吉本ばなな「はーばーらいと」感想~私の人生に戻るんだ~
赤川次郎ばかり読んでいた乙女時代。
少し背伸びしたい年頃になり、話題になってるし読んでみるかと手に取ったのが、よしもとばなな「キッチン」
うーん??
よくわからないが正直な感想だった。
起承転結ものに慣れていたので、オチのない話に面白さを感じなかった。
でも、今まで読んだことのなかった夢の中にいるようなふわふわしたものを纏った文体に、ファミレスから少しおしゃれなフレンチに行ったような愉悦も味わえた。
当時の私の中では、よしもとばなな=おしゃれ本。
になっていたかな。
決められたレールに疑問を持つこともく歩いていた私にはわからなかなった。「生と死」も「喪失からの再生」
社会という世界を知り、再びよしもとばばなの本を読む。
生きることの痛みや、悲しさ、美しさを、ゆるやかなに包みこみながら体の中に溶けゆく感覚に魅了された。
そんなばななさんの新刊を読む📚
昨今はスピリチュアル寄りだったのに今回は封印?
そうそう、私はこんなばななさんの作品が読みたかったの。
ざっくり説明すると、親が宗教団体に入信したことにより、ひばりという少女も入信するも、違う!ここは自分の居場所じゃない。
幼なじみの男の子つばさに助けを求め、助け出される。
よかったね、で終わりでいいのだろうか...。
⚓⚓
【あとがき】にこう書かれている。
読みながら、あの問題が頭をかすめる。
自分らしく好きなように生きようとし、痛みを負う人を増やしていたのに、大勢が賛成する方へと流されてしまったジャ〇ーズ問題。
二世問題とも通じるものがある。
社会問題にもなっている深刻な二世問題を、いつものようにゆるりとした文体で、考えろ!と押しつけることもなく描けるばなな節が良き。
でも、読み手(私)の中にしこりを残すのも忘れない。
絶望を見た者(ひばり)の傷みがしこりとなって残る。
助け出されたから終わりじゃない。
ここからはじめる、はーばらいと。
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