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窪美澄「ルミネッセンス」感想~色の違う「くらさ」を覗かせる一冊~
暗い
昏い
冥い
闇い
晦い
昧い
矇い
幽い
「くらい」と読める漢字を探してみた(←同訓意義)
こんなにあるんだー。(←もっとあるのかな?)
意味は、光が少なくて物がよく見えないとか、物事がはっきりしないとか、道理がわからないとか...。
うんうん、「くらい」といえばのイメージ通り。
で、|||(-_-;)||||||どよ~ん顔、陰気な顔、泣き顔...を連想させるのも「くらい」
本書は、色の違う「くらさ」を覗かせ、舌の上では苦み、えぐみ、渋みが合わさり何ともいえない気持ちになるが、その絶妙さがクセになる一冊。
低層の団地群を抱くその町は寂れていた。商店街にはシャッターが目立ち、若者は都会に去り、昔からある池には幽霊が出るという。その土地で人びとが交わすどこか歪な睦み。ダークサイドで染め上げられた連作短編集。
・トワイライトゾーン
・蛍光
・ルミネッセンス
・宵闇
・冥色
同窓会で再会する50代の男女。
建物50年もたてば、外見ではわからない劣化が進んでいる。
人間も同じ。
知らぬ間に、心も体もあちこちがガタついている。
同窓会で再会した者たちに連鎖するように、道理のわからない
「昏い」「冥い」「闇い」モノに読み手も足を取られぬかるみへとはまっていく。
最近は穏やかな窪作品を読んでたので、本書で久しぶりに味わえた窪流のダークさが好きだった。