川上未映子「黄色い家」感想~他者を理解すること、理解してもらうことの境界線とは...~
・占いは好きですか?
占い、好きですか?
嘘だから信じないよ、ですか。
嘘だと思ってるけど面白いから好きかな、ですか。
自分だけでは決められない、だから頼ってしまう、ですか。
などなど...
人それぞれの考えがあると思う。
私は思う。
自分を肯定しもらいたいとき、占いに頼ったりしませんか?
「西側に黄色いものを置くと金運が上がる」という風水の説を知って黄色が好きになる花ちゃん。
黄色に救いを求める花ちゃんは、ただただ自分を肯定してほしかったんだよね。
花ちゃん、がんばったよ。
他者を理解すること、理解してもらうことの境界線を、犯罪の境界線で彷徨う少女目線で描かれた一冊。
・簡単あらすじ
・川上未映子→黄色い家→ゴッホと連想。
新聞小説連載だったからなのか、すんごい読みやすく、でもミエコ節も健在で面白かったYO(⋈◍>◡<◍)。✧♡
川上未映子→黄色い家→ゴッホと連想。
以前読んだ著者のエッセイ「そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります」に掲載された『私はゴッホにゆうたりたい』でゴッホ愛を、全身全霊で肯定する熱量に圧倒され、私も熱くなりゴッホの絵をググったりし、にわかファンになった。
それと、黄色も好きだし💛
好きな色でわかる性格診断によると、『黄色』は楽しさや幸せを表しており、探求心があり、常に上を目指す傾向があるようだ。
まるで、本書の主人公の花ちゃんではないかー!
幸せをのために、探求心と向上心からヤバイこともこなしていく花ちゃん。読み手は、そんな花ちゃんを見守っていくことになる。
花ちゃんに寄り添えるのか?嫌悪感しかない?
さあさあどっち?
・他者を理解すること、理解してもらうことの境界線とは...。
お金にも生活にもだらしない母親と二人暮らしの花ちゃんが、母親の知り合いでもあった黄美子さんと出会ったのが15歳。
アルバイトで貯めたお金を母親の恋人に盗まれ途方に暮れていた花ちゃんを救ってくれたのが黄美子さん。
その黄美子さんが20年後に事件を起こしていた。
ネットニュースで知った40歳の花ちゃんが過去を回顧しながら物語がはじまる。
母親と暮らすも、冷蔵庫に食べるものがなく、花ちゃんのために黄美子さんがいっぱいにしてくれた。
食べ物がぎゅうぎゅうに詰まった冷蔵庫の隙間に漏れていた、暖かい黄色の光。
その光は、希望の黄色い光と喜び。
友達がいなかった花ちゃんに蘭と桃子という友達ができ、その二人と黄美子さんとの四人で暮らすようになり、スナック「れもん」を開店させ頑張っていたのに...悲劇が( ;ㅿ; )
黄美子さんと友達たちと、今後も黄色い家で暮らすためにはお金が必要。
私がやらねばと、ヤバイ仕事に手を出す花ちゃんだったが...。
最初は頼れる人に見えていた黄美子さんが影が薄い人になってきて、黄色い家のリーダーは花ちゃんへと。
みんなのために頑張っているのに、なぜみんなはわかってくれない。
花ちゃんの暴走ぶりがイタイけどわかるよ。
頑張ってるよ。
こういう時は、冷静になれないよね。
私だけ頑張ってるのにーー!と憤っていた時が私もあったからね。
ただ頑張りを肯定してほしいだけなのに、それぞれに頑張りの境界線も考えも違うことに気づいたときには遅い。
そう、アルルの家で暮らしたゴッホとゴーギャンのように幸せの時間は続かない。
破滅へと向かった四人はどうなるのか...。
誰も理解しない、誰からも理解されない、どうとでもできる金のなる木と称される黄美子さんの描き方が全編を通しヤバ凄い!
花ちゃん目線でしか語られないから、喜美子さんの人生を想像させられるのよ。
だからラストに涙だった😿