クリス・ウィタカー 鈴木恵訳「われら闇より天を見る」感想~ゴッド姉ちゃんダッチェスを見守る~
女だてらに乱暴者のガキ大将で、マフィアのドンをイメージさせることから、和田アキ子は『ゴッド姉ちゃん』名付けられたようだ。
自称無法者と語るダッチェス。
「無法者ってのはどういう人?」
「なめたまねをさせない人」
「誰にもあたしをコケにさせない。誰にも笑わせない。あたしはあんたのために闘う...」
弟ロビンにちょかい出す者に首を斬り落とすと脅し、弟をいじめる者の歯を折ることにも躊躇しない、強くて逞しい13歳『ゴッド姉ちゃん」ダッチェス。
半端な生き様を感じさせぬダッチェスだが...。
♬町は今 眠りの中
あの店に火をつけるのはあなた
人はみな孤独の中
あの店に火をつけるのはあなた♬(「あの鐘を鳴らすのはあなた」替え歌より~)
これから起こることの元凶は、やり過ぎ放火事件だったんじゃない?が、拭えない一冊!?
酒浸りで薬にも手を出す、どうしようもない母と幼い弟を守るためにゴッド姉ちゃんになると決めたダッチェス。
かつての事件で親友が逮捕されるに至った証言をいまだに悔いており、過去に囚われたまま生きている町の警察署長ウォーク。
大切な人を守るためには命もいとわない覚悟の二人を軸に物語を動く。
さすが!ゴールド・ダガー賞受賞作で、年末のミステリー三冠にも輝いただけあり、人間ドラマとしてもミステリーとしても面白く読め、憎んでいたはずの不器用な祖父のハルと、これまた不器用なダッチェスが、だんだんと心を通わせていく様が微笑ましくて好きだったのに、それってどうなの?と、思う展開(話)さもありで、胸がざわざわする自分もいた。
主要登場人物たちの、あの時にあんなことをしなければーーー!
心の機微さがせつなくて、わかるわかるとなるのが...。
あまりにも、みんながみんな!大事なことを口にしなさに正直イラついた。
そしてダッチェス家の隣人が都合よく変態!?
えっーーー!ダッチェス&ロビン姉弟の出生の秘密(父親はだれ?)が一途な純愛なんだけど、なんだけど...アメリカの刑務所ってそうなん?
どうなのよー!と思いはじめると止まらない(;'∀')
👧👦
人は終わりからまた始める。
弟がいれば誰も要らないと強気だったダッチェスが、弟のために下した判断に、本当の優しさと愛を感じずにはいられなかった。
ダッチェスもロビンも、これからは幸せなってね。