最期まで綴っていた日記。
・早逝の知らせには、本当に驚いた。
人は誰もいつかは死を迎える。
だけど今ではない、と思っている節がある。
山本文緒さんも自分は90歳まで大丈夫だと...。
でもどんな人でも自分のデッドエンドというのは分からないものだ。この後に及んでまだ私はデッドエンドを摑めていなくて、安くなっていたパジャマを買ったりしている。(本文より)
安くなったパジャマを買ったりしている...に、元気で生活している私となんら変わらない今を生きていたんだ。
グラタンを取り落として泣く旦那さんに、私も泣く。
未来はなくとも本も漫画が面白いと作品を絶賛する姿に私もだよ。
普段の生活をしようとしていたんだね。
そう思える夫妻の姿がそこにあった。
また、気さくさだけでない頑固さも垣間見れるのもいい。
でもどんな人でも自分のデッドエンドというのは分からないものだ。この後に及んでまだ私はデッドエンドを摑めていなくて、安くなっていたパジャマを買ったりしている。(本文より)
・まだまだ読みたかった。
そして、長編や頭のネジが一本飛んでいるみたいな人を書こうとしていたんだね。
読みたかったな。
やめてー!ほんとやめとけー!と叫びながら。
ぶっ飛んでるけど、自分もあるあるこんな気持ちになる時が、と思いながら読みたかった。